四国遍路テクテク日記

「四国を歩いて遍路する。」にこだわって平成14年のGWから2年間、5回に分けて歩いた記録を中心に遍路に関するあれこれ。

平成15年9月22日(土佐から伊豫・第26日目)

2005-08-08 09:25:50 | 第3回(土佐から伊予)
9月22日(月曜日)
(第10日・通算第26日目・歩行距離37.0km・歩行歩数56,854歩)

 5:00分、いつものように目を覚ます。
風邪を引いたと思っていたが寒気もなく、一晩寝たら良くなったようだ。
 ベランダの洗濯物を取り込み、ザックに積み込む。

 6時に食堂へ行くと、すでに、秋田のお爺さん達が食べている。
6時半頃に松山市へ向かうバスがあるようで、そのバスで浄瑠璃寺へ
行くようだ。
九州のご夫婦もやってくる。
食堂がにぎわった頃、食事も終わり、皆さんに挨拶をして、宿代を払うと、
大きなおにぎりを1個お接待してくれる。
お礼を言って、笛ケ滝を出発する。

 6:15分、昨日歩いた道を、また、大宝寺へ向かって歩く。
空気が冷えて寒いが、天気はいいようだ。
人気のない久万町の街を歩いて行くがボーとして大宝寺への曲がり角を
通り過ぎてしまう。
見慣れない景色なので立ち止まり、よく見ると曲がり角を過ぎていた。
ちょっと戻って、総門へ向かう。

 総門をくぐり、山道を歩いていくと、もう、お土産やさんが
店開きをしている。
おじさんに挨拶してから、もう一度道を教えてもらう。

 山道をそのまま進むと、ヘンロ標識があり、その先は山道となっている。
薄暗い杉林の中を歩く。
少し登りになってからダラダラと下っていく。

 7:10分、峠御堂トンネルの先にある車道に出る。
そのまま車道を下っていくと、河井の集落がある。

 7:25分、ここで一休みする。
河井の集落から、また道が登り坂となり、ダラダラと登って行くと
右手に山道の入り口がある。

 ここで車道から離れ、山道を進む。
山道を登っていくと、「マムシに注意!」と書かれた看板がある。
今までも山道を歩いていると、おそらく蛇だと思うが前方の草の中を
カサカサと音を立てて動いていたが、このようにマムシと書かれると
ちょっと緊張する。

 槇谷からの分岐点手前で、中年男性の遍路が歩いてくる。
挨拶を交わして、先を急ぐ。

 八丁坂の茶屋後の看板を過ぎると、やせた尾根道となり、
ほどなく岩屋寺が近くなったのか道が下っていく。

 この下り道の途中、途中に、沢山のお不動さんが祀られており、
せわり禅定の入り口が見えてくる。
そのままドンドン下ると、山門が見えてきて、やっと岩屋寺に着く。


第45番札所 岩屋寺

 9:15分、岩屋寺の本堂に着く。
本堂は太陽の光がまともに当たりまぶしく輝いている。
お参りしている人は、ほんの数人。
落ち着いてお参りができる。

 右手にある大師堂もお参りして、納経所へ行くと、奥さんからお菓子と
ミカンの接待を受ける。
お礼を言ってベンチで食べる。

 9:40分、岩屋寺を後にする。
岩屋寺からは、今来た道を戻るのではなく、一度、下まで降りて
車道を行くことにした。その方が早いためだ。

 階段をドンドン下りていく。
途中数人のお遍路さんとすれ違う。

 参道の両側にお土産やさんがあり、ショウガ湯を飲みませんかと
差し出される。
お礼を言ってご馳走になる。
ここでお店のおばさんと立ち話をすると、「河合から千本峠を通り高野へ
行く道は、止めた方が良い。最近は、ほとんど歩いた人がいないので
荒れ放題になっている。ここ2~3年は歩いた人がいないのではないか。」と
教えてくれる。
 車道を歩いて久万町まで戻り、三坂峠を目指した方が良いとアドバイスして
くれる。
でも、私はこの話を半信半疑で聞いていた。
インターネットを見ていてもこのような情報はなかったからだ。
折角の忠告だが、無視することにした。
おばさんご免なさい!

 バイクで来たときにお風呂に入りに入った国民宿舎小岩屋荘の前を通り、
車道をドンドン進む。

 10:40分、ゴルフ場の入り口で一休みする。

 11:05分、岩屋寺に至る山道の入り口を通りすぎる。

 11:25分、河合の集落を通り過ぎて、高野への入口を右に曲がる。
確かに夏草が生い茂り、道が見えずらくなっているところがある。
でも、それほどひどい道でもない。四国の道の標識もある。

 山道を登り終えるとここが千本峠か?
ここからは沢に向かって下っていく。
そのまま下るのかと思うと、また登っていく。この登りは一寸きつかった。
登り終えると数軒の家がある。どうやら高野のようだ。

 12:10分、ここで昼休みとする。
誰もいない車道に座り込み、笛ケ滝でいただいた大きなおにぎりを頬張る。
中に3種類ほどの具が入っており、おいしい。

 12:25分、お腹も一杯になったところで高野を立つが、
ここからは延々と下り道のようだ。
右下に採石場が見えているが、そこまでは下らなければいけないようだ。
イヤになるくらいドンドン下ると、
ようやく国道に出る。

 国道を右に曲がり、三坂峠へと向かう。
10分くらい歩くと、右側に高殿神社と大きな自然石に書かれた門がある。
奥の方を見ると、神社の社が見える。

 道が少しずつ登って行くが、暑さのため足取りが重い。

 13:20分、東明神にある閉じているお店のベンチを借りて一休みする。
自販機があるので冷たいファンタを買って、一息つく。

 1台の軽トラックがやってきて、お爺さんが降りてくる。
話しかけられたので、札幌から来ていることなどを話していると、
「三坂峠の旧道は誰も通る人がいないので荒れ放題になっている」と、
話してくれる。
あれあれ、どこかで聞いたような話だと思い、岩屋寺のお土産店の
おばさんの話を思い出す。
この時も、行ってみなければ分からないと思っていた。

 13:30分、重い足取りで坂道を登っていく。
そろそろ峠に近いはずだと思って歩いていると、
左手で大きなトンネル工事をやっている。
どうやら、三坂峠をショートカットするトンネルを造っているようだ。
かなり大規模な工事のようだ。
この工事現場を見ながら登っていくと、ほどなく、道が左に曲がっている。
ハッとしてみると、右手の草むした道にヘンロ標識を見つける。
どうやら三坂峠のようだ。 

 14:10分、車道脇から右手にのびる遍路道を進む。
民家の横からいきなり急な下り坂となる。
九十九折りの道がドンドン下っている。
転ばないように杖の助けも借り、ドンドン下る。
左の膝が悲鳴を上げる。
やっと傾斜が緩やかになったところで、舗装された車道となる。
この道をまた延々と下っていく。

 道の両側には田んぼが広がっている。
しかし、ほとんど黄金色で、ところどころで刈り入れが行われている。
収穫の秋なのだ!

 車道は、その田んぼの中をうねうねと下っていく。
 歩き疲れて、一寸休憩する。
地図を見ても全然進んでいない気がする。

 歩き出して、ほどなく網掛石大師堂に着く。
左手に真新しいお堂があり、右手には大きな石があるが、
その石の表面はまるで網を掛けた後のように窪んだ模様が残っている。
それで、網掛石と言われているのか。

 ここを少し下ったところで珍しいものを見た。
ブドウ棚みたいなものが道の脇にあり、何の気なしに見ると
緑色の葉っぱの下に5センチほどの深い黄緑色で楕円形の玉が数個なっている。
よく見ると、キィウイのようだ。
キィウイが生っているところを初めてみた。

 前方の方に街が見えてくる。
どうやら浄瑠璃寺のある坂本の街のようだ。
疲れた体に活を入れた歩いていくと、右手に4階ほどの大きな建物が見える。
長珍屋と書かれた看板がある。
長珍屋の向かい側が浄瑠璃寺だ。


第46番札所 浄瑠璃寺

 16:10分、浄瑠璃寺に着く。
階段を上がり境内に入る。正面に本堂が見える。
手水で手を洗い、本堂へ向かう。
今回、最後のお寺となるので、本堂と大師堂で気持ちを込めてお経を唱える。

 納経所で納経を済ませた後、松山市内へ行くバスの時間を聞くと、
まだ1時間ほどあると教えてくれる。
「八坂寺まで行っても間に合いますよ。」と言ってくれたのだけど、
ここから先に進む気持ちは湧いてこなかった。 

 八坂寺までは1キロもないので十分間に合うけれど、
「この次は、ここから始めたいので!」と言って、ベンチで休ませてもらう。
家に電話し、妻に、無事に松山市まで来たことを伝える。

 これで今回のお遍路は無事に終えたことになる。
ベンチに座っていても、ただただ頭がボーッとしていた。

 松山市内へ向かうバスの中で、運転手さんに大阪へ行く深夜バスの
乗り場のことを聞いた。
すると、バスの終点である松山市駅まで行くといいと教えてくれる。
良く聞くと、松山にはJR松山駅と、バスの発着場となっている
松山市駅という二つの駅があるようだ。

 終点の松山市駅に着いたが、そこは、別に駅の建物があるわけではなく、
高島屋などのデパートがある繁華街だった。
道路の中央に路面電車の発着場があり、回りの歩道が
バスの発着場となっている。

 高島屋でお土産を買い、店員さんにこの近くでお風呂に入れるところが
ないか聞くと、路面電車で15分もあれば道後温泉にいけると教えてくれる。
運賃も150円ほどですと言われ、道後温泉まで行くことにする。
 
 路面電車に乗って道後温泉に着くと、以前、バイクで来た場所に着く。
ここに道後温泉の建物があると思ったら、どうやら、ここから商店街を
抜けた先の方に、あの古めかしい道後温泉の建物があるようだ。
 杖のほかに笠を持ち、お土産も持って道後温泉へと向かう。

 3~4百メートルも歩いただろうか、商店街を右に曲がると、
すぐ前に、あの建物がある。
入口は沢山の人でごった返している。
下足箱に靴をしまい、荷物の置き場所を聞くと、横の方にある廊下に
置いて下さいと言われる。
廊下には、紙がひいてあるだけで、そこの上にザック、お土産の袋、
杖に笠を置いて風呂銭を払い、中へはいる。

 お風呂場は、特にどうっていうことのない風呂だ。
単なる銭湯と言っても良いくらいだ。
 でも、汗まみれの疲れた体にはお湯が沁みる。
日焼けした脹ら脛には、沁みるどころの話ではないが、我慢してはいる。

 汗も流して、サッパリしたところで松山市駅に戻ろうと思い
脱衣所を出ると、女湯の脱衣所の前で「かあさん!かあさん!百円くれ~」と
大きな声を出している男性がいる。
どこかで聞いた声だと思い顔を見ると、なんと、同じ職場にいる人ではないか。
ビックリしてしまった。
どうやら、脱衣所のロッカー代を奥さんから貰うために女性用脱衣所の入口で
叫んでいたのだ。
脱衣所前の通路には沢山の人が行き交っており、こんな場所で大きな声を
出せる人はそうそういないだろう。

 この人と挨拶を交わしてから玄関へ向かったが、後で考えると
私が百円を上げれば良かったと思ったが、その時には、そんな簡単なことも
考えつかなかった。

 道後温泉の商店街で夕食を取り、松山市駅へ戻る。
23:00発、梅田行きのバスに乗り、四国を後にする。

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  大宝寺と岩屋寺は打戻になるから先に岩屋寺を打ってから大宝寺へ
 戻るのがよいといわれてる。
  しかし、私が歩いた感じでは大宝寺から岩屋寺を打って三坂峠へ歩い
 ていく順打ちで何も問題はないように感じた。
  地図上では同じ道を戻るように見えているが、実際に歩いた印象では
 同じ道を戻るわけではない。
 特に、高野を通としたら久万の市街には戻らないので、同じ道は歩かない。

  どのコースを歩くかは人それぞれだと思うが、初めて歩くなら順打ちを
 すすめます。 

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