花傘巡行と奉納舞の間に、祇園で昼食をとりました。
JR東海ツアーズが発売している日帰りプラン「1day京都」には、昼食のクーポンがついています。お店は指定のところから選べます。私は
美登幸という京料理のお店を予約しておきました。
美登幸さんでは、このクーポンを使うと「舞御膳」という料理をいただけます。
花かごに入った様々な小鉢のほか、お造り、揚げ物、湯豆腐、ご飯、赤出し、デザート、抹茶など、盛りだくさんの内容です。
せっかくの料理をさらに楽しむため、別料金で冷酒を注文しました。「桃の滴」という、伏見のお酒です。
このお酒には、「純米吟醸」と「純米大吟醸」の2種類があり、純米吟醸は少し辛口、純米大吟醸はフルーティーな口当たりです。今回のは少し辛口だったので、純米吟醸のほうだと思います。
運ばれてきたお酒を見て、びっくりしました。青竹の筒にお酒を入れ、氷をたくさん入れた器のなかに立てていたのです。
見た目にも涼しげで、料理と同様「目と舌で楽しめる」という感じでした。
美登幸さんでおいしい料理とお酒を堪能した後、奉納舞を見てから、祇園の丸梅さんというお店へ行きました。
ここは、もともとお茶屋さんだった建物ですが、現在は、夜はバーとして営業しています。
昼は
舞妓花の席というのをやっていて、お抹茶とお菓子付きで、舞妓さんの京舞を見たり、舞妓さんと話したりできるのです。
宵山の日に行った「かにかくに」さんの京舞鑑賞会に比べるとお値段はやや高くなりますが、少人数で1時間弱、舞妓さんと結構ゆっくり話せます。
来てくださった舞妓さんは、舞妓になってまだ半年という初々しい方でした。
でも、受け答えもすごくしっかりしていて、落ち着いた雰囲気でした。
新潟出身だそうで、細面できれいな顔立ちです。
お客さんのなかから、「きれいねえ~」という声が何度もあがっていました。
祇園甲部では、舞妓さんになって最初の一年は、紅を下唇にしかさせないことになっています。アイメイクも、アイラインやマスカラは使用不可で、目尻に紅をさすだけです。
お姉さん舞妓さんになるとアイラインやマスカラを使ってもよいのですが、個人的にはアイラインなしのほうが好きです。
やはり、白塗りにはシンプルな和化粧のほうが合うと思います。
アイラインやマスカラでばっちりアイメイクした舞妓さんは、ちょっと「えずくろしい」と思います。そういうのんは、芸妓さんになってからで十分です。
でも今の舞妓さんは、お姉さん舞妓さんになるとなぜかみんな「ばっちりアイメイク」になってしまいます。
今回の舞妓さんは、すっきりした端正な顔立ちだったので、お姉さん舞妓さんになってもぜひ、紅だけのシンプルなアイメイクで通してもらいたいなあ……と思います。
舞妓さんの着物は、黄色の地に桔梗の柄の、絽の振袖でした。
「だらりの帯」を結んでいる丸帯も、もちろん絽です。
舞妓さんの帯の左下には、屋形(置屋さんのこと)の紋が入っています。
児童福祉法のなかった昔は、10歳に満たないような幼い舞妓さんがたくさんいました。そのため、お座敷の帰りに迷子になってしまったり、お座敷で眠りこんでしまうこともあったそうです。
そういった時、近所の人やお客さんが置屋さんに舞妓さんを送り届けられるよう、目印として帯に紋を入れていたのだそうです。
今の舞妓さんはみんな中学を卒業しているので、迷子になる人はいないと思いますが、昔の名残で今でも帯に紋が入れられているのです。
夏の暑い一日、舞妓さんの涼やかな舞姿を見て、何よりの納涼になりました。
![舞妓さんと記念撮影](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/d2/912920e67847fe679f4140c6a4491f28.jpg)
↑舞妓さんとの記念撮影もしてもらえました。舞妓さんの着物は、絽の振袖です。
「ぽっちり」と呼ばれる帯留は、サンゴやヒスイを使った、とても大きくて高価なもの。それぞれの置屋さんに代々伝わる家宝だそうです。
私のこの日のキモノは、青のぼかしの小千谷縮に、紗献上の八寸名古屋帯。小千谷縮は、新潟県小千谷地方で作られる麻織物ですが、奇遇にも、この日の舞妓さんの出身地は新潟。新潟と一口に言っても広く、舞妓さんのご実家は震災の被害も特になかったとのことでよかったです。