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◆「パイロットフィッシュ」
吉川英治文学賞新人賞受賞作。
主人公のもとに19年前に別れた恋人から電話がかかる。それをきっかけに、彼は自分の人生というより、自分の周りの人たちのことを、振り返りはじめる。
「アジアンタムブルー」の前日譚。
らしいのだが、すごい混乱しちまったよ。
「アジアンタム・ブルー」と同じ主人公に思えない。思えないのに、同じような仕事してるし、熱帯魚もアジアンタムもでてくるし…。
多分、「パイロットフィッシュ」を書いたときには、続編を書くつもりはなかったんだろう。なので色々いれてしまった。いれるためには、当然脚色をする。でも続編ではその脚色がうまく効かない、と、ま、なんとなくこうなった理由はわかる。
絶対「パイロットフィッシュ」から読みましょう。
順番間違えると、3割は損しますww
で、中味。
大崎善生のほかの作品に比べて、作りすぎてるかな、と思うところがないわけでない。でも、そういうのを独自の透明感で不問にしてしまっている。
透明であるのに、雑多なパワーがある。
主人公がエロ本の編集者という設定だからだろうか「マノン・レスコー」
に代表される<純粋な売春婦>っぽいものを感じる。
そう、相反するものも突き詰めていけば、無色透明になる。
そういや、大崎善生の文庫には解説がない。
孤高にやっていくつもりのようだ。(解説は、どうも頼んだら頼まれるようになって、だんだん面倒になってくるらしい)
村上春樹も解説をつけないので有名だが、そりゃもう風当たりがきつかったらしい。
がんばれ!!