南英世の 「くろねこ日記」

「いい加減」がちょうどいい

囲碁には独特の言い回しがある。「いい加減」もその一つである。お風呂の温度が「いい加減」と同じで、白黒双方が満足する「いい加減」の分かれなどという。

しかし、一般に使われる「いい加減」という言葉はそうではない。「無責任」の同義語として悪い意味で使う。NHKの朝ドラ「ちむどんどん」に出てきた二―ニーみたいに「いい加減な男」といった意味で使う。

ただ、こうした悪い意味での「いい加減」も、度を過ごさねば私は大切な生き方の一つだと思っている。まじめすぎると不幸を招く。自分がまじめすぎると、相手に対しても同じようにまじめであることを望み、いい加減な相手を許すことができなくなる。

無責任な人の行いは、最終的には自分の身に降りかかってくる。池に「ぽちゃん」と石を投げ入れるとその波が土手にぶつかってまた返ってくるのと同じである。そう考えれば、「かわいそうに」と思うことはあっても腹が立つことはない。

「許す」という行いは、自分がいい加減な人間であり、自分の至らなさを自覚した時に初めてできることかもしれない。

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