国際結婚 ~アメリカ編~

Hubby との出会い、Fiance Visa & GC 取得のプロセス、結婚生活など綴っています。

【「たらい回しにされた子供(George)」 その後-4】

2008年08月29日 | 恵まれない環境の子供達
「たらい回しにされた子供 (George)」 その後-1

「たらい回しにされた子供 (George)」 その後-2

「たらい回しにされた子供 (George)」 その後-3

に続き第4弾 です。今回で完結したいので、この記事はいつものより更に
長めです   お時間がある時に読んでください



初めて私のブログに遊びに来てくださった方は、是非こちら (TCC の子供達 (3)
「たらい回しにされた子供」) から読んでみてください。





さて、George の Last Day は 『たらい回しにされた子供・その後』 シリーズの
(いつの間にシリーズ化) ① で触れた、魔の金曜日でした。



George は自分の Last Day のためにグループホームのスタッフが買ってくれた、
ブルーとグリーンの甘~いクリームがたっぷりなカップケーキをグループのみんな
に配るために持って来ました。そしてランチの後にそれを得意そうに配っていました。



その日も Water Day だったのですが、George は水遊びはしたくないと言って他の
子供達がいる別のプレイグラウンドへは行かず、もう1人の水遊びをしたくなかった
男の子と2人で遊んでいました。この2人を私が見て、Kyle は他の子供達と一緒に
別のプレイグラウンドへ行きました。



Last Day って、大抵の子供達にとっては嬉しい日みたいなんです。TCC に来れなく
なるってことで悲しくなっちゃう子もいますが、ほとんどの子が誇りを持って去って
行きます  

でも George はカップケーキを配っていた時以外はあまり嬉しそうには見えません
でした。それにちょっとしたことでイライラして機嫌が悪くなっていたのです。

私は 『たらい回しにされた子供・その後』 シリーズ② の時のように爆発させたく
ないと思い、George が何を思っているのか、感じているのかを聞き出すことにして、
芝生の上の木陰にあるベンチにテーブルを挟んで向かい合って座りました。

「George は今日はなんだか悲しそうに見えるけど、どうして? そのことについて
話してみない? もし話してくれたら助けたいんだけど。」


(泣きそうになりながら) 僕、悲しいんだ。」

「そっか、悲しいんだ (←大人がちゃんと話を聞いて理解しているということを示す
ために子供が言ったことを繰り返します)。どうして悲しいの? もしかして今日が
グループ最後の日だから?」


George はうなずきました。

「そっか。グループが最後だから悲しいんだね。新しい学校に行くのも怖い?」

「ううん、それはないよ。グループが最後だから悲しいんだ。」

「でもね、George はすぐそこのグループホームに住んでるし、私も Kyle も毎日
TCC に来るからいつでも会えるんだよ。それに、私も Kyle も時々週末にグループ
ホームで働く時もあるでしょ。だからその時には週末だって会えるんだよ。」


「(自分の)家に帰れないことも悲しいんだ。」

「そっか、自分の家に帰れないことも悲しいんだね。もし私が George の立場で、
自分の家に帰ることができなかったら私だってすっごく悲しくなるし、怒りも感じると
思う。本当に気の毒だと思うよ
(←これはしっくりくる日本語が浮かばなかったの
ですが、英語では "I'm so sorry" って言いました)。でも私も Kyle も、グループ
ホームのスタッフも、いつも George のことを気にかけてるよ。」


「NO!! グループホームの人達は僕のことなんて全然気にしてないよ!!」

「どうしてそう思うの?」

「だって僕を全然家に帰らせてくれないんだもん!!」

「それは違うよ。グループホームの人達は一生懸命 George の家を探してるんだよ。
でもそれは簡単なことではなくて、とっても難しいことなの。だけどグループホームの
人達が George のことをいつも気にかけてるのは本当だよ。」


George はもう泣く寸前でした。

そして私は言いました。

「ねぇ、George? 今日は George が悲しい思いをしているってことは本当に気の毒
だと思う。でもね、私は George がこうして私に自分の気持ちを話してくれたことが
とっても嬉しいんだよ。今日はどんなに悲しくても怒ってても、前みたいに誰かを
殴ったり、グループから逃げて行ったり、暴れたり、怒鳴ったりしなかったよね。
こうしてちゃんと大きい子みたいに言葉で話してくれたよね。だから私はあなたの
ことをとても誇りに思ってるんだよ。」


George は私を見上げました。

私は George の側に行って彼の背中をさすった後、彼を抱きしめました。

「ねぇ、George がこうやって本当に良くやったってこと、Kyle やグループホームの
スタッフに報告しよっか?」


George は笑顔で 「うんっ!!」 と誇らしげに、少し照れながら言いました。

そして他の子供達と戻って来た Kyle に一緒に報告し、グループの最後にたまたま
やって来た Suzanne にも報告しました。 Kyle にも Suzanne にも思いっきり褒め
られて、George はとても嬉しそうでした  

Suzanne に

「本当に!? George、よくやったわね!! この子はドーナツを与えられる資格が
あると思うんだけど、Kyle、Kimmy、どう思う? George、ドーナツ欲しい?」


と褒められ、Suzanne と一緒にドーナツをもらいに行きました。



George がいないところで、Kyle が、今日は A が George との visit をキャンセル
したためにそのことでも George の気が立っていたことを教えてくれました。


そして Kyle が私に言いました。

「George はここに僕より長く (1年半以上) いるけど、僕が来た
ばかりの頃はいつもちょっとしたことですぐに爆発して、毎日の
ように誰かを殴ってたんだ。こうして自分の気持ちを言葉にして
大人に話したり、感情 (怒り) を抑えて大人に助けを求める
なんて不可能だったんだよ。彼はこんなに若くして苦難を経験
しながら、長い道のりをここまで来たと思うよ。」



本当に私も全く同感です。そしてまた TCC でこのような感動的な経験ができる事に
感謝せずにはいられないのです



ただ…



George はまだまだ完全に感情をコントロールできるようになったわけではありません。
グループホームで働くたくさんのスタッフの中で、George が爆発した時に Joel の
ような対応 (ハグしたり優しく撫でてやったり) する人がどのくらいいるのか
わかりませんが、対応が統一しない限り彼も混乱して、George が完全に感情の
コントロールをできるようになるまでには更に時間がかかるでしょう。

それに引き取ってくれる家庭も見つかっておらず、いつまでグループホームに住む
ことになるのかもわかりません。

George の長い長い苦難の人生はまだ始まったばかりだと
言っても過言ではないのかもしれません。





~完~ 
やっと終わったァ~!! なんか微妙な終わり方ではありますが… ここまで全シリーズを読んで下さった皆様、
ありがとうございました



【おまけ】
ちなみに… 1年生になった George の初登校の日は大成功だったそうです。何事も
なくとってもいい1日を過ごせたということで、グループホームでは彼のために小さな
お祝いのパーティーを開いたそうです。





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