アマゾン、奥地の炭鉱で働く男たち、ガリンペイロの物語。21年2月発刊。
アマゾン、最深部、どこかはわからない、秘密の場所、いくつかの炭鉱がある。
60年代あたりからか~アマゾンゴールドラッシュと言われ多数の男が来た。
その中で君臨する王がいる。炭鉱は15キロ四方くらいの場所に幾つかある。
ガリンペイロ 掟。
誰でも受け入れる
本名を名乗る必要はない。
黄金さえ掘っていれば何をするのも自由
ガリンペイロは前科のあるなし、犯罪歴を問わずIDも不要
凶器を持つのも自由
取り分は炭鉱所有者が70%ガリンペイロが30%
所有者は米、豆を支給するがそれ以外は自分で得ること
住む小屋も自分で建てる
この場所を誰にもあかすな、ここを去っても明かすな
明かしたものは死を覚悟しろ
他人の黄金を盗んだものは死を覚悟しろ
炭鉱で働く賄い女がいる。荒くれ男たちに粗末な食事を作る。
ある女は、船こぎの娘、13歳でガリンペイロと親しくなり妊娠。
生んだが子供は他へ連れ去られた過去がある。
皆、重い過去を引きずっている。
君臨する黄金王、黄金の悪魔は格闘家のようで金髪の地毛、偉丈夫、
金のネックレスを3つつけ、腕輪も。拳銃を後ろポケットに入れている。
王は炭鉱を取り仕切り、1年で30キロの金、一億二千万円を手に入れている。
町から鉱山へは雨季でも船で3~5日かかる。
新人(ガリンペイロになりたい男)は船でくる。
90年代にゴールドラッシュがあった。運がよければ、大きな金塊が手に入る。
めったにない。
毎年、3、4人行方不明になり殺人もある。
ブラジル、スラムファベ―ラの17倍の犯罪が起きているが、誰もよくはしらない。
ガリンペイロは虫けらのような存在だ。
王に認められた電気技師、金庫番、船頭などは、炭鉱では働かない。
酒、タバコ、スナックなどはお店があるが鍵を開けてもらい買う。
あけておくと盗まれるから規則がある。
掘った金に換算し、つけで払う。借金になることもある。
雨季の間の堀りは、水が豊富なのえ、まだまし。乾季は雨が降らないので
地獄の季節と言われる。少ない飲み水、炭鉱は水が必要なので、掘りにくい。
スコールにがあると、水を求め口をあけて立つ。
毎年、年末23日からクリスマスを経て、長い休みがある。
唯一の楽しみ期間。
王の計らいで娼婦3人がセスナ機でくる。
すべて王のおごり。年始まで皆で楽しみ飲んだくれ、肉、酒を食べつくす。
普段の食事は肉はない。あってもナマズ、亀があればいい。
アマゾン原住民イゾラトも亀を食べていた。
貧しくぎりぎりの栄養で必死に炭鉱を掘り、月に1度くらい金をよりわけ、
暮らすだけの日々、ほかには何もない。
ガリンペイロに本名はないので、皆あだ名で呼び合う。
ある若い一人は、生まれてすぐゴミ箱に捨てられていた。
ガリンペイロに拾われ育てられた。
ここに来て、他へ行く場所はない、ここしか生きる場所はないという。
〇NHKの特集、DVD保存、16年春。再見、そこから少し。
この取材は命がけだったと思う。著者国分ディレクター、カメラは
イゾラド、同様、菅井氏だった。あるシーンで、ガリンペイロが泥酔、
拳銃をとりだす。深夜、菅井氏は撮影中、銃をうつかと一瞬感じ、
ヤバイ、ヤバイ~、おやすみ、とスペイン語かでガリンペイロにいいカット。
イゾラドの時も服をひっぱられ、とられそうになり、
もう帰った方がいい~と言っていた。カメラも使用中なので、大変だと思った。
「黄金を探す男たち」顔をとらない条件で、黄金の悪魔と呼ばれる君臨者が
取材に同意した。港から5日船で上流の炭鉱地へ。
小屋をもらい40日取材できた。
この本は物語性がある。貧しいスラムはブラジルを初め
世界にある。ここは世界では知られていない、秘密の地。
よく取材ができたと思う。国分氏が聴いた、彼らの語りを本にまとめたのだろう。
彼らはとても怖い人もいるが、大人しく、無口、静かに一人でいる男、
逆に何でも話し、歌い陽気な若い男もいる。
お酒は皆大好きで休日は1日飲んでいる。アマゾンの安いビール。
人の生きている世界は広い。小屋は柱はアマゾンの樹、上にシートをかぶせる程度。
食事もひどい。それでも人は生きていけるのだ。
過去があるが、わからない。語らない、語ってもどこまでが真実か~
強く弱い男たちの物語だった。