ファッションショーを堪能して、再び艦橋に戻ろうと、士官室前の入り口に足を踏み入れた瞬間、
左舷側の通路に、立ち入り禁止的なロープがはってあり、海曹さんたちが集まっているのが目に入った。
「んっ・・・もしや、内火艇下ろすんですか」
と、海曹さんの一人に尋ねたところ
「たしかに下ろしますが、なんで、内火艇下ろすって分かったんですか」
「え?・・いや、だって、どう見てもそんな感じだし・・・」
「どう見てもって(笑)」
だってさここの周りに、「近寄るな!」って感じでロープはってあって、
海曹さんたちは内火艇の周りで、上でも下でもスタんばってるし、普通に状況観察してりゃわかるでしょうよ・・・
ね?
しかしこれで、上げるところは見逃してしまったけど、下ろすところは見られるのでよかった
そしてよく見ると、その中に青の作業着に着替えていた、さっきのファッションショーでセーラー服で登場されていた海士くんの姿が。
モデル並みの着換えの早さだな・・・(出番が終わってすぐ着替えたんだろうね)
で、しばらく・・・いや、だいぶ待ちました。
結構待ちましたね(笑)
なので、あきらめて一旦、艦橋に上がりました。
すると、この時に人生で、たぶんプロポーズされるよりもうれしいんじゃないかというくらいのサプライズがありました
いやまじで(笑)
な・ん・と・・・
ラッパの後の
「入港よ~い」
を、艦長さんのご厚意で、私に言わせてくださったんです(号泣)
びっくりしましたよ
そして、あんなに緊張したことはない、ってくらい、緊張しました。(間違っちゃダメだし、噛んじゃダメだし・・・)
そして、艦内の他のところにいた乗員さんたちは、
「え?今のダレ????」
って思われたこと間違いない(笑)
5月のあしがらの体験航海で、今までで一番楽しかった、と書きましたが、今回は、今までで一番感激した体験航海となりました・・・
この瞬間・・・。
それからしばらく、
艦橋で海を見ながら、艦長さんが航路の取り方などについて、いろいろお話してくださいました。
体験航海では、毎回書いていますが、
本当に、民間人の航海マナーが悪くて辟易します。
毎回、そういう船と遭遇するので、こちらはイライラするのですが、
海上自衛隊は、粛々と安全航海に努めるのです。
どれだけ海上自衛隊が慎重に航行していても、ぶつかれば自衛隊が悪いと言われてしまう・・・
そのことを、皆さんは嫌というほど思い知っていて、そのことが私は非常に苦々しく、悲しくかんじます。
艦長さんは、
「漁船は、彼らも生活がかかっているので、必死に作業しているので、こちらの汽笛に気づかない時もあるんですよね」
と仰いました。
そう思えるのはやはり、国防という責任の重いお仕事に従事され、
艦長として艦を預かり部下の命を預かっている方だからではないかと思います。
国民を護っている立場だからこそ、そういう気持ちになれるのだろうと・・・。
翻って漁船の人達はどうなんでしょう?
「日本の海の安全が護られているのは、自衛隊や海保のおかげなんだよね」
と考えてくれている人たちって、いったいどれほどいらっしゃるのでしょうか?
尖閣にほど近い、石垣島あたりの方たちは、危険を身近に感じているので感謝している人たちが多いようです。
しかし、では、本土の方たちは?
疑問と不信感が拭えません。
しばらくして、ウイングに出た時に、内火艇を下す準備が始まったのが見えました。
慌ててラッタルを降りて、通路に向かうと内火艇が動き出していました。
けっこう、滑らかな動きです。
海面に着水しました
走り去る内火艇。
一度乗ってみたいけど、私確実に酔うよなぁ・・・。
ちなみに、何のために内火艇を下したのかは、この時はわかんなかったんですが、
たぶんだけど、造船所の方をお迎えに行ったんじゃないかと推察します。
なぜなら、造船所の方が突如として艦橋に現れたからです
・・・修理地回航に乗艦されたことがある方はご存知だと思いますが、
ドック入りの時は、操艦は造船所の方がされますのでね。
さて、その艦橋に現れた造船所の方は、けっこうご年配の方でした。
その方を迎えた司令や艦長のご様子、そして何より、ジャイロコンパスのとこに立って指示を出す時の余裕・・・
さてはこの方、もしや・・・?
と思っていたら、艦長さんが私に、
「あの方は元自衛官で、私が幹校にいた時の教官で、はまなの艦長をされていました」
と教えてくださいました。
やっぱり
絶対、そうだ思ったんだよね~~~
もうね、それから目が離せませんでした(笑)
なんて言うんだろう・・・いぶし銀の操艦って感じです
余裕に満ちた
「両舷前進微速」
のお声が耳に残っています( *´艸`)
退官後も、こうやって船に関わるお仕事をされていらっしゃる方を拝見できたことが、すごくうれしかったです。
いつも思うのですが、定年が早い自衛隊は再就職をせねばなりませんが、
いろんな特殊な技術をお持ちの方たちが、それまでの仕事と全然違う仕事に就かれるのは、すごく勿体ないなぁと思うのです。
それは、いろんな事情があるにせよ、勿体ないなぁと思うんですよね・・・。
しばらくして、いよいよ造船所の岸壁に接舷し、楽しかった体験航海が終わりました(泣く)
入渠ではなく、岸壁につけてありました。
上陸すると、造船所の作業員(かわいい女性)がお土産を手渡してくれました
「SSK九十九島せんぺい」
何となく、もったいなくて未だ食べられずにいます(笑)
しかし、この日は予想をはるかに超えた感動的な体験航海でした。
この体験航海に誘ってくださったOBさんには、感謝の言葉しかありません。
本当にありがとうございました。
そして、じんつうの艦長はじめ乗員の皆様、および13護衛隊司令はじめ幕僚の皆様、いろいろと本当にありがとうございました。
また、皆様にお目にかかれる日を楽しみにしております。
コメントありがとうございました!