昨日のブログで少しふれましたが、一昨日の最大の話題はこの記事です。
http://www.asahi.com/politics/update/0116/NGY200901160004.html
来年度、大幅な財源不足におちいる愛知県は、県職員の毎月の給料を6%、期末勤勉手当を4%の削減案を職員組合に提示したというものです。
このブログをご覧の方は、気がつかれたかと思いますが、私は愛知県の出先機関に勤めています。
このごろの経済状況を考えると、近いうちに給与の削減の話が出てくることは想像していましたし、ある程度のことはやむを得ないというのが正直な感想です。
県の職員給与については、多くの誤解があると思いますので、少し説明させていただきますが、県内の中堅どころの企業の社員の給与を調べ、役職や勤務年数など条件のよく似た社員の給与を参考にして、人事委員会勧告が行われ、その勧告をもとに給与改定が行われます。比較的給与の高い大手自動車関連の企業や金融機関、マスコミなどの給与はほとんど算定に入っていません。
年末の地元のあるテレビ番組の中で、民間に比べて県の平均給与が非常に高いように放送されていましたが、比較している給与の根拠が示されていないもので、作為的なものを感じる内容でした。
私個人としては、確かにバイクや車で走り回って遊んではいますが、お酒を飲みに行ったり、パチンコや競馬などの賭博は全くしません。それほど遊興費は必要としないので、今回の削減額であれば、少々給与が削減されても、貯蓄に回す金額が減るだけでやっていけそうです。
しかし、職員給与の削減というのは、愛知県という行政機関が行う政策としては、社会的経済的役割を理解していないように思えて、残念になりません。
国でさえ、緊急経済対策として財政出動を行おうとしています。もちろん、効果が疑問名ものや完全にずれているものもありますが…。
今の経済社会状況で、国に準じる行政機関である県が緊縮財政をとるということは、地域の経済をさらに落ち込ませる危険性があります。
職員の給与を安易にカットすれば、民間の給与にも大きな影響を与えることが予想されます。儲からないから、給与をカットするという経営者が出てくることは想像できますし、派遣などの非正規雇用者の次は正規雇用者の給与カットという方向になるでしょう。
実は、職員の給与の支払い総額を減らし、経済にあまり影響を与えない方法はあるのです。
ひとつの方法としては、削減する給与の相当額を、中期の低利の県債で支払うという方法。
そしてもう一つは、給与削減に併せて労働時間も削減することです。例えば給与を5%削減するとともに、週40時間の労働時間も5%削減38時間にするのです。もちろんこのためには、残業手当の大幅削減や事務事業量と人事評価の見直しも必要です。
愛知県が平均労働を引き下げなければ、民間企業も給与カットをしづらくなるでしょうし、労働時間の削減を進めれば、民間もそれに追従し、ワークシェアリングを考える企業も出てくるでしょう。
また、経済が冷え込んでいる理由のひとつは、自動車や電化製品などの大型耐久消費財の販売不振があります。たとえば県職員に10万円以上の高額商品を購入することを促進するような施策も内需を促進するひとつの方法でしょう。
ひょっとすると、今回の世界的な不況は、新しい社会や経済のシステムを創り出すチャンスかもしれません。
ただし、今回の給与削減の提示には、不信感を伴う部分があります。
それは、現時点で、幹部職員の給与削減の方針が示さず、職員の給与削減のみが先行していることと、すべて既成事実のように地元マスコミで報道されていることです。
県職員のほとんどは、愛知県が危機的財政状況にあることを理解しています。その対策についてどうすべきかを、県職員全員にアンケートなどで意見を出させるような機会があってもいいと思うのです。
さて、この県職員の給与の削減案がどうなっていくのか、とても気がかりです。
職員の平均年齢が高いから平均給与も見かけ高くなるだけのことで、同じ年齢で民間と比較したら、同じかそれ以下です。
前回の万博前の給与カット、給料表の改悪、モチベーションは下がってばかりで、先は暗いですね
給与水準のことは、これまでちゃんと対外的に説明してこなかったことに責任があると思います。
現在の社会状況から歳入不足は明かです。
だから単純に給与カットという姿勢は、あまりに短絡的すぎます。
自分たちの社会的に置かれている立場などをしっかり「考えていない」ことが一番の問題点でしょう。
「人はパンのみ生きるにあらず。」知事や組織のためではなく、声なき県民の喜ぶ顔が見られるような仕事ができることを誇りとしていきたいと思っています。