舞台神聖祭典劇「パルシファル」
リヒャルト・ワーグナー作曲
放送局 :デジタル教育3
放送日 :2008年11月3日(月)
放送時間 :午後8時~翌日午前0時(放送終了)
<mimifukuから、一言。>
2005年5月に、BSハイビジョン。
2006年5月に、BS2で放送された、ケント・ナガノ指揮の「パルシファル」が、地上波で放送されます。
音源(CD)では、クナッパーツブッシュ指揮のバイロイト音楽祭(1962年ライブ盤)があまりに有名ですし、晩年のカラヤン指揮のベルリン・フィルの演奏(1979年~80年=私は未聴ですが)は、カラヤン初のデジタル録音として高い評価を得ています。
ワーグナーの最晩年にあたる大作は、宗教的色合いが強い崇高な音響と美の極致とも言える管弦楽法を持ち、ワーグナーの創り上げた甘美な音響の集大成とも言える作品です。
また、畢生の大作『ニーベルングの指環(ニーベルンゲンの指環)』では、神の権威を失墜させ高らかに人間への回帰を訴えかけたワーグナーが、『パルシファル』では一転、神の御心に救いを求めたことで、哲学者ニーチェの激しい怒りをかった作品としても知られています。
(蛇足ですが、ニーチェの<神の死>への思想は、ワーグナーの楽曲に強く影響を受けているとされています。)
既に放送されているこの演奏に<究極の美>を求める事には、いささか躊躇を感じますが、滅多に地上波で放送されることのない<後期ワーグナー作品の舞台>の全貌を視聴できる機会は珍しく、ぜひお薦めしたい作品です。
ケント・ナガノさんの演奏に大袈裟な部分はなく、演出も奇を衒ったものでないので、
<後期ワーグナー作品>の入門として最適な部類に入る舞台演奏だと感じます。
ただし、<前期ワーグナー作品>のような豪放さは影を潜め、全体が陰鬱な内容であり、さらに歌唱には親しみやすいメロディがなく、そのほとんどが語り言葉のように進むのでオペラ初心者には辛い時間が流れると思います。
さらに舞台装飾や衣装の不気味さに抵抗を覚える方も多いでしょう。
そうした方は、最初の15分の管弦楽で奏される前奏曲を何度か聴き、その音場に慣れてから1幕ずつ数回に分けて、ご覧になられることをお薦めします。
ハッキリ言って、イタリア・オペラのような楽天的要素や、高らかな歌手の歌声を期待できない楽曲です。
どんな内容か、お楽しみに。
(注)舞台神聖祭典劇→ 舞台神聖祝典劇と表記する場合もあります。
また、NHKホームページに従い『パルシファル』と表記しましたが、
通常は、『パルジファル』の表記が一般的です。
検索する際は、『パルジファル』で試みてください。
*デジタル教育3を見るには。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/bdf5fd38a11bd00c77cc8dbab97fafe6
【出演】
アンフォルタス:トマス・ハンプソン
ティトゥレル:ビャーニ・トール・クリスティンソン
グルネマンツ:マッティ・サルミネン
パルシファル:クリストファー・ヴェントリス
クリングゾル:トム・フォックス
クンドリ:ワルトラウト・マイアー
合唱 :バーデン・バーデン祝祭合唱団
管弦楽 :ベルリン・ドイツ交響楽団
指揮 :ケント・ナガノ
演出 :ニコラウス・レーンホフ
~2004年8月:バーデン・バーデン祝祭劇場で録画~
<関連記事>
*歌劇「ローエングリン」~NHK教育(デジタル3)
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20090118