self help group=自助グループというものの存在をご存知でしょうか?私は精神保健福祉分野についてのことしか分かりませんが、今や、このグループ活動がそこここで花盛りとなっています。世の中の仕組みが複雑になってきているという事情もあって、何らかの精神的な困難を抱えた場合でも、医療機関への受診だけで問題が解決するということがとても難しい時代になってきていることも一因のようです。同じ問題を抱える者たちがグループを作って、グループの中で自分の問題を振り返り、共に語り合いながら、人の話にもじっくり耳を傾ける訓練を重ねて行きます。何度も何度も同じことを定期的に繰り返し行う過程を通して、自分の物語を紡いでいくうちに(これをナラティブセラピーと言います。)プロセスの途中で諦めてしまわない限り、自らが自らを助けることが出来るようになっていくようなのです。このような手法がスピリチャルな世界へのアクセス方法の一つとしてすっかり定着しています。行政の中でも、自助グループ的なグループ療法(精神科医等の専門家が加われば、集団精神療法という言い方をしたりもします。)を取り入れることが当たり前になっています。アディクッション治療の専門家である精神科医の中には、こうしたグループへの参加を治療の一環として、主治医への受診と並行させて、半ば義務付けておられる方もあります。自助グループへの参加なしには回復はありえないと公言する人も存在するくらいです。self helpとは文字通りに訳せば、自らを助けるという意味ですが、まだ、self helpという言葉が世の中にあまり登場していなかった頃に、私は仕事で、self helpの概念を広く紹介しなければならない立場に置かれ、短い文章を書いたことがあります。その時、私は、self helpのことを「自分で生きる力」と意訳しましたが、果たして、こんな訳し方で良かったのでしょうか?一昔以上前には、この言葉をそんな風に捉えていた自分がいたことを、今になって懐かしく思い返しています。
Yumiさんは台東区生まれの台東区育ち。粋でイナセなちゃきちゃきの姉御タイプ。気風のいい下町のおねえちゃんなのに、出会った当初、私の中に強い印象として残ったものは、彼女の「男気」の強さでした。女の子を捉まえて、「男気」などと表現するのは本当は大変失礼なことなのかもしれませんが、私の気持ちを正直に伝えた時の彼女の反応は、「その通りだよ!」というものでした。自分でも「男気」があることを知っていたようなのです。「男気」という言葉を何の違和感もなく受け入れてくれました。私たち二人の共通項はとにかく歩くことが大好きで、幾ら歩いても歩いても、全然、音を上げないという特異な点にあります。Yumiさんの部屋探しを2日間かけて(2日間といっても、午後の4時間を2日分歩いた計算ですが・・)一緒に決行した時には、彼女の歩く速度の早さに驚き、私は小走りに何とかついていくので精一杯でした。ところが1日目に彼女と別れた後、彼女は、夕食に海鮮丼を食べようとしたら、(彼女は細身なのに、ものすごい大食漢なのです。いくらでも食べることが出来るという特技の持ち主です。)気分が悪くなってしまい、ほんの数口だけで折角のおじさん(Yumiさんの母上の弟さん)のおごりの海鮮丼をほとんど残してしまったそうです。部屋探しに一生懸命歩き回っていた時は自覚できなかったけれど、実はそれほどまでに消耗していたということだったのでしょう!2日目は、信じられないことに、彼女の方が息も絶え絶えの状態になってしまったのです。私はといえば、不思議なことに、俄然、元気を盛り返したので、彼女の方が私の後をついてくるという羽目に陥っていました。形勢が逆転してしまっていたのです。こんな例外的なこともありましたが、殆どの場合は、ぐいぐい引っ張って行ってくれる彼女の後を、私は黙って(あるいは勝手なことを言いながら・・)ついていくだけでいいので、すごく楽なんです。Yumiさんも、私といると「すご~く楽!」と言ってくれます。私は気がきかなくて不器用だから…いつも自分のことだけで精一杯だから…自分が今やらなければならない目先のことに夢中になって、そのことだけに熱中してしまっているから、笑っちゃうんだそうです。変な気を使われないことがとても楽なのだそうです。私とYumiさんは割れ鍋に綴じ蓋・・お伊勢参りに向かう弥次さん×喜多さんのような関係です。Yumiさんは最近、私と同じ空間にいながら別々のことをしたり、たま~にしゃべっては又ぼ~っとする・・そんな時間を過ごしたいというメールをくれました。こういう関係こそ、「ability to be alone」の関係じゃぁないかと、私は内心びっくりしています。今度、一緒に都庁の展望台から新宿の町並みを眼下に見下ろしながら、その景観を楽しむ予定でいます。