本朝徒然噺

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日本橋の新名所

2005年12月30日 | つれづれ
坂田藤十郎丈の襲名披露お練りが行われた日本橋に、新しい観光名所が登場しています。

1つは、歌舞伎俳優の松本幸四郎丈が出演するテレビコマーシャルでもおなじみの、三井ビル。
オフィスやホテルのほか、老舗フルーツパーラー・千疋屋総本店をはじめとする飲食店が入っています。

日本橋三井ビルと日銀
↑日本橋の三井ビル(右奥)と日銀(手前)

そしてもう1つは、日本橋三越の向い側、老舗金物店「木屋」隣にできた「三井越後屋ステーション」。
三井ビルが完成するまで千疋屋仮店舗があった場所に、新たに作られました。

三井越後屋ステーション
↑三井越後屋ステーション

内部にはイベントスペースやカフェがあり、日本橋の歴史や名産品なども紹介されています。
カフェでは、おにぎりやお惣菜、甘味などが食べられます。おにぎりはちゃんと手でにぎったタイプのもので、なつかしい雰囲気です。
お店の外観も、江戸時代の商家の雰囲気を出したものになっています。

「三井越後屋」というのは、今の三越デパートの前身だった呉服店です。日本で初めて「正札(しょうふだ)売り」を始めたことでも有名です。

それまで、呉服の販売は「掛け売り」が常識でした。「掛け売り」というのは、その場で現金支払いをしてもらうのではなく後でまとめて代金の請求をする、「ツケ払い」の販売方法です。
その場で現金を払ってもらう必要がないので、当然、値札もつけられていませんでした。顧客は店の奥で様々な反物を見せてもらい、気に入ったものを買って、後でまとめて支払いをするのです。当然、店と顧客の間に信用が必要となりますから、顧客は必然的に「お得意様」が主流となっていました。

こういった呉服業界の「常識」に一石を投じたのが、三井越後屋でした。
「正札」というのはいわゆる値札のことです。商品に正札をつけて店頭に並べ、現金販売を行ったことで、いわゆる「一見さん」も買いやすくなり、顧客が増えていったのです。
当時としては斬新だったこの販売方法も、今ではごくあたりまえになっています。三井越後屋の先見の銘に感服します。

それまでの常識を覆す新しい発想で商売を成功させた三井越後屋は、現代におけるインターネット呉服販売に通じるところがあるように思います。


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2 コメント

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顧客本位 (fortheday)
2006-01-27 00:52:51
三井越後屋ステーションに以前寄ったので記事を書いてはいるのですが

違った視点でコメントさせていただきます。



昨日が逸翁忌だったので小林一三先生について書いたのですが

理念ある経営だなと思ってます。

今は当たり前になった私鉄経営のモデルも創りましたし

歌劇も野球も愛されて両方を大切にされていましたしね。

顧客本位という点で三井もいち早く手がけたんですね。

両者に通じるところがあるのかなと思ってます。
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どんな企業にとっても (maikoplasma)
2006-01-28 10:06:21
forthedayさま、コメントありがとうございます!

昔の起業家や経営者というのは、やはりどこか一本筋が通っている感じがしますよね。

企業だから利益を追求することは当然必要だけれど、球団経営にしても劇場経営にしても、必ずしも採算が合うとは限りませんよね。でも、人に夢と希望を与えるためにやる。

その「夢と希望」というのを「お金」とはき違えてしまうと、ライブドアの堀江前社長のように誤った方向へ進んでしまうのかもしれません。



でも、現代だって多くの企業人(経営者も従業員も)は、「お客様にいかにいいサービスや商品を提供するか」を第一に考えて毎日仕事してると思いますよ。自社のサービスや商品とお客様のニーズが一致してこそ利益につながるわけですから。

どんな企業にとっても「顧客本位」は基本ですよね。



たとえばメーカーなら「いい製品を作る」こと、IT企業なら「インターネットを使った便利なサービスをつくる」ことが「顧客本位」の第一歩で、みんなそのためにアイデアを出しながら毎日汗水流して働いているわけです。

ホリエモンの一件で「IT企業=市場(株価)第一」みたいに見られるのは、多くのIT企業にとって不本意なことなんじゃないかなあ……と思います。

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