四国遍路テクテク日記

「四国を歩いて遍路する。」にこだわって平成14年のGWから2年間、5回に分けて歩いた記録を中心に遍路に関するあれこれ。

二回目の遍路を終えて(阿波から土佐)

2005-07-22 09:02:40 | 第2回(阿波から土佐)
二回目の遍路を終えて

 今回は、「修行の道場」といわれる土佐でしたが、室戸岬までは春のような
陽気の中を歩き、岩本寺まではまさに雪降る厳冬の中を歩くという様々な
体験をしました。

 その間、一緒に歩く人も少なく、ほとんど一人で歩きましたが、
季節はずれのお遍路に対しても四国の人の温かさは身にしみる思いです。

 宿の女将さんでは、浜吉屋さんや高知屋さんの女将さんなど、
昔からのお遍路宿の人達は本当に暖かくもてなしてくれました。

 七子峠で「岩本寺まで乗りませんか。」と声を掛けてくれた若い人達には
感謝の言葉もありません。

 今回のお遍路を思い出すと歩いているつらさよりも、
いろいろなところで受けた温かいもてなしが心に残ります。

 「種崎の渡し」手前のスーパーで「ジュースでも飲みなさい。」と
お婆さんが渡してくれた2百円の重さは、同じお金でもその価値が増していると
思うのは私だけなのでしょうか?
 これらの「思い」に何をもって応えることができるのでしょうか?

 四国で受けた数々の優しさの分だけでも、これから暮らしていく日々の中で
人に優しく接しようとする事ぐらいしか思いつきません。

 この次は、足摺岬までとお遍路道中最大の距離に挑まなければなりません。
体と心を鍛えて次に備えたいと思います。

 
 窪川からは、高知市まで鉄道で戻りました。
途中で遍路姿の老人が一人乗り込み、降りていきました。
私が歩いてきた遍路道とは離れたところを鉄道が通っているので
どこのお寺にお参りに行くのか分かりませんでしたが、
たぶん清滝寺あたりかと思います。

 高知市からは高速バスで大阪まで戻りました。

 途中、吉野川沿いの高速道路を走っているときです。
見慣れた光景の中に何とはなしにお寺を探しているとき、
熊谷寺の総門を見つけることが出来ました。

 夕日に照らされて黒く光り輝いている総門の姿は、荘厳で美しいものでした。
総門を下から見ていたときには気がつきませんでしたが、
緩やかな斜面に突き出た総門は、圧倒的な存在感を示しています。
昔の人たちは、この光景をいつも見ていたのかと思いました。

 遠ざかる総門に思わず手を合わせていました。