経済(学)あれこれ

経済現象および政策に関する意見・断想・批判。

GDP(もちろん日本の)が増えないわけ

2021-07-08 13:03:07 | Weblog
GDP(もちろん日本の)が増えないわけ

 日本の経済成長が停滞していると言われて久しい。けったくそが悪いので理由を私なりに考えてみた。以下は試論であり間違っているかもしれない。
 まず貿易統計からみる限り、日本は多分ドイツとともに世界最高の工業国である。輸出品は高度な製品であり、輸入品は原料・食料それに中間産物である。米中などはその貿易構造からして中進国並みだ。という事は日本には何でもあり、買いたければなんでも買えると言う事である。加えてこの半世紀円高になっている。米ドルは円貨の1/3くらいになっている。正直日本人にとって買いたい物はそう多くはない。円高だから廉価で加えて消費欲求が小さいとなるとGDPが増えないのは当然ではないのか。いくら円札を増やしても使われない。使われない円札はインフレも起こさない。ただ貯金がたまるだけだ。ただし日本の円札は決して不要ではない。将来予想されるドル危機したがって中国経済の崩壊への対策資金にはなる。私の家は昭和28年に電気洗濯機を買い、45年に家を買った。かなり家で大きな家で不満はない。車は持たない。医療保険などの制度はまあまあ充実しているし物質的には満足しきっている。不満を言えばきりがない。充分生きてきた。他に欲しい者は無い。
 (参考までにいえば日本の技術輸出は4兆円、輸入は千億円。対外直接投資は24兆円で対内投資は1・5兆円である。これは日本の技術の優秀さと内需寡少を示している。)
 次に円ドルレイトの問題がある。日本は購入消費(GDPの骨幹)をまず円で示し次にそれを相対的にドル安のドルに替えて試算する。アメリカはドル表示をそのまま使える。ドル安だからアメリカでの物価は高い。それを購入し消費すればドル表示のGDPは大きくなる。基軸通貨の特権である。ドルを減価すれば(つまりドルを刷りつつ)いくらでも消費はできその分GDPは増大する。アメリカは自国経済の維持のために消費し続けなければならない。膨大な対外債務を抱えつつ。債務を他国に押し付けて自国の好景気を煽っているのだ。
 現在アメリカのGDPは約2000兆円、日本のそれは500-600兆円だ。これを換算するとアメリカは20兆ドル円、日本は6兆ドルだ。これをバブル以前のレイトに直すと円でアメリカも日本も600兆円ってところに収まる。ニクソンショック以前のレイトなら日本の方が増さる。東京株式市場の規模が一時ニュ-ヨ-クのそれより大きくなったのだから符丁はあう。わざわざ半世紀前の数字を持ちだすのは変に思われそうだが、1980年からの15年に及ぶ日米貿易摩擦は尋常ではなかった。変動相場制とかなんとか言いながら、レイトの決定はこと日本に関する限り強制だった。ところでプラザ合意などに参加した他国つまり英仏独の対ドルレイトはあまり変わっていないようなのである。彼らは面倒くさくて自分勝手で暴力的なアメリカをさけEUにさっさと結集してしまった。また中国は2000年に入ってから経済成長をするが、この20年間の対ドルレイトは1ドル6・7元と不変なのである。つまりドルペッグだ。これなら輸出で稼ぐのはたやすい。韓国のウオンも同様だ。こう見てくると世界で米ドルを基準として、変動相場制を真に行っているのは日欧のみとなりそうだ。だいたい変動相場制などは半世紀前にアメリカが考え出したことで、実際にはどこの国も為替操作はしているとみていいだろう。考えてみると完全な自由変動相場制などありえない。経済政策を放棄せよと言うに等しい。ある意味では100年前の金本位制に似ている。
 日本は不況か?一概にそうも言えない。ただし円高は物価を低める。理論的にはともかく現実的には、物が安くしか売れないのだから不況感はます。景気は気分だ。不況感は現実の不況に通じる。
 対策はあるのか。ある。過疎地・地方への人口移動だ。そこに新たな中堅都市を造ることだ。人口の移動無くして人口は増えない。経済のさらなる発展は無い。
                              2021-7-8
「君民令和、美しい国日本の歴史」文芸社


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