このお正月も、また日本髪を結いました。
東京で京風の日本髪を結ってくださる美容院があることを知って以来、毎年お正月には必ずそこで日本髪を結っていただくようになりました。今回で3度目のお正月、もはや「マイ年中行事」として定着しつつあります。
昨年、一昨年はお正月にわざわざ時間をとって結っていただいたのですが、さすがに毎年それでは申し訳ないので、今回はちゃんと大みそかに結っていただきました。
本式結髪の日本髪の場合、一度結うと5日くらいは十分もつので、「日本髪で初芝居」を楽しみに、1月3日歌舞伎座の桟敷席をとっておいたのです。
しかし……。
今年は、鬢(びん:顔の横にくる部分の髪)に使う髪の長さが少し足りなかったため、結って2日目で髪がくずれてしまいました。
長さが足りなくてもきれいに結い上げていただけるのですが、その場合やはりどうしてもくずれやすくなってしまうそうです。
そんなわけで、あまり写真も撮らないうちに髪をとくはめになってしまいました(涙)。
数少ない写真のなかから選んでご紹介します。
今回結った髪型は「菊がさね」。
![菊がさね](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/58/04fd3c10f1bf1e97027afb4179dd3f0c.jpg)
「菊がさね」は江戸時代後期に京阪で結われていた髪型で、現在では舞妓さんが節分の「変わり髷(まげ)」として結っています。
日本髪も、江戸風と京風ではさまざまな違いがあります。
なかでも特に違いが目立つのは、前髪と鬢の形です。
江戸風の場合は、前髪を多めにとり、前にせりだすようにして大きくつくります。鬢も前にせりだすような感じで大きくなります。
京風の日本髪は前髪も鬢も小さめです。鬢の形も「引き鬢」といって、下の写真のように後ろへ向かって流れるようにつくられています。
![引き鬢](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/03/c1bdd13041d08f55936eaf2ed39a58f5.jpg)
この「菊がさね」は京阪の髪型なので、東京ではあまりなじみがないようです。
「何ていう髪型ですか?」とおっしゃる方も多かったです。
「菊がさね」のベースになっているのは「つぶし島田」という髪型なのですが、「つぶし島田」の髷の両脇に添え毛をし、鹿の子を交差させてかけるのが「菊がさね」の大きな特徴です。
![菊がさねの髷](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/0f/371a71229ce13ab714e41460bf4d28f6.jpg)
「つぶし島田」に添え毛をせず、髷の真ん中に鹿の子をかけると、「結綿」という髪型になります。「結綿」は娘さんの髪型で、東京でも京阪でも流行しました。
ご年配の方のなかには、娘時代お正月に「結綿」を結ったという方も多いようです。
「結綿に似てるけどちょっと違うんですね、なんていう髪型ですか?」と声をかけてくださる方もいらっしゃいました。
日本髪を結っていると、ご年配の方が声をかけてくださることが多いです。
以前はお正月になると多くの女性が日本髪を結っていたそうで、みなさん一様に「最近はすっかり見かけなくなっちゃったから、そうやって結ってらっしゃる方を見るとうれしいわ」とおっしゃいます。
そうやって喜んでくださるのを見ると、こちらもうれしくなります。
私が中学生くらいのころ、お正月に日本髪を結った女性を見た記憶があります。
今から10年くらい前でも、お正月に歌舞伎座のテレビ中継を観ると、日本髪を結ったお嬢さんが1人や2人は見えました。
そう考えると、この10年で人々の生活がかなり変わってしまったのかもしれません。バブルがはじけて不況になったことも影響しているのでしょうか。
かつては、お正月だけでなく節分にも、日本髪を結う女性が多かったそうです。
節分に普段と違った髪型をすることにより、厄払いをするのです。
もっと昔、女性がみんな日本髪を結っていたころは、身分や年齢によって髪型が決まっていましたが、節分の時だけは普段と違う髪型を結っていたそうです。
今でも花街には「お化け」という風習が残っています。節分に仮装をして厄払いをするのです。
京都の舞妓さんも、節分にはいつもと違う髪型を結うことが許されます。
季節ごとの行事が簡略化されていく昨今ですが、「ハレ」の日である元日に晴れ着で新年を祝い、「年の変わり目」とされる節分に無病息災を願う気持ちは忘れずにいたいものです。
<本日のキモノ>
![松竹梅の塩瀬帯](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/ae/61472014a5583ab38ebd7e5e0808b2af.jpg)
大みそかだったため普段用の染大島にしたのですが、髪を結ったあといつも美容院で写真を撮ってくださるので、帯はお正月用のものにしました。松竹梅を描いた塩瀬の帯です。松竹梅という古典的な素材をポップな雰囲気で描いている点が気に入っています。
東京で京風の日本髪を結ってくださる美容院があることを知って以来、毎年お正月には必ずそこで日本髪を結っていただくようになりました。今回で3度目のお正月、もはや「マイ年中行事」として定着しつつあります。
昨年、一昨年はお正月にわざわざ時間をとって結っていただいたのですが、さすがに毎年それでは申し訳ないので、今回はちゃんと大みそかに結っていただきました。
本式結髪の日本髪の場合、一度結うと5日くらいは十分もつので、「日本髪で初芝居」を楽しみに、1月3日歌舞伎座の桟敷席をとっておいたのです。
しかし……。
今年は、鬢(びん:顔の横にくる部分の髪)に使う髪の長さが少し足りなかったため、結って2日目で髪がくずれてしまいました。
長さが足りなくてもきれいに結い上げていただけるのですが、その場合やはりどうしてもくずれやすくなってしまうそうです。
そんなわけで、あまり写真も撮らないうちに髪をとくはめになってしまいました(涙)。
数少ない写真のなかから選んでご紹介します。
今回結った髪型は「菊がさね」。
![菊がさね](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/58/04fd3c10f1bf1e97027afb4179dd3f0c.jpg)
「菊がさね」は江戸時代後期に京阪で結われていた髪型で、現在では舞妓さんが節分の「変わり髷(まげ)」として結っています。
日本髪も、江戸風と京風ではさまざまな違いがあります。
なかでも特に違いが目立つのは、前髪と鬢の形です。
江戸風の場合は、前髪を多めにとり、前にせりだすようにして大きくつくります。鬢も前にせりだすような感じで大きくなります。
京風の日本髪は前髪も鬢も小さめです。鬢の形も「引き鬢」といって、下の写真のように後ろへ向かって流れるようにつくられています。
![引き鬢](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/03/c1bdd13041d08f55936eaf2ed39a58f5.jpg)
この「菊がさね」は京阪の髪型なので、東京ではあまりなじみがないようです。
「何ていう髪型ですか?」とおっしゃる方も多かったです。
「菊がさね」のベースになっているのは「つぶし島田」という髪型なのですが、「つぶし島田」の髷の両脇に添え毛をし、鹿の子を交差させてかけるのが「菊がさね」の大きな特徴です。
![菊がさねの髷](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/0f/371a71229ce13ab714e41460bf4d28f6.jpg)
「つぶし島田」に添え毛をせず、髷の真ん中に鹿の子をかけると、「結綿」という髪型になります。「結綿」は娘さんの髪型で、東京でも京阪でも流行しました。
ご年配の方のなかには、娘時代お正月に「結綿」を結ったという方も多いようです。
「結綿に似てるけどちょっと違うんですね、なんていう髪型ですか?」と声をかけてくださる方もいらっしゃいました。
日本髪を結っていると、ご年配の方が声をかけてくださることが多いです。
以前はお正月になると多くの女性が日本髪を結っていたそうで、みなさん一様に「最近はすっかり見かけなくなっちゃったから、そうやって結ってらっしゃる方を見るとうれしいわ」とおっしゃいます。
そうやって喜んでくださるのを見ると、こちらもうれしくなります。
私が中学生くらいのころ、お正月に日本髪を結った女性を見た記憶があります。
今から10年くらい前でも、お正月に歌舞伎座のテレビ中継を観ると、日本髪を結ったお嬢さんが1人や2人は見えました。
そう考えると、この10年で人々の生活がかなり変わってしまったのかもしれません。バブルがはじけて不況になったことも影響しているのでしょうか。
かつては、お正月だけでなく節分にも、日本髪を結う女性が多かったそうです。
節分に普段と違った髪型をすることにより、厄払いをするのです。
もっと昔、女性がみんな日本髪を結っていたころは、身分や年齢によって髪型が決まっていましたが、節分の時だけは普段と違う髪型を結っていたそうです。
今でも花街には「お化け」という風習が残っています。節分に仮装をして厄払いをするのです。
京都の舞妓さんも、節分にはいつもと違う髪型を結うことが許されます。
季節ごとの行事が簡略化されていく昨今ですが、「ハレ」の日である元日に晴れ着で新年を祝い、「年の変わり目」とされる節分に無病息災を願う気持ちは忘れずにいたいものです。
<本日のキモノ>
![染大島に松竹梅の塩瀬帯](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/b7/007e36448554fdb306b262e3b655befa.jpg)
![松竹梅の塩瀬帯](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/ae/61472014a5583ab38ebd7e5e0808b2af.jpg)
大みそかだったため普段用の染大島にしたのですが、髪を結ったあといつも美容院で写真を撮ってくださるので、帯はお正月用のものにしました。松竹梅を描いた塩瀬の帯です。松竹梅という古典的な素材をポップな雰囲気で描いている点が気に入っています。