四国遍路テクテク日記

「四国を歩いて遍路する。」にこだわって平成14年のGWから2年間、5回に分けて歩いた記録を中心に遍路に関するあれこれ。

平成14年4月30日(阿波・第4日目)

2005-06-30 09:39:57 | 第1回(阿波編)
4月30日(火曜日)
(第4日目・ 歩行距離26.1km・ 歩数41,423歩)

 5:00分、起床。空を見ると青空がのぞいており、今日もいい天気のようだ。

6:00分、朝食。奥さんがしきりに、ご飯が柔くてすみませんと謝っている。
娘さんに任せたら水加減を間違ってしまったとのこと。
私は軟らかいご飯が好きなので気にならない。今日も2杯をしっかりと食べる。
 今晩の宿を決めていないので、奥さんに徳島市内で紹介してもらえる宿はないか尋ねると、近藤旅館を紹介してくれる。

 玄関先の箱の中にハッサクがたくさん入れてある。
もらっていってほしいとのこと。
ハッサクは重いので1個だけいただく。
 お婆さんが玄関まで見送りに出てくれている。
お歳を聞くと80歳を越えているとのこと。
「お元気ですね!」と言うと、「お遍路さんからいつも元気をもらっています。」とのこと。

 6:35分、奥さんとお婆さんにお礼を言って、13番大日寺へ向かう。
大日寺までは、11.1キロほどだ。

 ヘンロ路は、植村旅館の裏にある橋を渡り、鮎喰川の右岸の集落の中を
下っていく。
 空にはどんどん青空が広がり、まだ空気がヒンヤリしているので
気持ちよく歩ける。
足の調子も指先が痛いだけで何とかなりそうだ。
今日は徳島市内を目指し歩く。

 ヘンロ路は鮎喰川の右岸から左岸の車道へもどる。
前を行くYさんとの距離がどんどん離れる。
車道に出る。車道は、結構な交通量がある。
通勤時間なのか、みんな結構飛ばしていく。

 7:35分、広野の集落に着く。橋を渡って広野小学校の前で一休み。 
 左足の小指のテーピングを直して、ちょっと休む。
車がどんどん増えてきて狭い路をスピードを上げて走っていく。
この道は歩道がないのでちょっとおっかない。
歩道用に書かれているラインを越えないように気をつけて歩く。

 広野の町を過ぎてから、一昨年来たときに泊まった軽井沢レジャーランドの
標識を見つける。
懐かしかった。対岸を見ると、夕食を取った食堂も見える。
懐かしい光景に気をよくしてどんどん川沿いの路を下っていく。
通勤時間が過ぎたようで心なしか車の量も少なくなったような気がする。

 8:40分、刑務所入り口手前に丁度良い木陰があったので小休止する。
Sさんが追いついてきて少し話をする。鈴をどこかに落としてしまったらしい。

 入田町に入る。日差しが強くなり気温がどんどん上がっている。
ここまで来るともうすぐ大日寺だ。
大日寺の手前で、お婆さんに呼び止められ、ハッサクのお接待を受ける。
ありがたくいただく。

 9:35分、大日寺に着く。


第13番札所 大日寺

 境内には数人のお遍路がいる。見たことのない顔の人が多かった。
 荷物を日陰のベンチに置かしてもらい、お参りをする。
納経を済ませ、ベンチに腰掛け一服する。
植村旅館から貰ったハッサクを1個食べてから、近藤旅館に電話する。
宿泊OKとのこと。これで今日の宿も決まり、ほっと一安心。

 次の常楽寺を目指す。常楽寺までは2.3キロ程と近い。
ここから17番井戸寺までは、お寺の間隔が近いので適当に休める。

 大日寺の右側を曲がり、鮎喰川を目指して歩く。 
川に架かっている橋のたもとに向かって車道が右側に曲がっている。
しかし、ヘンロ路はそちらへ行かず、逆に左に曲がり川にむかっている。
左に曲がり歩いていくと、橋の真ん中に歩道が延びて、橋の歩道に繋がっている。
 橋を渡り右に曲がると、住宅地の中をうねうねと曲がりながら路が続いている。
ため池が見えてくると、常楽寺はもうすぐだ。

 10:30分、常楽寺に着く。


第14番札所 常楽寺

 山火頭の石碑に迎えられ、記憶のある自然石の階段を上がると、
常楽寺の境内だ。
境内に広がる自然石に足を取られないように気をつけながら本堂へ向かう。 
風が強くなってきており、ロウソクに火をつけるがうまくいかない。
何とか火をつけて線香に火を移す。
人気のまばらな境内なので気兼ねなくお経を唱えられるはずが、
暑さのため気持ちが集中しない。大師堂でもお経を唱える。

納経はお婆さんがしてくれた。
 実は、常楽寺の納経所ではある期待があった。
 それは、前回来たときに納経していただいた和服姿のすてきな奥様に
会えるかもしれないという期待である。
前回は、歳の頃から住職の奥さんかと思われる上品ですてきな奥さんが
納経をしていた。
納経帳を書いている姿、納経帳の扱いも丁寧で、すてきな人だと思っていた。
今回は縁がなかったようだ。

 あきらめて、次のお寺、国分寺へと向かう。国分寺までは0,8キロだ。
 
 慈眼寺の入り口に、立派なお地蔵様を見つける。懇ろにお参りする。

 11:05分、国分寺に着く。常楽寺からは1キロ足らずなのですぐに
着いてしまった。


第15番札所 国分寺
 
 国分寺は、境内の中を風が舞い、土埃が上がっている。
風に追われるように納経を済ませ観音寺に向かう。観音寺までは1.7キロほどだ。

 山門前のT字型の交差点に来ると、ヘンロ標識は左側を指し、
四国の道の標識は右側を指している。今回は右側に行ってみる。
すると道はぐる-っと国分寺を回り、ヘンロ路と合流した。

 ほどなく、大きな車道に出る。
ここへ来ると標識も見当たらないので左に曲がって進むと、前のほうで、
国分寺にいた青いシャツの人が道を聞いており、交差点で車道を横切ったので、
ついてゆく。
この人の前にもう一人ヘンロらしい人が歩いている。
 
 小学校の横を通り、細い道をまっすぐ歩いていくと交差点があった。
その交差点を渡ろうと思って左右を見ると、右側に観音寺の山門が見えた。
前を行く人に声を掛けようと思ったが、既に100mは先を歩いているので
あきらめて、観音寺へ向かう。
11:45分、観音寺に着く。


第16番札所 観音寺

 観音寺は、町の中にある小さなお寺だ。境内も狭く、こじんまりとしている。
山門の正面に本堂があり、右手に大師堂がある。

 人気の少ない境内で、本堂、大師堂にお参りする。

 納経所へ行くとお婆さんが納経してくれる。
納経が終わってから話しかけてくる。
話を聞いていると、どうもテレビニュースで報じていたこの付近であった
事件のことを話しているようで、「最近この辺も新しい住宅地が出来て
知らない人が増えたので、この辺も物騒になってきている。」とのこと。
「知らない人には話しかけることもできない。」などとブツブツ言っている。
 話の内容からすると、徳島市でもこの辺は中心街から大きく離れた町なのに、
都市化が進み、宅地開発が進みつつあり、市街からの移住者が多くなり
顔の知らない人が増え物騒になってしまったということらしい。

12時となったので昼食を取りたいと思い、お婆さんにどこか食堂はないか
尋ねると、お寺の前を左に進み突き当たりを左に進むと、
ほどなくうどん屋があるという。
地図をよく見ると、「ぬまた」といううどん屋さんがあり、
そこで一服することにして、観音寺を後にする。次の井戸寺までは2.9キロだ。

 「手打ちうどんぬまた」に入り昼食とする。「ぶっかけうどん」を頼む。
小上がりに上がり、靴を脱ぎ、靴下も脱ぐ。
足の指を前後左右に動かし揉むと気持ちが良く、生き返るようだ。 
 ここでうどんを食べていると、Sさんが来る。
さらに、喜寿のおじいさんとKさんも来る。
みんな考えることは同じようだ。
 ぶっかけうどんは、冷たくておいしかった。みんなにも勧める。

 Kさんが、いま、観音寺の納経所でお坊さんに怒っている人がいた
という話をする。
話の内容は、どうも、私の前を歩いていた青シャツの人が観音寺への交差点を
曲がらずに道を間違えてまっすぐに行ってしまったことに端を発しているようだ。
交差点に目印の標識がないということを怒っていたようだ。

 青シャツの人は道ばたにあるお地蔵さんにも手を合わせていた人なので、
そんなことで怒るということが信じられなかった。
でも、お遍路をしている人がすべていい人であるはずもないので、
「いろんな人がいるね!」ということか。

 Sさんと先に「ぬまた」を出ると、何と先ほどはなした青シャツの人が
歩いてくる。
私たちは、左に曲がろうとすると「まっすぐ行くのではないかという」
「どっちへ行っても同じですよ」と言い残し、私たちは左へ進む。

 住宅地の中を何回か曲がると、正面に井戸寺が見えてきた。

 13:30分、井戸寺に着く。


第17番札所 井戸寺

 喜寿のおじいさんは所用が出来たため、本当は通し打ちのつもりで出てきたが
今回はこの井戸寺で、一旦、家に帰るとのこと。 
 この次の健闘を願い、ここで分かれる。

 井戸寺の納経所で待っていると、先に納経を済ませたおばさんが
「小さいお金で済みません」と言って、納経料を小銭で払った。
住職らしい人が、「ドルでなければ問題ありませんよ。」と冗談を言っている。
 「大きなお金で、納経料を払われると困ることもあるけれど、
小さなお金で払われても困ることはない。そんなことも気になるのですかねぇ。」と言っている。
おもしろい住職だ。 

 井戸寺からは、丁度、一緒になったSさんと徳島市内を目指して歩く。
右手の先に見える眉山の麓が徳島市内なのでそこまで行かなければならない
とのこと。
市街地の道を快調に進む。

 鮎喰川を渡ったところで自転車に乗ってきた中年の女性から
缶ジュースをお接待される。
お礼を言って、その先にあるバスの停留所で休む。

 停留所で休んでいると青シャツの人が来る。
「この道でいいのか、今晩はどこに泊まるの?」などとしつこく聞いてくる。
口の訊き方もぞんざいな感じがする。
あまり相手にしたくない感じなので、適当に答え先を行く。
そうすると後を着いてくる。まあ、行き先は同じ方向なのだからしかたがない。
 
 佐古6番町と思われる辺りで道が大きく右に曲がっている。
地図には、こんなに道が曲がっているようには書かれていないので、
ヘンロ地図を出して見ていると、また青シャツの人が来て口を挟む。
地図には目印のガソリンスタンドが載っていたので、安心して進む。

 道路に向かい側に郵便局を見つけたので、お金を降ろすために横断歩道を渡る。
Sさんとはここで別れる。Sさんの今日の宿はワシントンホテル。

 郵便局で今日の宿である近藤旅館の場所を聞くがどうもよくわからない。
でも、駅前のほうにあることは間違いがないようだ。

 徳島市内の中心街に向かってどんどん歩いていると、
右側の小路からお遍路姿の人が出てくる。
ちょっと話していると、同じ路からあの青シャツの人も歩いてくる。
そして、道の標識が違っていると毒付いている。
横を見ると、四国の道の石柱が立っており、
なるほど、恩山寺と書いて右を指している。

この標識に従って曲がったところで先ほどのお遍路さんに会い戻ってきたようだ。

 青シャツの人を相手にせずに進んでいくと、眉山ロープウェイの駅前に出る。
横断歩道に新町橋と書かれてあるので、この辺に近藤旅館があると思い
近くの弁当屋で聞く。
しかし、どうも要領を得ない。
適当にもどって、違う人に聞き、やっと、場所がわかった。
近藤旅館の前を通り過ぎて探していたようだ。

 16:00分、近藤旅館に着く。
 フロントにいたお婆さんに「早かったですね。」と言われる。

 若奥さんに洗濯機の使い方などを聞いて、洗濯をする。
夕べ植村旅館で洗濯して乾いていないものを屋上の物干しにかける。
風があるのですぐに乾きそうだ。

 目の前には中心街が広がるので、ちょっと徳島の町の散策に出かける。
街を歩いている女学生のスカートの短さにちょっとどきどきする。
これは、この数日あまり人のいない道を歩いていたせいかもしれない。

VIVASHという珈琲ショップへ入る。カプチーノを頼む。
生クリームの泡に砂糖を浮かし飲む。おいしかった。

 お遍路から、ちょっと都会の生活に戻るが妙に落ち着かない。
徳島新聞を見ると今日の気温は26度だったようだ。6月中旬の気温とか!
道理で暑かったはずだ。

 近藤旅館に泊まっている人でお遍路は私一人だった。
あとの人たちは高知から来ている建設関係の人たちのようだ。
若い人たちで、体格もよく茶髪などで一見、暴走族風だけれど奥さんと
話しているのを聞くとごく普通のお兄さん達だ。

 明日の天気予報では雨だと言っている。
この3日間は晴天に恵まれていたので、しかたがないか。
 でも、明日は、立江までの15キロほどなので、
やはり、お大師様がゆっくりしなさいということだと勝手に解釈し、
「金子や」さんへの予約確認をあきらめ、のんびりすることに決める。


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2 コメント

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Unknown (ともぶー)
2007-04-05 22:59:04
四日後に友達二人でお遍路歩き旅に出発します。宿の情報が少なく行き詰まっていたのですが、日記を読ませていただき問題解決しそうです!!ありがとうございました。
旅の様子もとっても詳しく書かれてあるので、楽しく読ませていただきました。私も頑張って歩いてきます
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役に立てば何よりです・・・ (MIKO)
2007-04-06 18:33:10
ともぶーさん、初めまして!

私のブログがあなたの役に立てば、それは何よりも嬉しいことです。
ぜひ、頑張って歩いてください。
といいながら、頑張るのではなくて心を解放してあるがままを
素直に受け入れてください。
そうすれば、四国を満喫することができると思います。

歩いて遍路をすると自分の弱さ、傲慢さ、などの欠点に気が付くとともに
自分が知らなかった自分の良さを発見できることもあります。

事故には十分に注意して楽しんでください。

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