小さな日記

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宝物

2007年07月02日 | Weblog
高橋靖子さんの「わたしに拍手!」で琥珀のエピソードを読んだ。彼女は8分の1ロシア人で中国の占いでは樹木の星だから、虫の閉じ込められた琥珀があうかもしれないと思いながら待ち合わせの場所に行ったら、会ったひとが最初に発した言葉が「あなたを見るとイリーナというロシア人の名前が浮かぶ、小さな虫が閉じ込められた琥珀が似合う」だったという。

それを読んだ翌日、ロシアから帰ってきた友人からお土産に琥珀のペンダントトップをいただいた。ロシアは父が戦後抑留され、青春期に大きな影響を受けた国だ。虫ではなく、植物の破片がたくさん入って煌いている。一週間前にわたしの誕生石なので母から譲り受けた、母の姉、つまりわたしの伯母の形見のトパーズの指輪と同じ色だ。伯母は、手仕事の達人で編み物縫い物刺繍ビーズと、家族中のあらゆる手仕事を10代から一手引き受けた。ほれぼれする刺繍を施した麻のハンカチや、帯締めの作りかけのビーズ織は、今もわたしの宝物。20代で未婚で逝ってしまった伯母とは、すれ違いでこの世でまみえることはなかったが、わたしはとても親近感を持っている。ロシアの琥珀は、10代に父に買ってもらった金の鎖とよく似合う。

思いがけず、宝飾品がお対でわたしの手元に来て、言い知れない励ましを感じている。ただ、ありがとう、と頭を下げて生きていけと、囁きが聞こえる。

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