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二千七百の夏と冬(下)-荻原浩

2018年05月02日 | 読書

評価2
縄文人が住む村から渡来弥生人の住むフジミクニやって来た少年ウルクは以前森で出会った少女カヒィとの恋に落ち、やがてカヒィは子を身籠る。しかし、弥生人に蔑みの目で見られるウルクはカヒィと連れだってフジミクニを後にする。二人には追手が迫り、そして大地震が襲う。2011年の日本で見つかった手と手をつないだ古代人はウルクとカヒィだった。

二人を発見した時期が東日本大震災の年。これを追う女性新聞記者は恋人の写真家を戦争取材で亡くしていた。フジミクニは稲作用の土地を求めて他国侵略も考えている。虫歯痛に悩むウルク同様女性記者も虫歯痛持ちだった。・・・などなど、いろいろ「伏線」と思わせるフレーズがあるのだが、それぞれの繋がりが全くわからない結末だった。

森やフジミクニの情景描写は事細かに、ふんだんにあるのだが、ウルクとカヒィの心の触れ合い、弥生人の心象風景、稲作がもたらした環境変化などがあまりにも大雑把。長い長い状況説明を読ませられたわりには心に残る物が何もなかった。書評では「涙が止まらなかった」などとあるが私は涙が一滴も出なかった。

「う~む、、、歳をとってしまったかな?」
と少し自分が心配になってしまった1冊でした(泣)。