四国遍路テクテク日記

「四国を歩いて遍路する。」にこだわって平成14年のGWから2年間、5回に分けて歩いた記録を中心に遍路に関するあれこれ。

平成15年9月13日(土佐から伊豫・第17日目)

2005-07-26 09:07:05 | 第3回(土佐から伊予)
9月13日(土曜日)
(第1日・通算第17日目・歩行距離30.9km・歩行歩数46,168歩)

 5:55分、空が薄明るくなってきた頃、バスが高知駅に着く。
空は曇り空、でもだんだん晴れてきている。

 バスを降りると、湿気の高い熱気のある空気が肌にベトベトとまとわりつく。
寝不足でぼんやりした頭で、「この中を歩かなければいけない」と思うが、
気力が全然湧いてこない。
取りあえず、お腹がすいているので何かを食べようと思うが、
駅の売店が開いていない。
仕方がないので、頭をすっきりさせようと思い、トイレへ顔を洗いに行く。

 窪川行きの普通列車の発車時間までは30分ほどあるので、
駅のベンチに座り、ぼんやりと時間をつぶす。

 売店が開いたので、おにぎりを買う。
ほどなく改札が始まったので、窪川行きの列車に乗る。
 
 6:35分、列車が窪川に向かって発車する。
この頃になると空はすっかり晴れ上がり、南国の太陽がガンガンと
照りつけてくる。
 列車が走り出すと、窓の外にはお正月以来の懐かしい景色が現れてくる。
景色に見とれていると、気持ちがどんどんお遍路モードになってくる。

 途中にある川を見ると台風による雨でかなり増水したようで、
河床にある草が下流に向かって薙ぎ倒されている。
須崎の街を過ぎ、中土佐の街を過ぎると、もうすぐ窪川だ。
 
8:50分、窪川駅に着く。
 駅のトイレを借り、日差しの強い窪川の国道を歩き岩本寺を目指す。

 15分ほどで岩本寺に着く。
山門前の駐車場に数台の車が止まり、お遍路さんの姿がちらほら見える。
山門で一礼し、境内にはいると懐かしい光景が目の前に広がる。

 手水の横にあるベンチに荷物を下降ろし、白衣を着て輪袈裟を首に掛け、
身支度を整えて本堂へ向かう。
本堂は窓が開けられ明るく、風が吹き抜けるので中は涼しい。
台風の余波の風が時折強く吹き抜けていく。
お参りをしてから、天井画のモンローさんに挨拶をする。

 大師堂をお参りしてから納経所へ向かう。
納経所では、住職の奥さんが納経をしている。
お正月に来たときにお世話になったと挨拶をしてから、六花亭のお菓子を渡す。
 「和尚さんにどなたから戴いたものか説明しなければいけない。」と
言われたので、納め札を添えて渡す。

 9:20分、岩本寺の山門を出る。
さあ、これから3回目のお遍路が始まる。
天気は快晴、既に気温は相当上がっているが、時折吹く風が体の熱気を
吹き飛ばしてくれる。
寝不足の体には暑さがきついが結構気持ちよく歩ける。
 
 窪川の市街を抜け国道56号に出ると道は山に向かってゆるやかに登っていく。
汗がじわじわと噴き出すが、頭は日差しから菅笠に守られ以外と涼しい。

 菅笠は、頭の熱気を素早く逃がしてくれるだけでなく、
照りつける太陽から首筋も守ってくれる。以外と快適だ。
しかし、時折吹く強い風には全く弱い。
風が吹く度に両手で笠の端をつかんで吹き飛ばされないようにする。

 今回は1時間歩いて10分休憩する。というペースで歩くことにした。
  
 順調に歩いていくと峠を過ぎたようで道が下り坂になってくる。
 片坂第1トンネル、第2トンネルを過ぎると道は大きな谷にさしかかる。
大きくヘアピンに曲がった橋を下ると市野瀬のようだ。
ここでちょっと休憩する。

 12:00分、市野瀬を過ぎ、伊与木川に沿って歩いていくと右側に
佐賀温泉が見える。

 ちょうどお昼なのでここで昼食を取ることにする。
食堂で牛丼(650円)を注文する。食堂の中は冷房が利いて涼しい。
出された水を一気に飲み干し、飲み足りないのでもらいに行く。
コップに2杯ほどの水をのどに流し込むと、フウと一息ついて生き返る。

  昼食後、自宅へ電話をする。
天気が悪くて心配していた妻に予定通り歩いていること。
心配した天気は快晴であることを知らせる。
 
 今日の宿を予約していないので宿を決めなければいけない。
地図を出してどこに泊まろうか考えたが、少しでも近いところにと思い
「民宿海坊主」に電話するが、今日は満室と断られる。
仕方がないので、予定通り「民宿みやこ」に電話すると宿泊できるとの
ことなので、お願いする。
今日の宿も決まったので、20キロ先の宿を目指し、頑張ることにする。

 12:25分、佐賀温泉を後にして、カンカン照りの外へ出る。
玄関を出ると熱気がワッと襲ってくるが、我慢して歩き出す。
 
 佐賀町の市街へ入る交差点に来た。
左に曲がり市街へ入ろうとすると交差点に立っていた建設作業員風の
お爺さんに呼び止められる。
「中村へ行くのだったら、市街に入らずに真っ直ぐ行くといいよ。
その方が近いし、トンネルがあるので涼しいよ。」と教えてくれる。
お礼を言ってから、ヘンロ地図を見るがこの道路は出ていない。 

 しばらく進むと左手に佐賀駅が見えてきた。
どうやら佐賀町の市街を通らないようにバイパスができているようだ。
ほどなく、トンネルが見えてきた。
横浜トンネルと書かれた大きなトンネルだ。

 トンネルの中は思ったほど涼しくはなかったけれど、
何より太陽の日差しを避けて歩けたのは嬉しかった。

 トンネルを出ると道が上り坂となっている。
少し歩くと左側に海が見えてきた。エメラルドグリーンのきれいな海だ。
14:40分、ここでしばらく休むことにした。

 このあたりの海は「土佐西南大規模公園」というらしい。
海岸線を見ると岩場があり、海もきれいだ。

 15:30分、佐賀町と大方町境を通る。

 井の崎トンネルを通り抜け、疲れのためちょっと元気なく歩いていると
向こうの方にお店が見える。
疲れた体を飲み物とアイスで元気づけようと思い店に入る。

 スポーツ飲料と小豆アイスを買ってレジでお金を払おうとすると、
私より先にお金を払っていたお婆さんが百円玉を
「ジュースでも飲みな!」といって、手渡してくれる。
あわててお礼を言って、納め札を渡す。
今回初めて頂いた「お接待」だ。

 店先の縁石に座り、アイスを食べ飲み物を飲むと少し元気が出てくる。
 
 伊豆田トンネルを過ぎしばらく行くと「海坊主」が見えてきた。
民宿みやこへはあと3キロ程と自分に言い聞かせ黙々と歩く。
この辺りの海には釣り人がたくさんいるので、「海坊主」も今晩は
釣り人でいっぱいなのだろう。

上川口の集落を過ぎ、坂道を登っていくと、
突然、左側に「民宿みやこ」の看板を見つける。

 17:10分、「民宿みやこ」に到着。
やれやれ、これで今日一日頑張って30キロを歩いたことになる。
「みやこ」は建物の左側が喫茶店で右側が民宿の入口になっている。
民宿の入口には、宿泊客は喫茶店で受付をすると書いてある。
 喫茶店に入ると冷房がよく効いている。
誰もいないので声を掛けると厨房の方からママさんが出てくる。
喫茶店が涼しいので、冷たい水をもらい、ちょっと、一息つく。
宿帳を記入し、部屋の鍵をもらう。

 部屋に入ると締め切ってあったので、ムッとした空気が充満している。
あわてて、窓を開けて風を入れる。
少し部屋の空気が入れ替わったところで窓を閉め、クーラーを入れる。
涼しい風が部屋の中に満ちてくる。
汗だくの衣類を着替え、ベランダにある洗濯機に放り込み、
風呂へ行くが、浴室も暑いので窓を全開にして風を入れる。
体にお湯をかけると、二の腕が痛い。
日焼けで真っ赤になっている。
お湯をぬるくして、石鹸で体を洗う。
頭も洗い、ぬるめにしたお湯の中に体を浸けると、
やっと、緊張がほぐれてくる。

 昨日の夜中から朝までバスに揺られ、寝不足の体で30キロを歩いて
きたのだから疲れているのは当たり前だ。
 しかし、お湯に浸かっていても暑いだけなので、早々に部屋へ戻る。
部屋の中は冷房が良く効いて涼しい。
布団をひいて、しばしゴロゴロする。

 6時に夕食と聞いていたので喫茶店へ行く。
夕食には鰹のタタキが出ていた。なつかしい。
ボリューム満点の夕食をおいしくいただく。
お遍路に出ているときは食事が一番の楽しみとなる。
 でも、今回はダイエットをするためにご飯は一膳だけと決めていた。
ちょっと物足りないけれど、暑さのため食欲が落ちているせいか
このくらいの量がちょうどいい。
 
 朝食のことを聞くと7時からとのことなので、
明日の朝は早く出たいのでおにぎりを頼む。

 早めに床についたが、やはり暑くて寝られない。
クーラーを一番高目の温度に設定するが、慣れてないせいか
クーラーの冷たい風が体に当たると寝られない。
でも、クーラーを切ると暑くて寝られない。
いったいどうすればいいのか?

 窓を開けても、外からはいる風は生温く暑い。
結局、クーラーを入れっぱなしにして寝ることにした。

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