Maria Callas Diary

着物・ドール・お料理・お家・家族など、日々のことを日記として書いています。

別誂え訪問着、友禅が完了しました / 工房紹介

2012-07-24 23:52:26 | 着物
別誂えをお願いしていた訪問着の友禅が完了して、先日画像が届きました


こちらは上前の前身頃の部分です。
写真は接写したのでかなり暗く写っているとのことですが、今回は40代ごろ
まで着られる着物、ということでお願いしたので、以前作って頂いた単衣の
訪問着に比べて、少し大人っぽい色使いになっているようです。

友禅の色は工房に全てお任せしましたが、「少し予想よりも地味かも
とお伝えしたところ、「写真は接写をしたのでかなり暗く写っていますが、
実物は写真よりも数倍華やかで、また、金彩を加えた完成形を予想して
色挿しをしているので、今見ると地味に見えるだけで心配いりませんよ
とおっしゃっていました。

先方のご好意で、金彩が仕上がり次第、一度反物を手元にお送り頂いて、
仕立てる前に現物を見せて頂く事になりました。その際に万が一もう少し
華やかにしたいようなら、色を追加する事も可能ですとおっしゃって頂けて、
臨機応変で細やかなご対応に、とても安心しました

百貨店では、多くの人を経由するので、自分の思っていることがその通り
に職人さんに伝わらずうまく行かないという事がありますが、こうして直接、
職人さんとお話できるこちらの工房は、こういう小さな不安にもとても親身に
ご対応頂けるので、本当に助かります

私はこちらの工房に着物をお願いしている人達の中でもかなり要望が多い
というか、自分の好みや希望をたくさんお伝えしている方だと思うのですが、
どんな事にも誠実にお応えくださる主催者さんのお人柄は素晴らしいです

偶然のご縁ですが、信頼できる工房と出会えて私は本当にラッキーでした。
今後もこのご縁を大切にしていきたいと思っています

金彩が出来上がり、手元に反物が届くのが待ち遠しいです

この訪問着の製作を請け負ってくださった「公庄工房」さんについては、
以前のブログで掲載していますので、そのままの転載でご紹介します

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昨年から私が訪問着の別誂えをお願いしているのは、こちらの工房です。
今までは許可を頂いていなかったので名前を掲載していませんでしたが、
先日京都に行ってお話をして許可を頂いたので、ご紹介させて頂きます

「公庄工房(ぐじょうこうぼう)」さん
http://www.yuuzen.jp/

今までの職人悉皆仲間問屋前売り問屋小売店顧客という、
驚くほどに多くの中間業者を通して行われてきた古い慣習的流通を見直し、
職人顧客というダイレクトな流通にする事により、中間マージンを抑え、
着物をより身近なものにするとともに、職人さんの生活も支えていくという、
まったく新しい手法を取り入れられた工房です

過去数十年、欧米文化や洋服が入ってきたという背景はあったものの、
着物の値段が上がっていったことも一因となり、民族衣装にも関わらず、
自分で着物を着られる人がほんの一握りとなるほどの着物離れが起き、
それにより仕事を失った職人さん達は、次々と廃業に追い込まれました

そんな中で問屋さんが打った手は、安価な「プリント着物」の量産でした。
最近の安い着物の多くは、インクジェットプリントで作られているのです。

これによりなんとか残っていた職人さん達も更に仕事がなくなってしまい、
このままでは後継者も育たず、数十年後には数えるほどになるでしょう。
そんな状況に異を唱え、新しい風を吹き込もうと頑張っていらっしゃいます

私は百貨店での別誂え経験もありますが、それと比べてもかなり質の高い、
そしてセンスも良い、素晴らしい着物を作っていただけます

気になる事にはとことん答えて下さいますし、密にコミュニケーションを取り、
アドバイスもして下さり、安心して製作をお任せする事ができる工房です。
業界内でも質が高いとされる染匠さんの仕事を任されている職人さんで、
その腕は確かです

何でもそうですが、モノは業者を通せば通すほどマージンで値段が上がり、
最終的に顧客に渡るときには数倍の値段になることもしばしばあります

流通を変える事で、顧客は質の良いものをコストを抑えて買うことができ、
職人さんは「プリント着物」に奪われてしまった仕事を取り戻すことができ、
着物業界は大切な伝統技術を継承し守っていくことができます。

昨年秋に作った流水花筏文の単衣の訪問着も、こちらでお願いしたもの。
現在私が別誂えをお願いしてる訪問着も、百貨店を通せば150万以上の
値段になるものだとおっしゃっていました。

私のような庶民が数百万単位の着物をちょくちょく作ることはできませんが
こちらの工房でお願いできるくらいの予算であれば、毎年でも可能です。
(そこは夫の理解があるので、ありがたいと思っています。ありがとう

きちんと予算に合わせて、その範囲内で最大限の努力をしてくださいます。
百貨店では最初に伝えた予算から十万以上あがることもしばしばですが、
こちらではそんなことはありません。

それでも洋服と比べると数十万という価格は大きく感じるかもしれませんが、
着物は洋服と違い数十年単位で着られますし、子供に譲ることも出来ます。
私は着物が大好きなので、「プリント着物」は苦手ですし(持っていますが)、
私の子供の世代まで、手描きの着物が残っていって欲しいと願っています

私は公庄工房さんの考えに全面的に共感し、その新しく素晴らしい活動を、
今後も着物をお願いする事で、出来る限り応援していきたいと思っています。
小紋以外は、今後こちらに一任するつもりでいます。

店頭に置いてある在庫の中から選ぶことが普通になっている現代ですが、
昔は多くの着物が別誂えでした。好きな柄を好きな色で好きな生地に。
そんな楽しい着物が出来上がったら、本当に大切に出来るものです。

もし別誂えに興味はあるけれども躊躇しているという方がいらっしゃったら、
是非一度、お問い合わせだけでもしてみてください。
きっと誠実にお答え頂けます