新橋演舞場で、人間国宝・新内仲三郎さんの公演「風に立つ仲三郎」が行われた。
「新内(しんない)」とは、「浄瑠璃(じょうるり)」の一種。
「浄瑠璃」は、三味線に合わせ、節をつけて物語を語っていくもの。
義太夫(ぎだゆう)、清元(きよもと)、常磐津(ときわづ)、新内など、その節回しに応じて様々な種類にわかれている。
義太夫は、大阪で生まれ、伝えられてきた浄瑠璃。
それに対して新内は、江戸独自の浄瑠璃であった。
新内の最大の特徴は、その哀切に満ちた曲調である。
三味線も、ほかの多くの浄瑠璃とは異なり、撥(ばち)を皮に当てないようにそっと弾く感じだ。
かつては、遊郭や町の中を流して歩く「新内流し」というものもあり、江戸の人々の間に広く浸透していた。
「新内流し」の男性の出で立ちは、着流しで頭に手ぬぐいをかぶっている。
現代では本物の「新内流し」は残念ながらなくなってしまっているようだが、新内の会などでは、これを模した演奏がよく行われる。
「新内流し」の三味線の曲調も、哀切極まる、何とも言えない風情を持っている。
まさに「江戸の粋」といった感じだ。
今回の公演では、新内の名曲「蘭蝶(らんちょう)」のほかに、新内仲三郎さん作曲の「新内傾城道成寺(しんないけいせいどうじょうじ)」、新内剛志さん作曲の「寿猫(ことぶきねこ)」という2曲の新作が演奏された。
「新内傾城道成寺」を舞うのは、新派の女形・英太郎(はなぶさたろう)さん。
「寿猫」を舞うのは、女優であり日本舞踊深水流家元でもある朝丘雪路さんだった。振り付けも、深水美智雪こと朝丘雪路さん自身によるもの。
最後に、富山県八尾(やつお)に伝わる「おわら風の盆」と、「新内流し」との競演。
はじめに「新内流し」、次に「おわら風の盆」と別々に演奏された後、最後は、「新内流し」の曲調と「おわら風の盆」の曲調を見事に融合させた演奏が行われるのだ。特に、「おわら風の盆」で用いられる胡弓が、「新内流し」にぴったりと合った節を奏でていた。
「おわら風の盆」と「新内流し」の静かな調べで、しばし現実を忘れたひとときであった。
新内の三味線のなかに、「鶴賀寿美之助」さんという人がいたのだが、3階席から見て「誰かに似てるなあ……」と思っていたら、何と、粋曲として寄席にも出ている柳家紫文(やなぎや・しもん)さんであった。
人間国宝の会に出演するなんて、「2つ名のある悪党」ならぬ「2つ名のある名人」といったところである。
<本日のキモノ>
前日と違って涼しく過ごしやすかったので、袷にした。
無地の結城に、5月22日(「三社祭」の記事を参照)と同じ博多織の八寸名古屋帯をお太鼓に結んだ。
![ワンポイント八掛](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/b3/f3ffe9f892252efd57e67f8240506954.jpg)
無地の結城紬の八掛(裾回し)。
表地と同系色でほんの少し濃い色。紬地。ワンポイントの絵が入っている。
歩くと、裾からこのワンポイントがちらちらと見えるので、着ていて楽しい。
この結城紬のおかげで、今春はキモノ生活をいっそう楽しめた。
袷の着物とは、この後10月までしばしのお別れ。
いよいよ本格的な単、薄物(夏物)のシーズン到来。今から夏が楽しみである。
今年の盛夏も、小千谷縮(おぢやちぢみ)や綿絽(めんろ)で、カジュアルな外出を快適に楽しみたい。
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「新内(しんない)」とは、「浄瑠璃(じょうるり)」の一種。
「浄瑠璃」は、三味線に合わせ、節をつけて物語を語っていくもの。
義太夫(ぎだゆう)、清元(きよもと)、常磐津(ときわづ)、新内など、その節回しに応じて様々な種類にわかれている。
義太夫は、大阪で生まれ、伝えられてきた浄瑠璃。
それに対して新内は、江戸独自の浄瑠璃であった。
新内の最大の特徴は、その哀切に満ちた曲調である。
三味線も、ほかの多くの浄瑠璃とは異なり、撥(ばち)を皮に当てないようにそっと弾く感じだ。
かつては、遊郭や町の中を流して歩く「新内流し」というものもあり、江戸の人々の間に広く浸透していた。
「新内流し」の男性の出で立ちは、着流しで頭に手ぬぐいをかぶっている。
現代では本物の「新内流し」は残念ながらなくなってしまっているようだが、新内の会などでは、これを模した演奏がよく行われる。
「新内流し」の三味線の曲調も、哀切極まる、何とも言えない風情を持っている。
まさに「江戸の粋」といった感じだ。
今回の公演では、新内の名曲「蘭蝶(らんちょう)」のほかに、新内仲三郎さん作曲の「新内傾城道成寺(しんないけいせいどうじょうじ)」、新内剛志さん作曲の「寿猫(ことぶきねこ)」という2曲の新作が演奏された。
「新内傾城道成寺」を舞うのは、新派の女形・英太郎(はなぶさたろう)さん。
「寿猫」を舞うのは、女優であり日本舞踊深水流家元でもある朝丘雪路さんだった。振り付けも、深水美智雪こと朝丘雪路さん自身によるもの。
最後に、富山県八尾(やつお)に伝わる「おわら風の盆」と、「新内流し」との競演。
はじめに「新内流し」、次に「おわら風の盆」と別々に演奏された後、最後は、「新内流し」の曲調と「おわら風の盆」の曲調を見事に融合させた演奏が行われるのだ。特に、「おわら風の盆」で用いられる胡弓が、「新内流し」にぴったりと合った節を奏でていた。
「おわら風の盆」と「新内流し」の静かな調べで、しばし現実を忘れたひとときであった。
新内の三味線のなかに、「鶴賀寿美之助」さんという人がいたのだが、3階席から見て「誰かに似てるなあ……」と思っていたら、何と、粋曲として寄席にも出ている柳家紫文(やなぎや・しもん)さんであった。
人間国宝の会に出演するなんて、「2つ名のある悪党」ならぬ「2つ名のある名人」といったところである。
<本日のキモノ>
前日と違って涼しく過ごしやすかったので、袷にした。
無地の結城に、5月22日(「三社祭」の記事を参照)と同じ博多織の八寸名古屋帯をお太鼓に結んだ。
![ワンポイント八掛](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/b3/f3ffe9f892252efd57e67f8240506954.jpg)
無地の結城紬の八掛(裾回し)。
表地と同系色でほんの少し濃い色。紬地。ワンポイントの絵が入っている。
歩くと、裾からこのワンポイントがちらちらと見えるので、着ていて楽しい。
この結城紬のおかげで、今春はキモノ生活をいっそう楽しめた。
袷の着物とは、この後10月までしばしのお別れ。
いよいよ本格的な単、薄物(夏物)のシーズン到来。今から夏が楽しみである。
今年の盛夏も、小千谷縮(おぢやちぢみ)や綿絽(めんろ)で、カジュアルな外出を快適に楽しみたい。
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