あっと言う間にダニー君の最終日。
あれから一度Huddleがあって、みんなでブラッドのオフィスに集まったけど
みんな何事もなかったかのような大人の対応で、やっぱりこれが社会の塩対応なんだなあと思ったり。
だけどこの塩対応があるせいで、誰も表向き、心が傷つかなくて
本当に何もない、いつもの日常を演じ続けることができる。
『一週間で出て行って欲しい』と言ったブラッドも、
今朝はドーナツなんか買ってきて、ダニーの新しい門出をみんなで祝おうとかメールでみんなに知らせる。
本当のことを知らないみんなは口々に「頑張れよー」とか「職場にもまた寄ってねー」とか言っていて、
私とデミ嬢は無言で目を合わせ、何も言わずにドーナツを食べた。
ダニーはドーナツで見送られるこの日を、どう思ってんだろ。
少しして、今度はダニーからみんなにメールが届いた。
そこには、
ドーナツ美味しかった!みんなありがとう!
と、ただそれだけ書かれてた。
それからはまた、いつもの様に午前中が終わり、午後が来て、
私はちょっとレポートでわからないことがあったので、ダイレクトメールで質問をしたら
わざわざデスクまで来てくれて、丁寧に教えてくれた。
「ダニーがいなくなったら私、すごく困るな―。これからどうしよう。」と言ったら、
「いつでもメールしておいで。助けてあげるから。」と言ってくれた。
ダニーは多分、私が何も知らないでいると思ってる。
だからなんか、余計に寂しくなってきて、私もう泣きそう。
すごく複雑な気分になった。
それからしばらくして、ダニーより出勤時間が早い私が帰る時間がきた。
ダニーのデスクに行って、今まで親切にしてくれたことへのお礼を言って、ハグをした。
「新しい職場、楽しいといいね。頑張ってね。」と言ったら、ありきたりに「うん。だといいね。ありがとう。」って言って、笑ってた。
そして意味深に、「僕は大丈夫だから。」と。
ダニーが新しい職場で、より早くまた昇格しますように。
今度こそ、上司と上手くいきますように。
4年ぐらい前のハロウィンにて。私の横の、黄色いシャツがダニー君。
****************
フリちゃんは西日が当たる、室温が高いエントランスホールで
私のスニーカーを枕代わりにして眠ることが、最近のブームらしい。
おひげがカニの足みたい。
近い。