水面に映る光景

日常感じたことなど。

早坂類のコラム

2005-10-10 12:56:43 | Books等
 朝から雨。細い雨がゆっくり、時々雨足を早め降り続いている。飽きもせず眺めている自分に驚く。雨と会話しているのだ。(これまでは雨が好きなのは、洗濯や掃除などの家事をせずのんびりしていてもいいから、と考えていた)

 歌人早坂類のコラム(10月1日、日経、夕刊、プロムナード)を思い出し、取り出して読む。空っぽだと思っている空間に雪がまじると、空間が突然やわらかなリズムを持ち、ささやきはじめる、と書いている。
 
 降り続く雪から目を離すことができず何時間も眺めていたことが何回かあった。雪は言葉、と考えるとただ眺めていたのではなく、話しつづけていたことになる。飽くことなく眺めていることができたことが納得できる。

 4月29日、司法試験の択一模試を受けるため後楽園の中央大学にある教室の3階にいた。窓が開け放たれ、爽やかな風が吹いている。窓の外で大きな木に繁った緑の葉がゆったり、そーよー そーよーと揺れている。揺れる木を見ているうちにとても幸せな気持ちになった。と判例集の空いているところに記してある。

 空間の中で揺れる木々を見て心惹かれ、その一瞬を記さずにいられなかったのは、木々の揺れが言葉となって私に伝わっていたのかも知れないと思ったりする。

 早坂類という歌人を日経のプロムナードで知った。不思議な感性とそれを言葉にあらわすときの、言葉の持つ不思議な感覚に惹かれて読んでいる。降る雪をして「世界のリズムを孕んで降る雪」と表現されるとショックを感じるほどに感激してしまった。

 しかし、多分、早坂類の言わんとしていることの半分も理解していないだろう自分がいることがわかる。人間の言葉ではない言葉だけれど、人間の五感に確実に訴えてくる言葉。
 その言葉を捕えられるように生きていきたい。

追:早坂類の短歌「目の中に降る雪を見ている 僕の中に降る雪を見ていろよ猫」好きな歌です。
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