mimi-fuku通信

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NHK-BS 『茶道裏千家・千玄室』:100年インタビューに出演。

2010-09-29 23:00:00 | テレビ番組


 100年インタビュー
 「裏千家大宗匠:千玄室」

 放送局:NHK-BShi
 放送日:2010年9月30日(木)
 放送時間:午後8時~午後9時30分(放送終了)

 放送局:NHK-BShi
 放送日:2010年10月2日(土)
 放送時間:午前10時~午前11時30分(放送終了)

 放送局:NHK-BShi
 放送日:2010年10月7日(木)
 放送時間:午後0時30分~午後2時(再放送)

 <mimifukuから一言>

 日本人にとって最も日本的な精神。
 それは禅にも通ずる、
 “和敬静寂”の心かも知れない。
 和敬=心を和らげて敬う事。
 静寂=静かで寂しい事。
 
 茶の湯について日本人がイメージする言葉
 “わびさび=枯れた風合い=味(年輪)”
 侘び=心細さ。気落ち。
 寂び=寂しい気持ち。閑寂な風趣。
 ~以上広辞苑を参照(別な意味も多数)。

 広辞苑で言葉の意味を調べていくと、
 ネガティブ(マイナス思考)なイメージ。
 しかし日本人が抱く、
 日本的な“和敬静寂”の意味は、
 精神的な覚悟をも表わすと感じる。
  
 当ブログで以前に記述した文書に
 “茶の湯の沸く音を心静かに楽しむ”
 の意味を後で調べてみると、
 “茶の沸く(煮える)音は六つ”
 に分かれるのだそうだ。
 <釜の六音=魚目、蚯音、岸波、遠浪、松風、無音。>
 ~または魚眼、蟹眼、雀舌、小涛、大涛、無声とも言う。
 茶席に招かれた人達が心をひとつに同じ音(茶の沸く音)を楽しむ。
 無駄な言葉を排し自然が生み出す音に耳を傾ける日本的な精神文化。
 禅の教えである“無の境地”に含まれる“一心(不乱)”
 一心とは、
 “邪念を排除し無に入る道理を持つ”とされる。

 邪念を排除し無に入る道理を目指す、
 日本的精神は“道”に通じる。
 文武両道は、
 柔道、剣道、弓道や茶道、華道、書道など。

 “道を究める=邪念を排除し無に入る”

 
陽気な中で心を無にする事は難しい。
 反省の念を抱くとき、
 静かに自分を見つめる事は自明である。

 
“文に於いての精神修行=自分を見つめ直す作業”
 だとすれば、
 “和敬静寂”の境地に至る自然や人心との対話。
 ・自然を観察する心=洞察力や想像力を養う。
 ・人心との対話=無言の内に相手の思いやりに気付く。
 ・相手を思いやる気持ち=もてなしの心。
 
 楽しく騒々しい事。
 場をわきまえぬ行動・行為は、
 多くの人々の心に傷や嫌悪を残す。

 日本的な文化を否定し“自分を意識”しだした日本人が、
 辿り着いた平成の憂いと精神的な貧弱は日々顕著だ。
 ~必ずしも平成の世が悪い事ばかりではないのだが。

 戦後の日本人が否定し排除してきた、
 日本的文化や日本人の精神。

 一杯のお茶も、
 “心がけひとつ=観察力”で多くの事を知る。
 そんな日本の文化(精神)を学習してみたい。

 果たして千玄室さんの口から何が聞けるのか?
 日本文化の先導者の発言は楽しみでもある。

 
 

 <世襲について>

 裏千家大宗匠:千玄室さん。
 千利休から数えて15代目にあたる裏千家の家元(宗室)。
 ただし、
 家元職はご子息(16代)が引継ぎ現在は大宗匠の肩書きで活躍。
 1923年生まれの87歳。

 千家について調べてみた。
 千利休の血筋を受け継ぐ家元は3つ。
 三千家と呼ばれ、
 “武者小路千家、表千家、裏千家”と分類。
 裏千家は戦後最も大衆に普及した流派であり、
 千玄室さんの功績は極めて大きい。

 三千家に分かれた理由は、
 3代目家元:千宗旦の意志と伝わる。
 政情不安が起きた時を想定し、
 3人の息子を別々の藩主に使えさせた。
 次男:宗守(武者小路千家)を高松・松平家。
 三男:宗左(表千家)を紀州・徳川家。
 四男:宗室(裏千家)を加賀・前田家。
 以後三千家は途絶えることなく現在に至っている。

 世襲の継続
 裏千家:当代宗室さんは16代目。
 400年も続く茶道の継承者である。
 日本に於ける世襲制度=家督制度。
 代表される世襲としての天皇家。

 昨今巷では世襲制度への風当りが強い。
 今日(9月29日)のトップ・ニュースは北朝鮮の後継候補の決定。
 国家の指導者が3代も続く世襲に首を傾げる人も多いだろう。

 また今朝の新聞に記載されていた、
 「民主党:羽田孜元首相は後継候補に長男の羽田雄一郎氏を要望し、
 同党:岡田克也幹事長は党の方針から容認できないとの認識を示す。」
 とのニュースも世襲絡み。

 世間(一般庶民)では世襲制度に対し嫌悪感を示す方も多い。
 世襲制度は民主主義の根底にある“機会の均等”を妨げるし、
 優れた能力が世襲の名の下に埋没するとの危惧もある。
 しかし、
 
昭和の名人と言われる落語家:古今亭志ん生さんの2人の息子。
 金原亭馬生さん(長男)と古今亭志ん朝さん(次男)は、
 サラブレッドの中のサラブレッドとして類例のない大活躍。
 陸上:ハンマー投げでは、
 父:室伏重信さん、息子:広治さん、娘:由佳さんの、
 室伏ファミリーの大活躍は誰もがご存知の通りであるし、
 血筋(血統)の真意を考える上での好例のひとつと言えよう。
 さらに、
 歌舞伎界や能楽等の伝統芸能でも面々と受け継がれる世襲制度の意義。
 
 世襲(生まれながらに道が決まる)することは、
 子供時代からの環境や本人の自覚を促すことで、
 思いもよらぬ才能として開花する事も多い。

 世襲の是非
 この場で問うべき問題でないことを承知の上で、
 日本的観念の王道教育(帝王学=家系と覚悟)が失われつつある現実。
 再びしかし。
 戦後の日本が推し進めた官僚機構のキャリア制度に見られるような、
 新しい王道教育(偏った選別教育制度)は本当に正しかったのか?

 サラブレッドの才能×管理教育で養われた才能。
 否定されつつある世襲と家の継承。

 世襲にせよ機会の均等にせよ。
 必要なのは選ばれる事ではなく、
 選ばれた後の(指導者としての)覚悟だ。
 選ばれる事の意味よりも選ばれた後の責任。
 責任を背負う覚悟こそが人の上に立つべき資格である。

 400年の系譜を背負う重み。
 それが如何程に困難なものか?
 そんな社会の疑問に対する、
 受け継ぐ者の答え(世襲を受け継ぐ覚悟)を、
 裏千家大宗匠:千玄室さんの口から聞きたいものだ。

 <番組感想:9月30日>

 今年87歳になられた千玄室さん。
 何よりも驚いた事は若さ、力強さ、明快な頭脳。
 兎にも角にも、
 “元気な方”であることに驚かされた。

 番組が進行していく中でふっと頭を過ぎった事がある。
 終始正座を要求される畳上での稽古。
 
~茶道には立礼(りゅうれい)もあり番組は立礼席で収録。

 日本の住居から次々となくなる“畳”の文化。
 その大きな理由に“正座”する事で、
 “膝に悪い”からや“足が短くなる”から。
 本当なのだろうか?

 筋違いの話ではあるが、
 近年海水浴は多くの人々に敬遠され海水浴は、
 夏のレジャー(観光)になりにくくなっている。
 それは“シミ”や“皮膚癌”への懸念。
 しかし私達の世代は、
 子供の頃の甲羅干しは脊髄の免疫力を活性化し、
 風邪を引かない元気な身体を作ると励行された。

 “私達は言葉巧みに誘導されてはいないだろうか?”

 
番組を観ながら日本(日本人)ってなんだろうと感じた。

 茶室に見る日本の文化
 ~構造は朝鮮伝来とされる。
 日本の国宝に2件の茶室がエントリー。
 『待庵:たいあん』
 『如庵:じょあん』
 犬山市にある如庵を拝見したが、
 小さな空間にさりげない多くの細工。
 無駄を排し必要なものだけが、
 茶室に入る事を許される空間。

 千玄室さんも言及した、
 人が楽しく“片寄せあって”の団欒。
 言葉少なに空間(時間)を楽しむ。
 
 言葉で言ってもらわなきゃ分からない。
 言葉に出さなきゃ理解されない。
 言葉で言えば分かるでしょ。
 平成に入って盛んに聞く言葉だ。

 勿論言葉は必要だが(玄室さんも多弁)、
 言葉では伝わらない気持ちの伝達。
 さりげない優しさや気持ちを、
 “瞬間の振る舞い”
 で表わす。

 茶道(お手前)に見る“もてなし”は、
 道具の取り合わせや細かな心遣いで表わされる。
 鈍感で学習意欲のない者に“もてなす”は伝わりにくい。
 ~私自身も茶道に通じていないので自身の言葉に心苦しいが。
 私達はそうした“複雑なもてなし”を否定してはいないか?
 と同時に複雑なもてなしが生み出したと考えられる日本の文化。
 それこそが高貴(複雑なもてなし=徹底した心遣い)であり、
 日本が誇る“ものづくり”の基礎になってはいなかったか?
 
 番組中語られた千玄室さんの、
 “和敬静寂”への思い。

 和=平和と調和。
 敬=互いに敬いあう。
 静=清らかな心。
 寂=落ち着いた心。

 強い調子で現代日本(世相)を否定された千玄室さんの思い。
 家元(立場)である限りは言えなかった言葉の数々。
 特攻時代を経験した激しい憤りと虚無感。
 千玄室大宗匠には伝えるべき言葉がある。
 
 
千利休が茶道を通して秀吉と対峙した時代。
 千玄室さんが対峙しているものは何か?
 茶道家元(伝承)の覚悟を知る番組となっていた。
 

 <ブログ内:関連記事>
 *京都・茶の湯大百科:NHK-BShi番組情報。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/0141629ea1aa63aae9b22c8ccbbe18ac

 *雨音を楽しむ:日本文化(日本人の精神)と音の関係。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/f9ef76c825dfaeedd837ff7ac9dff246

 
 
~以下NHKホームページより記事転載。

 今回のゲストは裏千家15代家元で現在は大宗匠の千玄室さん(87歳)。
 千玄室さんは海外でも茶の湯の普及に取り組み、
 “茶の湯を通して”平和の実現を目指してきた。
 一方人間関係が希薄になるなか、
 “相手を思いやる茶の湯の文化から人と人とのつながりを見つめ直そう”
 と訴える。
 茶の湯から見える今の日本。
 そして平和を導く“茶の力”とは何か。
 京都・裏千家で話をうかがう。
 聞き手は渡邊あゆみアナウンサー。

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