マグロチャンピオンの料理道場

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夏の風物詩 「鮎」料理

2011年07月09日 | 一品料理
昨日のことだが福家(上海3号店)に行ったら、水槽の中で鮎が元気に泳いでいるのを見付けた。

どうやら、うちの店に鯛やヒラメ、鮑などの活魚を持ってきている業者がサービスで持ってきたようだ。



夏の風物詩とも言える鮎は別名「香魚」とも呼ばれるが、それは鮎に独特の青い匂いがあるからだ。

そして、鮎という魚だが、一年で、その生涯を終える「年魚」だ。

晩秋に川で孵化し冬の間に海や湖へ下った仔魚が、7~8cm程度に成長した3~5月に今度は河川を上り始める。

河口あたりでは動物性の餌を食べ、川の中流から上流に入る5~7月頃には川の石に生えている川藻を食べるようになる。

鮎は育った川によって香りや味が違うとされるのは、この川藻の違いや川の流れなどの環境によるものと言われている。

中国の天然鮎だが、スイカのような香りがあるが、なかなか清々しい香りがする。

さて、店でキッチンスタッフから、「塩焼き」と「刺身」にしたいという話しを聞いて、急遽、鮎料理を何品か教えることになった。

「鮎の刺身」など出されて、お客さんが「横川吸虫」で腹痛などを起こされたらたいへんなことになってしまう。

日本には昔から鮎を刺身で食べる「鮎背越し造り」という料理がある。

この料理は鮎のヌメリやウロコをこそげ取り、ヒレを切り取った後に内臓を指で押し出して取り除いた後、鮎を筒状のまま2㎜幅位に切っていき、冷水で洗った後に刺身で食べる料理だ。

ただし、川魚の生食は危険なので、やめておくのが賢明だ。

「横川吸虫」は小腸に寄生する人体寄生虫の一種で、腹痛や下痢などの症状が続くと、慢性カタル性腸炎の原因になるともいわれる。

そもそも、「横川吸虫」とは、台湾の鮎からはじめてこの寄生虫を見付けた医学者、横川定の名から名付けられたものだ。

もし、生食をしたいのであれば、塩を振り酢〆にした「鮎の姿寿司」をおすすめする。

鮎の姿寿司。

<作り方>
鮎はヌメリとウロコと内臓、ヒレを除き除き頭を付けたまま背開きにし、中骨や小骨を取り除く。
両面に塩を振り1時間ほどおいてから、水洗いをしてふきんで水けをふき取り、酢に20分程漬け込む。

巻きすの上に酢漬けにした鮎を背を下にして置き、大葉の千切りを敷いて、その上に棒状にした寿司飯を詰めて形を整える。

次に定番の「鮎の塩焼き」だが、鮎を美味しくたべるには「塩焼き」が一番ではないだろうか。

鮎の塩焼き
<作り方>
鮎は腹を親指と人差し指で押さえて肛門からフンを出し、水洗いしてぬめりを取る。
水けをふき取り。ヒレに化粧塩を振り、全体にも軽く塩を振り、強火の遠火で焼き上げる。


日本では鮎の塩焼きに「タデ酢」は欠かせないが、特に臭みが強くなければ、そのままで食べる方が旨いと思う。
盛り付けだが、写真のように立てて盛り付けると、まるで鮎が泳いでいるように見える。

次に「鮎の天ぷら」と「鮎のフライ」と揚げ物が二種類だ。

鮎の天ぷら
<作り方>
鮎のヌメリとウロコと内臓を取り除き、頭ごと3枚におろし水洗いする。
水けをふき取り天ぷらの衣にくぐらせ、170℃~180℃の油でカラっと揚げる。
(皮側の衣をボールの角でこそげ取って、皮側に火を通しやすいようにすると青臭さが取れる。)
                     ↑
          以前「穴子の天ぷら」のところでも説明したので見て欲しい。

天つゆでも良いか、「塩」だけでも十分に旨い。

次に「鮎のフライ」だ。

鮎のフライ

<作り方>
鮎のヌメリとウロコと内臓を取り除き、塩、コショウする。
これに小麦粉をまぶし、溶き卵にくぐらしてパン粉をつけ 160℃位の中温から揚げて行き、中までしっかり火を通し、最後に180℃位まで油の温度を上げてカラッと揚げる。
ポン酢やレモン、スダチ等、柑橘類のソースが鮎には合うようだ。


もう1品は「鮎の姿煮」だ。

鮎の姿煮

<作り方>
鮎のヌメリとウロコと内臓、エラを取り除く。
鍋に鮎を置き、お玉で「酒3、みりん1/2、醤油1/2、砂糖1/4)を入れ火に掛ける。
ネギの青い葉のところ約3~4㎝と、生姜のスライスを一片を加え約10分程、煮含める。

鮎を煮立った鍋に入れると皮肌に亀裂が入ってますうので最初から入れておく。
また、煮過ぎると香りが無くなってしまうので気を付けよう。

さて、今回は昨日、店でとっさに作った「鮎料理」を紹介したが、他にも「鮎の昆布巻き」や「鮎の田楽」と言った鮎料理もある。

ただ、あまり鮎をいじらず「塩焼き」で食べるのが一番旨いのではないかと思う。

尚、今回はなるべく鮎の姿を残す為に「頭付き」で料理したが、鮎が大きい場合には、頭の裏に隠し包丁をしてやると食べやすくなる。





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