絵羽模様(広げるとひと続きの絵になっている柄ゆき)の浴衣は「最近のもの」のように感じられるかもしれませんが、なんと、江戸時代からあったのです。
入浴の時や湯上がりに着るものだった浴衣が、お祭りなどの際のおしゃれ着として着られるようになったのも、江戸時代からだと言われています。
それに伴い、浴衣の柄や染め方にも様々なこだわりが出てくるようになりました。
裏にも色柄がきれいに通っている「注染(ちゅうせん)」という技法で染めた浴衣や、表と裏で違う柄を染めた浴衣など、「浴衣なのに凝っている」ものが、江戸で流行したのです。
これらの技法を使った浴衣は、今もなお、竺仙などの老舗で染められています。
度重なる「ぜいたく禁止令」に対する抵抗という意味もあったようですが、「さりげないところに凝るのが粋」とする江戸の人々の美意識も影響しているのだと思います。
そんな「凝った浴衣」として、絵羽模様の浴衣も登場しました。
「首抜き浴衣」と呼ばれるものです。
首回りに役者の紋などの模様が大きく染められており、裾にも模様が染められています。
「首抜き」の柄の衣装は、歌舞伎の世界から始まったものですが、しだいに一般の人の間でも流行し、おしゃれな江戸っ子は、ひいきの役者の紋などを染めた「首抜き浴衣」をあつらえ、祭礼の時に着たりしました。祭礼、つまり「ハレ」の日に着る、よそゆきの浴衣だったわけです。
現代の「よそゆき浴衣」の着こなしに、通じるところがあるのではないかと思います。
祭礼のたびに、わざわざ首抜きの浴衣を染めさせるのですから、ぜいたくなものです。
江戸時代にはすでに、浴衣が単なる寝間着ではなく、「おしゃれ着」となっていたのです。
現代でも、東京のお祭りで、首抜き浴衣を着ている方を時々見かけます。
今年の三社祭でも、首抜き浴衣を着ている女性を見ました。もちろん、氏子として参加している人でした。
江戸の三大祭の一つ「神田祭」の時、老舗うなぎ店「神田川」の女将さんは、必ず首抜き浴衣を新調してきたそうです。
この「神田川」の女将さんの首抜き浴衣の着こなしは、これまでにも何度か着物雑誌で紹介されていますので、興味のある方はぜひごらんください。
ひいきの役者の紋や、その役者にゆかりの柄などを染めている首抜き浴衣を、すらっと粋に着こなしていて、とても素敵です。
現代では、役者の紋を染めてしまうと着こなしが難しいというせいもあるのでしょうか、それ以外の柄を染めた首抜き浴衣も作られているようです。
「らくや」の首抜き浴衣
千鳥の柄がとても素敵です。
しかし、高い……。着物と同じくらい、いや、それ以上にかかりますね。
(私が持っている絵羽模様の浴衣は、もちろん、これよりもず~~っと安いです)
「首抜き浴衣」には、「たかが浴衣」にお金と手間をかけておしゃれを楽しむという、江戸の人々の心意気が感じとれます。
それを考えると、「浴衣=花火大会に着て行くもの」という図式が成り立ってしまっていた現代において、「おしゃれ着としての浴衣の着こなし」が注目されつつあるのは、「最近のブーム」というよりもむしろ「古典回帰」なのかもしれないなあ、と思います。
→
入浴の時や湯上がりに着るものだった浴衣が、お祭りなどの際のおしゃれ着として着られるようになったのも、江戸時代からだと言われています。
それに伴い、浴衣の柄や染め方にも様々なこだわりが出てくるようになりました。
裏にも色柄がきれいに通っている「注染(ちゅうせん)」という技法で染めた浴衣や、表と裏で違う柄を染めた浴衣など、「浴衣なのに凝っている」ものが、江戸で流行したのです。
これらの技法を使った浴衣は、今もなお、竺仙などの老舗で染められています。
度重なる「ぜいたく禁止令」に対する抵抗という意味もあったようですが、「さりげないところに凝るのが粋」とする江戸の人々の美意識も影響しているのだと思います。
そんな「凝った浴衣」として、絵羽模様の浴衣も登場しました。
「首抜き浴衣」と呼ばれるものです。
首回りに役者の紋などの模様が大きく染められており、裾にも模様が染められています。
「首抜き」の柄の衣装は、歌舞伎の世界から始まったものですが、しだいに一般の人の間でも流行し、おしゃれな江戸っ子は、ひいきの役者の紋などを染めた「首抜き浴衣」をあつらえ、祭礼の時に着たりしました。祭礼、つまり「ハレ」の日に着る、よそゆきの浴衣だったわけです。
現代の「よそゆき浴衣」の着こなしに、通じるところがあるのではないかと思います。
祭礼のたびに、わざわざ首抜きの浴衣を染めさせるのですから、ぜいたくなものです。
江戸時代にはすでに、浴衣が単なる寝間着ではなく、「おしゃれ着」となっていたのです。
現代でも、東京のお祭りで、首抜き浴衣を着ている方を時々見かけます。
今年の三社祭でも、首抜き浴衣を着ている女性を見ました。もちろん、氏子として参加している人でした。
江戸の三大祭の一つ「神田祭」の時、老舗うなぎ店「神田川」の女将さんは、必ず首抜き浴衣を新調してきたそうです。
この「神田川」の女将さんの首抜き浴衣の着こなしは、これまでにも何度か着物雑誌で紹介されていますので、興味のある方はぜひごらんください。
ひいきの役者の紋や、その役者にゆかりの柄などを染めている首抜き浴衣を、すらっと粋に着こなしていて、とても素敵です。
現代では、役者の紋を染めてしまうと着こなしが難しいというせいもあるのでしょうか、それ以外の柄を染めた首抜き浴衣も作られているようです。
「らくや」の首抜き浴衣
千鳥の柄がとても素敵です。
しかし、高い……。着物と同じくらい、いや、それ以上にかかりますね。
(私が持っている絵羽模様の浴衣は、もちろん、これよりもず~~っと安いです)
「首抜き浴衣」には、「たかが浴衣」にお金と手間をかけておしゃれを楽しむという、江戸の人々の心意気が感じとれます。
それを考えると、「浴衣=花火大会に着て行くもの」という図式が成り立ってしまっていた現代において、「おしゃれ着としての浴衣の着こなし」が注目されつつあるのは、「最近のブーム」というよりもむしろ「古典回帰」なのかもしれないなあ、と思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_rain.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_fine.gif)