記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

山口県に残る初三郎絹本原画(つづき)

2007年03月23日 23時52分23秒 | 吉田初三郎
 今日は朝7時から仕事で休む間のない日であった。明日の土曜
日が雨と聞き、本当は菜の花と桜が開花した、もうすぐ廃線とな
る西鉄宮地岳線区間を改めて撮影に行きたかったが、当然ムリで
ある。この時期は毎年学校案内など教育関係の仕事のピーク、加
えてWEBサイト製作依頼も集中し、3月はとにかく忙しい。

 普通であれば私のような仕事は、広告代理店や印刷会社から仕
事を受けるのであるが、私は独立時からそれらを通さず直接医療
機関や学校、メーカーなどから仕事を受ける。ここ数年営業らし
い営業は行っていないが、不思議と仕事はいつも混んでいる。

 それに加えて最近は地図絡みや近代史関係の仕事依頼が増加。
もともとはこちらが好きなので、気が付けば趣味がそのまま仕事
に直結し、企画展や執筆編纂、講演依頼も年々増えている。

 さて、昨日の初三郎・山口県関係の絹本原画の中で、最も素晴
らしいのは萩博物館の「名勝萩と長門峡之図」屏風絵である。昭
和7年、萩市の市政施行を記念し製作されたもので、一曲六双の
堂々たる屏風絵だ。複製屏風が萩博物館の入口正面に展示され、
館内売店ではレプリカのミニチュア屏風が販売されている(写真)。
http://www.city.hagi.yamaguchi.jp/hagihaku/

 昭和6年から7年にかけて、初三郎は山口県内の作品を続けて
製作しており、そのうち下関市長府博物館には2点の絹本原画が
収蔵されており、度々展示されている。ひとつは「下関鳥瞰図」
で、山陽電軌沿線案内図「下関及び長府を中心とせる鳥瞰図」、
欧亜連絡都市下関「下関及び長府を中心とせる鳥瞰図」の2つの
作品の原図である。構図、保存状態とも良く、必見の原画である。

 もうひとつは、印刷物未見の「長府鳥瞰図」。画風から同じ時
期の製作と思われるが、山並みなどの描き方が他の作品と違い、
担当したのは前田虹映かと思われるが、虹映にしてはやや稚拙な
印象もありやや謎の残る作品だ。印象としては八戸・石田屋旅館
の原画を昨年の八戸での企画展で拝見したが、それに近い。
どちらの図柄も同博物館の企画展「海港都市下関」図録に掲載さ
れている。

 昨日の日記に「港徳山」原画所在不明と書いたが、徳山美術館
に収蔵されていた。ということはもう1点の「秋芳洞」の所在を
ぜひ近いうちに捜索しなければならない。なにせ「天覧」作であ
るし…。

 サイト「地図の資料館」に山口県関係の作品画像を数点上げた。
http://www.asocie.jp/map/oldmap/yamaguchi.html
初三郎ゆかりの旅館や、協力者であった十千万洞(とちまんどう)
の大津様にも近いうちに会いたい。初三郎が残した昭和5~7年
の新聞スクラップ集には、前出の萩屏風絵を描く際の記事だけで
10点ほどあり、講演会や討論会、記念展覧会なども行われたよ
うである。
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