バージニア労働者

アメリカで働くってどんな感じ?アメリカの企業で働く統計アナリストの労働ブログ。アメリカ生活小話や猫も登場。

寿命は縮むよどこまでも

2011年05月19日 | 猫の話


話は月曜日の朝のことになる。



私は午前5時に起床することになっているが、最近お嬢らはちょうどよくその5分前とかに
私を起こしにくることが多くなった。


その朝も私を起こしにきたのはミディで、私の顔の真横の枕元に座って
私の顔を彼女の髭でくすぐるのだ。


私はもそもそと起き上がり、目覚ましが鳴り始めないうちにアラームを解除する。


ミディがベッドから飛び降りたや否や、ゲホゲホと咳き込み、そして吐いた。


今の時期、フリスキーも同じようなことを何度もする。


毛玉を吐くのだ。


あーあ。今度はミディか。


そう思いながらベッドルームを出て、トイレからトイレットペーパーを掴み
ミディが吐き出したであろう毛玉の処理をしようとして床を見て私は即座に気が遠くなるのを感じた。


ミディが吐き出したのは少量の毛に混じった血であった。


量としてはそんなに多くなかったと思う。


どうして人間というものは、血を見るとああも慌ててしまうんだろう。


急に下落してゆく血圧を感じながら気がつくと私はハニバニを揺すり起こしていた。


「ミディがね、今、血ぃ吐いたよっ」


ハニバニもびっくりして飛び起きる。
そしてそのミディが吐き出した物を一緒に見てみる。


病院に連れてくことは即決だったので、とにかくその吐いたものを見せるために
手に握られていたトイレットペーパーでそれを拭ってみると
血だ、血だ、と思っていた液体は、全部が全部血液というわけではなく、
胃液に混じった血液ということがわかった。


トイレットペーパーが吸い取った水分が、思ったよりも赤くならなかったからだ。


当のミディはというと、何もなかったように、いつもどおり自分がどんなに空腹なのかを訴え、
早くキッチンにいらしゃいな、ケイエスは相変わらずトロいわねえ、と言わんばかりに元気だ。


5分前まで心臓発作を起こしかけた飼い主を目の前にして、ミディはケロリとしている。


キャットフードを恐る恐るやってみると、美味しそうに食べた。


それでもまたいきなり食べたものを赤い液体と共に吐き出すのではないかという懸念が消えず、
私の心臓は荒野を駆け巡る馬の、「パカラッパカラッ」というのではなく、
どちかというと『ドドドドドドド...』に近いような
鼓動を続けた。

実はというと両手の震えもずっと止まらなかった。


もう吐く気配はなかったが、少量とはいえ、血液が吐瀉物に混じっていたことは確かだったので
獣医が開くとすぐに予約の電話を入れた。


月曜日の獣医はとても忙しい。


わかっていたが、一番早くとれた予約が夕方5時であった。


助かったのはその日ハニバニが昼に家に帰るようにしてあったこと。


帰宅してすぐにミディの様子を知らせてもらう。


彼女は至って元気であり、食欲もあり、あれから再び吐いた形跡もないと言う。


電話を受け取るまでは仕事が全く手につかなかったが、それから私は少しだけ平常心を取り戻し...


いや、ダメだった。
心配でしょうがない。
どうして血を見るとダメなんだろう。
血ってどうしても「不吉な暗示」に思えてしょうがない。


獣医にはハニバニと一緒に行った。


待合室で無理やり獣医に連れてこられて機嫌の悪いミディを撫でていたら
スタッフ用出入り口から、一組のカップルが出てきた。


2人の、明らかに泣きはらしたとわかる顔。


それが何を意味するのか、私もハニバニもすぐにわかった。


見なけりゃよかったと思った。






暗い気持ちのまましばらく待たされて、そして診察室に呼ばれる。

ドクターJの診察だった。

その朝とっておいたその吐瀉物の一部をサランラップにとって置いたのと、
拭ったときのトイレットペーパーを彼女に見せて、彼女が再び奥へと消える。


15分ぐらいして戻ってきた彼女が言ったことはこうだった。


*******

血の混じった胃液に驚いて病院に駆け込んでくるペットオーナーは多いが、
実は血の混じった血液を吐き出す(毛とかの異物と共に)のはオーナーが思うよりも
よくあることだということ。


猫の胃袋はとてもデリケートで、そこに毛玉などの異物が溜まって腸へと移動しない場合
胃は非常に荒れやすい状態になること。


荒れやすい状態になるとすぐに出血を始めること(毛細血管が張りめぐっているらしい)。


胃液はもともと黄色い液体で、そこに少しの血液が混じるとさらに濃い赤になるのでペットオーナーは慌ててしまう。


疑うのは胃だけではなく、食道も炎症を起こしていることが多いが、ミディの場合、食欲も旺盛であり
水も普通に飲んでいることから食道は大丈夫だろうということ。


********


こう説明してくれた後、万が一他の臓器の問題の有無を確認するために血液検査をしてもらった。


待つこと45分。


疲れているだろうドクターJの顔には笑顔があり、「血液検査の結果、異常はどこにも無しよ。」と
私をハグしてくれて、ハニバニもハグしてくれて、待ちくたびれてさらに機嫌の悪いミディには

『毛をちょっと吐いたぐらいでこんなとこ連れてこられて怒ってるんでしょ?
マミィとダディを心配させたねえ。』


と笑って言って、それから

『もしかしたら上からも下からも出せない毛玉がまだ
胃に残ってるかも知れないから毛玉防止のスナックをもっともっとあげてね。
私からお薬ってのもなくてね、とりあえず胃をコートしてくれる飲み物、あ、やっぱり薬になるのかな、
それを10日間あげてね。それで大丈夫だよ。あはは。胃が本当におかしくなるのはミディじゃなくて
ケイエスなんじゃない?あなたのことって本当によくわかるわ。』


と言ってくれた。


良い獣医がいてくれて、なんと助かることか。


その飲み薬を内服させてはいるが、ミディはあの月曜日の騒動なんて何もなかったように元気だ。



「ケイエスが異様に優しくてウザイのよね。」



「あー。退屈。」



彼女は元気に、食欲旺盛でいてくれるが、私の寿命は縮むばかりなのである。

驚かすのもいーかげんにしてくれたまえね、キミ。


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今日の午後、すごい雷雨があったんですが、
実は雨ではなくてヒョウが降りました。職場のみんなが口々に「車がボコボコになるよね」っていうぐらいの
すごいヒョウでした。車は大丈夫でしたが、それにしても凄かったです。
その後はいきなり、眩しいぐらいの青空が広がり、



そしてまた雷雨になりました。変な天候です。


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いつもありがとう。




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