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南英世の 「くろねこ日記」

私の落ちこぼれ体験


 私の人生は、挫折・挫折の連続であったといってよい。特に高校生の頃、英語の学力が急降下した落ちこぼれ体験は忘れられない。そんな苦い思い出も、今となれば私の貴重な財産と感じられるから人生とは不思議なものだ。

英語ができなくなった最大の要因は授業を軽視したことである。勉強とは自分でやるものだとばかり、自分で参考書をたくさん買い込み、しかもどれも中途半端にしかやらなかった。その結果、授業についていけなくなった。授業で習ったことが身につかない。食べたものがすべて下痢によって全く身に付かない状態と同じだ。それどころか下痢によって体力の消耗はますますひどくなった。それでも学校は授業のスピードを緩めてはくれない。一度ドロップアウトしたら、2度とはい上がれないのだ。

 また、授業中に当てられることもいやだった。先生の立場からすれば、当てることによって生徒の予習を促し、授業中の居眠りを防ぎ、生徒の出来具合を確認するといったメリットがあるのかもしれない。しかし、生徒の立場からすればどうか。生徒(少なくとも私)は恥をかくのがいやなものだから、予習で日本語訳をノートに書いてきたり、いくら考えても分からないことに延々と時間を使ったり、あるいは本当は復習こそが実力を付ける一番の近道なのに、復習に全く時間を割かなかったり・・・。私に言わせれば、授業中に生徒を当てるというのは百害あって一利なしである。


ところが、浪人をして予備校に通うようになって、3ヶ月で偏差値が20ほども伸びたから自分でもびっくりである。何が原因か。結論を簡単に言えば、現役の頃の勉強方法が180度変わったのである。

 第一に、予備校の「授業」中心の勉強をしたことがあげられる。とくに東大文学部大学院を出られたH先生の授業が好きだった。予備校では授業中に当てられることもない。だから、「当てられることへの恐怖」から解放され、のびのびと授業を受けることができた。予習では「分かるところ」と「分からないところ」の区別さえしてくればよい。授業では分からないところをしっかりと聞く。予習にたいした時間がかからなくなり、その分を復習に時間を割くことができるようになった。

新しく出てきたことはその日のうちに完璧に覚えることも心がけた。だから、朝出かける時の自分と、夕方の自分が全く違った自分になっていると感じられることがよくあった。自分でも1日一日成長しているのが感じられるのだ。

 第二に、H先生から日本語に訳さないで英文を英文のまま理解するコツを教わった。H先生は英文の意味するところを黒板に「絵」として書いてくれた。私はそれで英文がどういうことを伝えようとしているかを理解する。そして、その情景を思い浮かべながら、ゆっくりと「感情を込めて」読む。何回も読む。日本語と同じ感覚になるまで読む。

 日本語に訳さないで、英文を英文のまま理解することは英語学習の基本である。しかし、高校現場ではそれができていなかった。生徒に日本語訳をさせるものだから、できない生徒ほど、日本語に訳すという悪弊から逃れることができない。先生は日本語訳をする必要があるのは当然である。しかし、生徒に日本語訳をさせるべきではない。生徒が日本語訳を媒介としないで英文を読めるようにするためには、生徒に日本語訳をさせてはいけないのだ(と思う)。

 第三に、使うテキストを徹底的に精選したことだ。予備校で使っているテキストのなかでも、H先生が使っているテキストはボロボロになるまで徹底的に使い込んだ。ほとんどこの1冊で英語の力が付いたようなものだ。そのテキストは「新英米文学セミナー」というテキストで、私の宝として40年たった今も大切に持っている。

 そのほか、英語構文の本を1冊使った。それも全部をやらないで、基本となる構文がまとめて書いてある最初の部分だけを切り取って、鞄に入れて常に持ち歩き、徹底的に覚えた。後年、三国丘高校の生徒が「英語の構文をしっかりやれば、受験勉強の8割は終わったようなものだ」といっていたが、それは真実だと思う。構文さえしっかり押さえておけば、あとは単語力の勝負である。

 そのほか、リライトされた易しい英文を毎日10ページ読むことを目標にした。多少分からなくても、全体のストーリーが分かればいい。そういう多読も効果があったように思う。

 繰り返す。消化不良に陥ったときには、とにかく食べる量を減らすことである。学校があれも食え、これも食えといっても消化できる量には個人差がある。だから現在の自分の実力に合わせて食べる量を自分で調整し、滋養のあるものを少量だけ食べそれを全部吸収するように努めるのだ。そうすれば、短期間で驚くほど英語の力が付く。10冊ものテキストを1回ずつやっても実力は付かないが、1冊のテキストを10回やれば必ず実力が付く。だまされたと思って試してみて欲しい。


 間違った勉強方法を採っているために学力が身に付かず、悩んでいる生徒が日本全国にいっぱいいる。勉強方法を「まともなもの」にすれば絶対に学力はつく。こうしたアドバイスは挫折体験を持ち、劣等感で苦しみ、その後英語の教員免許を取ったという経験を持つ自分だからこそ言えるのかもしれない。このブログを読んで、一人でも2人でも救済される生徒がいればこんなうれしいことはない。次のサイトも参考にしてください。

https://blog.goo.ne.jp/minami-h_1951/e/765bf94575f14ca6bbf6addd3915db35
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