ワールド・ロック・ライブ(プレミアムライブ)
▽ジェフ・ベック(Jeff Beck)
~Live2007:2007年11月ロンドン公演~
放送局:NHK-BShi(ハイビジョン)
*2009年2月20日(金)午後8時~午後9時30分(放送終了)
*2009年8月17日(月)深夜0時~深夜1時30分(放送終了)
<mimifukuから、一言。>
ロック界の『3大ギタリスト』と言えば、
ジェフ・ベックと、エリック・クラプトンと、ジミー・ペイジ。
1960年代中盤にイギリスのロック・バンド:ヤードバーズに3人が在籍していたことで命名されたらしいのだが、それから40年余の時代を経て現役で活動する彼らの姿勢は、伝説的な過去の功績とともに『3大ギタリスト』の名に一点の曇りも生じていない。
実は、現在来日中のジェフ・ベックを、
先週の13日の金曜日(2009年2月13日)金沢で観てきちゃいました。
これで3大ギタリストのすべてを生で見る事ができ至福の極みでした。
下記に詳細をかきます。
今回放送されるジェフ・ベックのコンサートは、
2007年11月27日~12月1日にかけて、ロンドンの200名程度収容できるジャズ・クラブ「ロイヤル・スコッツ」で収録された最新のライブ映像。
1999年の年末にNHK-BS2で放送された東京:国際フォーラムAホール以来、
約10年ぶりの映像公開。
1999年の映像は、ツィンギターの5人編成だったが、
2007年の映像のギターは、ジェフ・ベック1人の4人編成。
その分、ジェフ・ベックの10本の指から奏でる、
神技のギター・プレイが堪能できる。
2007年「ロイヤル・スコッツ」のメンバーは、
・ギター:ジェフ・ベック
・ベース:タル・ウィルケンフェルド
・キーボード:ジェイソン・レベロ
・ドラムス:ヴィニー・カリウタ
の4人。
(今回の来日は、キーボード:ディヴィット・サンシャス)
大きく注目されるのはベースを弾く、タル・ウィルケンフェルド。
タル・ウィルケンフェルドは、オーストラリア・シドニー出身の23歳(1987年生)。
コンサートのパンフによると、
<14歳でギターをはじめた後、ベースに転向。17歳で天才プレーヤーとして注目を集め、著名なギター製作者ロジャー・サドウスキーが楽器提供を申し出る。>
知り合いのJazz好きに彼女の事を聞いた所、「有名だよ。」とのこと。
「特にテクニックに定評があるけれど、音に厳しい(是までの)Jazz fanが、アイドルを求めるかは疑問。でも最近は、若い女性プレーヤーが大挙Jazzの世界に入ってきてるから、新しいファン層を求めるには必要なのだろう。」
とやや否定的な意見が返ってきた。
金沢のコンサートでの彼女は、ベースを胸の位置(高い位置)に持つため、
幼い表情と相まって年齢よりもさらに若く見えます。
ただ、世界が最も注目する若きベーシストを覚えておいて損はないはず。
今回放送されるコンサート映像は、ロック・ファンだけでなく、
フュージョン・ファンやジャズ・ファンが鑑賞しても新しい発見があるはず。
とにかく、凄いです!
~下記、NHKホームページ記事転載。
ジェフ・ベック(1944年生まれ)。
1960年代にロック・ギターの基礎を確立したパイオニア的存在。
さまざまなプロジェクトをへて、75年のアルバム『ブロウ・バイ・ブロウ』でロック・インストゥルメンタルの手法を開拓。
以降、一貫してギターの可能性の拡大に挑戦しつづけ、
グラミー賞では最優秀ロック・インストゥルメンタル賞を4回獲得している。
今回紹介するのは、
2007年11月ロンドンの老舗ジャズ・クラブ、
<ロニー・スコッツ>で収録されたライブ。
キュートな女性ベース奏者、タル・ウィルケンフェルドをフィーチュアした、
技巧に卓越したバンドとともに新旧の代表曲をたっぷりと聞かせている。
ゲストは、盟友エリック・クラプトンやジョス・ストーンなど豪華な顔ぶれ。
●放送予定:曲目リスト
1:BECK’S BOLERO
2:STRATUS
3:CAUSE WE’VE ENDED AS LOVERS(哀しみの恋人達)
4:YOU NEVER KNOW
5:NADIA
6:BLAST FROM THE EAST
7:LED BOOTS
8:ANGEL (FOOTSTEPS)
9:PEOPLE GET READY
10:SCATTERBRAIN
11:GOODBYE PORK PIE HAT / BRUSH WITH THE BLUES
12:SPACE BOOGIE
13:BLANKET
14:BIG BLOCK
15:A DAY IN THE LIFE
16:YOU NEED LOVE
17:WHERE WERE YOU
【金沢公演を見て感じたこと】
友人曰く。
「ジェフ・ベックは、誰も到達できない高みに到達した数少ないアーティスト。」
チャー曰く。
「多くのギタリストが過去の遺産で喰っている中で、ジェフ・ベックだけは常に進化し続けている。」
自分にとってのコンサートは確認作業かもしれない。
「凄いものを、この身で体験したい。」
現実に目の前にいるジェフ・ベックは、柔和な男だった。
1999年の映像を見る限り、オーディエンスを突き放すような感覚を受けていた。
孤高のギタリストと言われる所以は、MC(コメント)嫌いやパフォーマンスの少ない動きに代表される、技術の追求に身を捧げる姿勢。
観客を突き放したコンサート体験は、
1997年2月18日の大阪厚生年金会館で観たボブ・ディランのコンサート。
開演前、その時ディランのコンサートのイメージを浮かべた。
(蛇足ながら、ディランの1997年のライブは、自分が見たあらゆるショービジネスの中で最高の部類に入る緊張感を持ったステージだった。仏頂面のディランの濁音のギター・ソロは技術を超越した凄みを感じた。一定音量のボーカルもまた、底知れぬ迫力を持ち、貴重なコンサート体験だった。そう言えば今回のジェフ・ベック・コンサートの開演前のスピーカーからは、ボブ・ディランが流れていたような…。)
しかし、実際に経験したジェフ・ベック・コンサート2009は、優しさに包み込まれるような気分がした。
それは、娘と言うにも若すぎるタル・ウィルケンフェルドの影響があったのかも知れない。
(64歳のジェフと23歳のタル)
アンコール前のメンバー紹介以外、一言も言葉を発しなかったジェフの笑顔を何度見たことだろう。
ピックを使わない5本指で奏されるギターの音は、一音一音の音の表情がロックギタリストのアタックとは違い、一音のバランスさえも調節しているように感じた。
詳しい友人に聞くとスローな曲だけでなく、速い曲でも一音一音のボリュームを変える技術を持っているそうだ。
バイオリン奏法と言われる奏法で、ジェフ・ベックの最大特徴の一つらしい。
また別の友人は、ピックを使わないことで柔らかい音が出るし、弾いた後の処理が指弾きの場合に音の調整がある程度自由にできるとの事だった。
驚きは指弾きにもかかわらず、音が明瞭なこと。
また、多くのロック・ギタリストは手癖を持っており、早弾きする場合にどうしてもパターンが決まってくるのだが、ジェフ・ベックの場合は手癖がなく、変幻自在に音を操ることができるのだそうだ。
その代わりアドリブラインが少なく、何度か聴いていると飽きる曲も多い。
そんな知識を確認しながらコンサートを楽しんだ。
「CAUSE WE’VE ENDED AS LOVERS(哀しみの恋人達) 」の優しい音色。
「Behind the Veil」の力強いセッション。
「You Never Know」 のセンス。
「Led Boots」の迫力。
「Blue Wind (蒼き風)」のノスタルジー
「 A Day In The Life」ビートルズの佳曲、
1999年のコンサートとは異なるアレンジのカッコよさ。
アンコール前にメンバー全員が中央に集まると、
自然にスタンディングオベーションでプレーヤーを讃える観衆。
手拍子すらも許さないジェフ・ベックの音の変化に、
行動で答えたオーディエンスのセンスもまた記憶に残った。
アンコール・ラストの
「The Peter Gunn」は、誰もが一度は聴いたことのある、
ヘンリー・マンシーニの名曲。
曲間で流れたジミ・ヘンは、最後のファン・サービスだった。
午後8時40分。
すべての宴が終わった。
【独り言:個人の記憶】
2009年2月13日/ ウェルシティ金沢:午後7時8分、客電が落ちる。
暗闇の中3人のサポート・ミュージシャン登場。
間髪いれず孤高のギタリスト・ジェフベックが、歓声の中登場。
ジェフにスポットライトが当てられた瞬間、ドラムがボレロのリズムを奏でる。
ジェフベックの金沢公演を知ったのが、このTV番組の情報を友人に告げたとき。
「そう言えばジェフ・ベック金沢に来るよ。1万円の席はもう売り切れてる。」
コンサートの6日前の出来事。
行こうか行くまいか迷った挙句、仕事を1時間早めに切り上げ、
当日券を求め会場に着いたのが、午後6時20分。
3大ギタリストのコンサート体験は、
エリック・クラプトの、<ジャーニーマン・ツァー>を武道館(1990年12月6日)。
ジョージ・ハリソン&クラプトン・コンサートを東京ドーム(1991年12月17日)。
ジミー・ペイジのペイジ・プラントコンサートを大阪城ホール(1999年2月15日)。
だから、
ジェフ・ベックは、どうしても見ておきたかった。
数少ない当日券の中で、最後列中央部の席を選択。
最後列と言っても日本武道館で言えば2階席最前列中央の距離。
ポッケに入った単眼鏡(×8)で覗くとジェフの指先の動きまで確認できる。
スピーカーの中央位置と言うこともあり、音の良さを実感できる。
音量も翌日耳鳴りがしない程度の心地よいバランス。
いつも通りの白と黒のファションは、ジェフの定番。
噂のタル・ウィルケンフェルドは、ピンク系のTシャツに黒いパンツ。
2人揃って黒のロングブーツを履いていた。
コンサートの楽しみのひとつは、見たい時に見たい所を見れること。
ヴィニー・カリウタのドラム・ソロ『レッド・ブーツ』の時にタル・ウィルケンフェルドは、
べったりと地べたに座り込み。(お疲れ?)
ジェフは、サイドで仁王立ち。
何か、ポコポコ音がするぞと思えば、ドラムセットの横に用意されたパーカッションをヴィニー(超絶ドラマー)が指先でピアノでも弾くかのように叩いていたり、ジェフとタルが二人羽織の妙技?を披露しているところでバック・ステージからベックのギターを引揚げ調弦(or張替)。何事もなかったように元の場所に。
また、会場から投げかけられた「I love you, Jeff」の声援に笑みがこぼれる。
さらに最後列から覗く音響と照明のコントロール。
ミキサーの動きは昔と変わらないが、照明はPC4台を並べくマス上に組み立てられた画面をタッチする場面など、テレビの画像では絶対知りえない情報の山。
ミキサー席に無造作に置かれたいたセット・リストには、アンコールは4曲だったのに…。
コンサート会場の持つ人と人のつながりは、
基本的に同じ趣味を持つ者達同士の共感の場であり、
同調する集団の中の一員としての安心感も感じる。
テレビ画面で見るリラックス空間とは違う緊張感と集中力。
ライブは、やっぱり生がいい。
そんなことを感じた。
会場の外に出てみると、
到着した時の春一番の吹き荒れた嵐は一転して、
雨があがり、心地の良いそよ風が吹いていた。
<ジェフ・ベック:ジャパン・ツアー2009>
日程:2009年2月6日(金)
日程:2009年2月7日(土)
会場:東京国際フォーラム ホールA
日程:2009年2月9日(月)
会場:NHKホール
日程:2009年2月11日(水)
会場:パシフィコ横浜
日程:2009年2月12日(木)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール
日程:2009年2月13日(金)
会場:ウェルシティ金沢(石川厚生年金会館)
日程:2009年2月16日(月)
会場:Zepp Fukuoka
日程:2009年2月18日(水)
日程:2009年2月19日(木)
会場:大阪厚生年金会館 大ホール
Jeff Beck : Guitar
Tal Wilkenfeld : Bass
David Sancious : Keyboards
Vinnie Colaiuta : Drums
<with エリック・クラプトン・コンサート>
日程:2009年2月21日(土)
日程:2009年2月22日(日)
会場:さいたまスーパーアリーナ
<関連記事:各地のライブ・レポート>
*Jeff Beck@金沢公演
http://blogs.yahoo.co.jp/kosi0810/38867181.html
*JEFF BECK@愛知県芸術劇場 大ホール
http://yoikonikki.exblog.jp/10346893/#10346893_1
*JEFF BECK@渋谷NHKホール
http://yaplog.jp/momo-kimock/archive/3553
*ソニー・ミュージック:ジェフベック公式サイト
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/ES/JeffBeck/?info