四国遍路テクテク日記

「四国を歩いて遍路する。」にこだわって平成14年のGWから2年間、5回に分けて歩いた記録を中心に遍路に関するあれこれ。

平成15年9月19日(土佐から伊豫・第23日目)

2005-08-03 09:31:53 | 第3回(土佐から伊予)
9月19日(金曜日)
(第7日・通算第23日目・歩行距離28.1km・歩行歩数44,256歩)

 5:30分、ちょっと遅めに起床。
荷物をまとめていると、6時過ぎに、「朝食の用意が出来ましたよ~」と
声がかかったので、荷物を持って1階の食堂へ行く。

 建設作業の人達に混じって、カウンターで朝食を頂く。
いつもは6時前には朝食を終えていたので、今日はちょっと遅めの朝食だ。
さっさと朝食を食べ、朝食準備で忙しい宿の人にお礼を言って、
6:35分、出発だ。

 宿からは右手の方へ行くと国道にぶつかるが、その国道が左に曲がって
くるはずなので、そこら辺で合流できると思い、真っ直ぐに歩き出す。
早朝のため人気のない宇和島の街を歩く。

 左手が港のようで、そちらに松山方面と書かれた大きな標識のある
広い道路が見えたので、バイパスかと思い左に曲がり、その広い道路を進む。

 しばらく歩くと、その道が高架線へと続いていく。
その先にはトンネルが見え、どう見ても、人が歩いていけるような道ではない。

 右側に曲がり、丁度、犬を連れたおばさんに国道への道を聞いたが
よく分からないようだ。
でも、右手に行けば駅の方だと教えてくれるので、お礼を言って歩き出す。

 すぐ先で、お爺さんが、「お遍路道は、すぐ先の角を左に曲がり、
川にぶつかったところを右に進むといい。」と教えてくれる。
お礼を言ってその通りに進むと、小さな川にぶつかる。

 右に曲がってそのまま進むと、左手に和霊神社という、
大きく立派な神社が現れる。
地図を見ると、遍路道のすぐそばにこの神社が書かれている。
どうやら、コースは間違いがないようだ。
和霊神社の前をそのまま進むと、5分ほどで国道へ出た。
あとは、このまま左に曲がり進めばよい。

 上を見ると真っ青な空が広がっている、今日も天気がいい!!
時折吹いてくる風に吹かれて、交通量の多い国道を歩いていくと、
丁度、通学時間にぶつかり、前の方から自転車に乗った中学生や、
歩いて小学生がやってくる。
挨拶しながら歩いていく。

 挨拶をしていくのは小学生が多いが、中学生も時折挨拶していく。
でも、高校生となると、無視される。

 7:45分、根無川に沿って歩いていくと、梅林口と書かれたバス停が
あるのでちょっと一休み。

 休んでいる間に、中年のお遍路が一人追い抜いていく。
笠を被らずに登山帽を被っているが、手には杖を持ち、白衣も着ている。
首に巻いたタオルで汗をふきながら歩いていく。

 この中年遍路の後を追いかけるように歩いていく。
 
 しばらく歩くと、車道の左手にお地蔵さんが祀られている。
隣に石造りのヘンロ標識がある。
遍路標識に書かれている文字をよく見ると「中務茂兵衛」と刻まれている。
 中務茂兵衛の設置した遍路石を見たのは初めてだ。

 務田まで来たところの交差点でどちらへ進むのか分からなくなってしまった。
左手に龍光寺の標識があるが、これは、車用のものだ。
辺りをキョロキョロと見渡すと、真っ直ぐ山に向かっている道に
中年遍路の姿が見える。
その後を追うことにする。
田圃の中の道を、前方に見える山を目指して歩く。

 住宅が建て込んだ街に来たと思ったら、龍光寺と書かれた標識を見つける。
この標識に従って行くと、細い路地の正面に赤い鳥居が見える。
龍光寺だ!


第41番札所 龍光寺

 8:55分、龍光寺に着く。
龍光寺はお稲荷さんと関係があるのでお寺の山門代わりに鳥居がある。
鳥居をくぐり急な階段を上がると、左手に納経所があるので、
その前にあるベンチにザックを置いてお参りをする。

 龍光寺は山の中腹に建てられており本堂と大師堂も小さく、
こじんまりとしたお寺だ。
人影のほとんどない狭い境内の中で太陽を燦々と浴び一息つく。

 中年遍路が納経所の前を通り、左手へと歩いていく。

 9:25分、龍光寺を後にする。
階段を下りて、今、来た細い小路を戻る。
住宅街を右に曲がる。そのまま、右に右に進んでいくと大きな交差点に出る。
ちょっと方向を見失ってしまったので、丁度、トラックが止まっていたので、
佛木寺への道を聞くと、右へ進めばいいと教えてくれた。

 丁度、龍光寺の裏手あたりへ来たときに、右手にある木に小さな
ヘンロ標識を見つける。
地図をよく見ると、龍光寺から直接ここまで歩き遍路の道がある。
どうやら、遠回りをしてしまったようだ。
 

第42番札所 仏木寺

 10:05分、仏木寺に着く。
仏木寺の門前では、アイスクリームを売っているおじさんがいる。
お参りを済ませて、アイスクリームを買ってから脇にある東屋で休む。

 東屋には、お遍路とおじさんの二人が休んでいる。
お遍路さんは、歩いているようだが、車が止まるのを見ると、
「今日の納経料を稼がねば」といって、托鉢用の小鉢を持って門前へ向かう。
残ったおじさんと話をすると、「写生をしながら車でのんびりとお遍路を
している」と話してくれる。

 アイスクリームを食べ終えたところで、日が高くなるに従って
ドンドン暑くなってくる。
この後は、歯長峠越えもあるので仏木寺を後にする。

 10:35分、佛木寺前の道を真っ直ぐに進む。
橋を渡ると、右手に曲がり、田圃の中を進む。
ほどなく車道と合流し、左へ曲がり、歯長峠を目指す。

 車道から歯長峠への山道にはいると鎖場が2カ所ほどある。
狭く急な山道に鎖とロープが斜面に設置されている。
下を見ると、車道が見える。この鎖場を一気に越えると、
道は少しなだらかになり、送迎庵見送大師に着く。

 11:35分、ここから少し下り、四国電力送電線下で休む。
峠道は樹木が太陽を遮ってくれるので気持ちよく歩ける。

 11:50分、腰を上げて、しばらく行くと、山道の路面がツルツルと
滑りやすくなっているところに来る。
どうやらここが「路面浸食流失」と書かれている地点のようだ。
ここは、雨水が山道を流れるために表土が流され、その下にある岩盤が
露出してしまっており、その岩盤が滑る岩なのだ。
杖を使い注意して下る。

 歯長峠を越え、国道と合流したところを左に曲がる。
太陽の直射を浴びる。車の騒音と暑さのため頭がぼーっとしてくる。
国道の右側に旧道が走っているので、そこを歩く。
旧道はほとんど車が走っていないのでホッとする。
もう少しでレストランみやこだ。ここで昼食と取ろうと思い頑張って歩く。

 12:45分、レストランみやこに着く。
名前はレストランとなっているが、中に入ってみると小上がりと
テーブルがある単なる食堂だ。
しかし、冷房が良く効いており涼しくて気持ちが良い。
テーブル席には建設作業員風の人達がたくさんおり、中年男性のお遍路さんが
小上がりに一人いる。

 空いているテーブルに座り、冷たいうどんを頼む。
運ばれた水を何杯もお代わりしてやっと一息つく。
靴を脱ぎ、靴下を取ると、汗でベトベトしていた足がスートする。

 中年お遍路さんも出ていき、建設作業員さん達も出ていくと、
お客は私一人となる。

 店のご主人が話しかけてくる。
 「どこから来たの?」に始まるありきたりの質問に答えた後、
ご主人が「歯長峠は鎖場を来たのか?」と聞いてくる。
「はい、鎖場を歩いてきました。」と答えると、に三度うなずいて、
「それがいい、お遍路はゆっくり歩くのが一番だ。」と言う。
 「昨晩この宿に泊まったお遍路が、体調を崩し入院してしまい、
これからお見舞いに行くところだ。」と話してくれる。
先を急いで歩いたために熱射病になったようだ。
それで、ゆっくり歩きなさいと頻りに言っている。

 「ちょっとこっちに来なさい。」と言われ小上がりに誘われる。
言われるままについて行くと、小上がりの壁にこの辺りの空中写真が
掛けてあり、この写真を見ながら明石寺までの道を教えてくれる。
 お礼を言って、そろそろ出発しようかと思って準備をしていると、
ミカンを1個くれる。

 13:20分、レストランみやこを出発する。
ご主人に説明されたとおりに歩く。
でも、明石寺の麓に来たところで、高速道が旧道を横断しており、
道がよく分からなくなっている。
適当に当たりを付けて歩いていると明石寺への標識を見つける。
山を登っていくと大きな駐車場があり、バスが何台も停まっている。


第43番札所 明石寺

 13:55分、明石寺の山門に着く。
境内の中には大勢の団体遍路さんがいる。賑やかだ!
明石寺は境内が広く、巨木も多いので、気持ちを穏やかにさせる雰囲気を
持っている。
納経所前のベンチにザックを置いて階段を上がり、本堂と大師堂へお参りをする。

 納経を済ませ、ベンチでゆっくりする。

 14:20分、今日の宿である宇和パークビジネスホテルへと向かう。
明石寺からは、裏山を一つ越えて宇和町へと向かう。

 宇和町にはいると、古い民家を保存している通りに出る。
そこで、杉玉が下がっている造り酒屋を見つける。
元見屋酒店だ。
中にはいると、「開明」という銘柄のお酒を造っているようで、
中年の女性が、この酒屋は創業2百年の歴史があるなどと、
いろいろと説明してくれる。

 酒好きの知り合い用と職場用に2本の清酒を買い求め、
我が家に送ってもらうように頼み、送り状の伝票を書く。

 ここからは、国道へ出てひたすら今日の宿を目指して歩く。

 15:40分、国道の右側に宇和パークビジネスホテルを見つける。
結婚式場を持っている大きなホテルだ。
入口を捜すと、受付は裏手へと書かれているので行ってみるが誰もいない。
レストランに回ってみると、そこが受付だった。

 受付を済ませ、部屋に入り、冷房のスイッチを入れベットで横になる。
この宿は、お風呂が別に設けられているのでゆったり出来る。
早速、風呂に入りに行く。
汗を流した後は、部屋でゆっくりくつろぐ。
 
 明日の宿をどこにするか考えていたが、どうも結論が出ない。
内子まで行こうと思っているが、内子は観光地なので宿代が高いと聞いている。
レストランのカウンターに行って相談するが、安い宿はないようだ。
そこで、市街地を避け、運動公園にある「ハイプラザうちこ」に宿を
お願いすることにして、電話をする。

 最初に聞いた料金だと休日前日の加算もあり8千円ほどになるようなので、
「歩き遍路なので、もっと安い部屋はありませんか?」と聞いてみると、
「6畳の部屋で良ければサービスできる。」と言われたので、
その部屋をお願いする。
 これで明日の宿も決まったので、夕食の時間までベットで少しウトウトする。

 6時頃にレストランで夕食を取り、テレビの天気予報を見ていると
明日は雨のようだ。
台風15号が近づいており、四国沖を北西に向かって抜けるようで、
その影響で秋雨前線が刺激され、一日雨と報じている。
 今日まで一週間、ほとんど、晴天に恵まれていたのだから、
一日ぐらい雨に降られても仕方がないと思い、
「少しは涼しくて良いかな!」と考えていた。

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   内子の先にはしばらく先まで宿がないので(善根宿はあります。)
  宿泊先をどこに決めるかがこの辺を歩く行程に大きく影響します。
  20~30キロごとに泊まれる宿があれば問題はないのですが、
  50キロ先にしか宿がないなどという地域があれば、全体の計画に
  影響を及ぼします。
   このように歩き遍路にとって自分の歩く距離に応じた宿がない地域
  が、何箇所か出てきます。
  先に距離を伸ばすか、それとも、少ない距離で力を貯めるか、
  それぞれの判断が試されます。

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