各地で毎年行われる花火大会は夏の風物詩として、多くの人々にとって心躍る楽しみな行事の一つになっています。以前は、わざわざどこかに出掛けてまで、花火を愛でようという気持ちを持つこともなかったのですが、最近では、実物の花火の美しさや胸の底にまでどーんと響いてくる轟音と共に夜空に花開くあの奇跡を、ひと夏に一度は体験しないと気持ちが納まらないような…不思議な胸騒ぎを覚えるようになってしまっています。隅田川の花火大会は、人出が多すぎて、吾妻橋などに足を踏み入れようものなら、立ち止まって見物することも許されず、立ち並ぶビルの景観に遮られて、花火の全貌を眺めることすらままなりません。‘お祭り’というものはそんな風にせせこましく、ある種の危険を伴うものでもあるのですが、(そこが‘お祭り’の醍醐味と思う人も多いとは思いますが…)私としては、一度は、もっと優雅な落ち着いた気分で花火見物をしてみたいものだと願ってもいました。調布の花火大会の存在はかねてより気にはなりながらも、一度も足を運んだことはありませんでした。花火大会当日の微妙な時間に、都心をも襲った震度5の大地震の余波が交通機関にも少なからぬ影響を及ぼしてもいましたが、何故か、その時の私の気分は凪のように静かでしたので、予定通り、花火に会いに出かけることにしました。最寄り駅は京王線京王多摩川駅か調布駅か布田駅の3駅です。「京王多摩川駅や調布駅は大混雑していますので布田駅をご利用ください。」とのアナウンスも流れていましたので、私は布田駅を利用することにしました。そのためか、大きな混乱には巻き込まれずに、遮る建物のない場所で、ゆっくりと真夏の夜空を彩る華やかな1000発にも及ぶ花火の大乱舞を、思う存分堪能することが出来たのです。デジカメで何枚もの写真を撮っては見たものの、夜の風景をデジカメに収めることはとても難しく、実際の花火の美しさを再現することはまったく不可能でした。ですが、少しでも、その時の雰囲気をお伝えしたかったので、調布市観光協会のホームページに掲載されていた幾つかの花火の写真の中から、私が、一番気に入ったものを載せさせていただくことにしました。まだまだ、あちこちで実施される予定の花火大会はこれからも続々と控えています。皆さんも一度、その興奮を味わいに、是非、現地に足を運んでみてはいかがでしょうか?それから、いつも感じることなのですが、京王線は本当に気の利いた私鉄だと感心することが、この日もありました。布田駅は通常は、各駅停車の電車しか止まらない駅なのに、花火見物のお客さんのために、花火大会終了後は、快速電車も臨時停車させてくれたのです。当たり前のことのようですが、こんな臨機応変さって、案外、お役所などでは考えられないことでもあるような気がします。京王線の粋な配慮のおかげで、イライラしないで済んだ乗客も多かったのではないでしょうか…