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襲名

2006年03月13日 | masudaizumi.com
先日、歌舞伎役者の中村玉太郎さんと奥様がご挨拶にお越しくださいました。

四月一日から一ヶ月公演の東京歌舞伎座で催される、6世中村歌右衛門五年祭、四月大歌舞伎公演で、六代目中村松江襲名披露、さらにおめでたいことに、五歳のご子息が、初舞台で歌舞伎座出演、中村玉太郎のお名前を襲名されるのだそうです。

2004年の十一代目市川海老蔵さんの襲名から始まって、2005年は十八代目中村勘三郎さん、四代目坂田藤十郎さんと、毎年、大きなお名前を襲名されて、歌舞伎界は盛り上がっています。

さらに噺家では林家正蔵さんの襲名、あややは4代目スケバン刑事を襲名。

まあ~本当に最近は襲名続き。

そして、今年は文楽界にも襲名が。歌舞伎界の口上はよくテレビで華やかに映っているのを拝見できますが、文楽で観るのは初めて。
三味線方の鶴澤燕二郎(えんじろう)さんが、燕三(えんざ)さんになるのです。

燕三師匠が倒れられてしまった演目で、襲名をされるという、複雑な思いもひとしおなことでしょう。でもその名前にふさわしくもっともっと芸を磨こうと思えるのは、素晴らしいことではないでしょうか。

襲名するお名前には、それぞれその名前がもっていた個性や得意分野も、継承、引き継いだりするそうですが、これは江戸時代、商人文化、酒屋さんや、漆塗り屋さんなど工芸の世界にもあったらしいです。

襲名制度は日本の文化だけみたいですが、クラシック音楽にもあれば、もっと西洋音楽業界も盛り上がっていいのに・・・と思ってしまいました。ヨーロッパの方は家族でもライバルになってしまう個人主義、一人一人の独創性に価値を見るから無理なんでしょう。

作曲家モリコーネさんの息子さん、モリコーネさんと共同で作曲していたり、オーケストラの指揮をしていたりしますが、父親のエンニオ氏のほうは嫉妬&競争心むきだしらしいし・・・。

親子がスタイルをつくって継承していくという考え方もないし、そろそろ襲名だと判断する番頭さん、つまり劇場のマネージャーや、師匠の意識もないので、二代目マリア・カラス、二代目パバロッティってことにはならないのでしょうね・・・。

さしずめ、私の師匠、伊藤京子の名前を継ぐっていうのも、イコール日本歌曲の大家という意味合いになるんでしょうが。

襲名があれば、そのたびに、その歌手が注目され、「若いときに聴きにいったけど、そんな名前を襲名したのか?あの名前といえば・・・レパートリーは、こんな感じの系統の歌手になったのじゃな・・・・それより今はどんな声になっているのじゃ??大分太くなったはずじゃろ~・・・もう一度聞きにいってみようか!!」という、聴衆からの興味も湧くし、芸に味がでたという宣伝にもなるわけで、聞くほうもわくわくしますよね。

なんて、勝手な妄想をつぶやいてしまいました。


今日は季節はずれの雪でした