※使用させていただいているイラストは、幻想素材サイトFirst Moon様のものです。利用規約を守らず転載or再配布したりされないよう、よろしくお願い致します。
さて、再びへヴォ詩☆をいくつか発見したので、今回はその整理です(笑)
いえ、こういうチラシの余白とかに書いてある紙切れって、放っておくとそのうちどっかいってなくなる可能性高いので……まあ、思いだした時とか見つけた時にブログへ写しておこうかな~と(^^;)
それでは以下、へヴォ詩☆15篇です(笑)
<1>
彼の手は
あまりに普通すぎて
つまらない
わたしが欲しいのは
詩神の白くて細長い
美しい指だ
<2>
心の綺麗な人には
天使のような羽が生えている
でもそんなものが自分に生えていると
人に知られるのはとても恥かしいこと
だから 天使のような人は
いつも 羽を隠して歩いています
そして時々 誰もいない時に
毛づくろいをするのです
この世の汚れに触れて
灰色になった羽を抜き
新しい純白のそれが生えてくるのを
待つために――
<3>
苦しみには二種類ある
「何故あんなことが許されたのか未だにわからぬ」
という苦しみと――
あとになって振り返ってみると
その時にはどんなに苦しくても
「あれは私に必要だった」と思える苦しみだ
そして悲しみにも二種類ある
ひとつ目は
どうにかそれをギリギリのところで
受け止められる悲しみと
ふたつ目は
大きな堤を壊したような
修復が到底見込めぬ悲しみだ
<4>
心には無限の扉がある
そのひとつかふたつ、
あるいは三つか四つを試して
そこにずっと住みつく人もいる
でもわたしは欲張りだった――
わたしは「すべての可能性」
<無限の扉>の向こうにある
世界の姿を全部見てみたいと望んだのだ――
それはとても清らかなる狂気
神と同じ眼で
同じものの見方をしてみたいという
人間すべての欲望を代表するもの――
事実、有限なる存在であるわたしは
扉を順に開ける途中
とても気に入った部屋を見つけて以来
ずっとそこに住んでいる
そしてそれこそは人が「幸福」と呼ぶ
ただひとつのものにして
たったひとつの世界だった
<5>
わたしたちにとっては
邪魔のように思われる
<意識のハエ>のような存在が
必要不可欠だ
そう
すべてが何もかも手に入って
寛いでいる時に
ハエや蚊のような取るに足りない存在が
あなたの心を悩ませる
そして
「今いいところなのに」と言って
ハエ叩きを取りだすといったような
人間の行動――
こうしたことを含めて
わたしたちはそれを「幸福」と呼ぶ
何故なら
ハエや蚊のまったくいない世界などには
不安に慣れたわたしたちの心は
到底馴染めないだろうからだ
そこで取るに足らない
小さな存在に道化を演じさせ――
そうすることで
自分の心に安全を与える
時には
「神さまは何故こんな無用の存在を創られたのかしら」
と考えることさえして――
<6>
わたしはあまり意味のないものについて
考えてみた
たとえば
丘の上で手を振る蜘蛛とか
ネズミの母親が
可愛い我が子を寄宿学校へ送りだし――
心配のあまり気を揉む様子なんかを
そしてこうした自分の馬鹿げた考えを
一体どうしたことだろうと
いつも不思議に感じる
「我思う、ゆえに我あり」と言ったデカルトは
悪魔の存在を仮定して
例の崇高な考えに到達したのだとか――
とすれば
こうしたわたしの他愛のない思考にも
自然悪魔が住み着いているということなのか
ああ、でももしそうだとしたら
なんて可愛い悪魔だろう!
猫の公爵夫人が
泉に帽子を落としたのを
孤独な犬の紳士が拾い上げるだなんて――
そしてふたりは恋に落ちるだなんて――
まあ、あなた!
人からもし想像力を奪ったら
蚊やハエや蜘蛛の足跡ほどにも
何も残ったりはしませんよ!
<7>
わたしには天国がわかっている
まるで真夜中に啓示を受けて
眩い閃光に包まれた人であるかのように
わたしには天国がわかっている
そこでは共産主義者が目指した
理想の分配が正しく行われ
公平で間違いのない裁判が行われているのだろう
けれどそのかわり
地上にいる間の我々の身分は
牢獄の囚人に等しく惨めなものだ!
<8>
わたしはあなたのことが
本当はずっと好きでした――
今からでもあなたとの関係を修復するのに
決して遅くはないでしょうね?
神さまが
「いつでも人間から詫びを入れられるのは
気持ちのいいものだ」
とお考えになって――
わたしの罪の告白を受け容れてくださると
いいのだけれど――
<9>
真実というものは
実に思わせぶりな存在
それでいて一度知ってしまうと
存外あっけなく
真実というものは
向こうが思わせぶりな態度を取っている時にこそ
もっとも<真実>らしい容姿をしている
<10>
人生というものは
言い換えるならば
一種の始末の悪いホラー映画のようなものである
<11>
悪魔は魂の空家に好んで住んでいる
あるいは人の心の空室に
知らない間に上がりこんで
時には宴会を催している
そして悪魔が去っていき
饗宴が終わった時
残された家の主はこう思うだろう
「あんな奴に金輪際部屋など貸すものか」
と、苦い後悔の思いとともに――
だが悪魔といったものは
いつでも忘れた頃にやってくる
時には正しい良心を持つ住人を
追い出すことさえして
そこへ強引に住みつくのだ
<12>
いまやあらゆる世界で
人間のDNAの万能が叫ばれている
たとえば
人間とチンパンジーの遺伝子の違いなど
ほんのぽっちりしかないのだとか――※
でも人はたぶん
蜘蛛やハエに向かって
「我がDNAの遠い親戚、我が兄弟よ!」
と握手を求めたりなどしないし――
ミミズに向かって
「我が偉大なるDNAの優れた姉妹よ!」
と言ったりすることもない――
むしろ彼らのことを
単に邪魔な醜い存在と決めつけて
平気で押し潰したりする――
そこで蜘蛛やハエ、ミミズといった
小さなDNAを持つ者の祈りが
天上の神さまの元にまで届いて――
他でもない神ご自身が
人間のDNAにトドメを刺すのだ
※最近の研究では、人間とチンパンジーのDNAは7割方違うことがわかり、人はサルから進化したという進化論に疑問が投げかけられているようです。
<13>
わたしはきのう
天使のように美しい人に会いました
その方は雪のように白い肌をしていて
やがて本当に雪片のように
消えてしまわれました
でも心の扉を開けて
彼のことを魂の中へ迎え入れて以来――
わたしの家は
本当の光と暖かさとで満ち溢れています
ああ 主よ
これこそが魂の聖化と呼ばれるものなのでしょうか
<14>
もし仮に
<存在のベンチ>のようなものがあったとして――
そこに天使のように
清らかな人が座っていたとしたら
わたしは彼のそばを離れたいとは思わないでしょう
もし仮に
外が嵐でも雷でも吹雪でも
あるいは
「あの人はいつもひとりぼっちで何をしてるのかしら?」
と人から怪しまれたとしても
わたしは天使のそばから離れない
何故って
「お腹がすいたから」とか
「寒いから」とか
「人に笑われたくないから」
といった俗っぽい理由によって
彼のそばを離れたら
もし仮にそれが
ほんの五秒の間のことにしても
彼からちょっと目を離したりしたら――
次の瞬間に彼はそこから
消えてなくなってるかもしれないのです
そんな本当の孤独のことを思ったら
いつでも彼のそばにいて
魂の白い食物だけを食べ
暖かい光の外套を一緒に着ていたほうがずっとまし――
でもおそらく他の多くの人々は
そんな人のことを
気違いと呼ぶのでしょう
何故って人は
自分の目に見えるものしか信じないという
悲しい習性を備えた虚しい存在なのですから――
<15>
「あなたの魂の値段はおいくらですか?」
と聞かれて
彼女は謙遜して冗談まじりにこう答えた――
「さあ、三百円くらいかしら?」
すると彼は言った
「よろしい。その一万倍の三百万円であなたのことを
買いとりましょう」と――
果たしてそれが妥当な値段なのかどうか
彼女にはよくわからなかった
魂の値積もりとしては
安すぎるような気もしたし
あるいはもしかしたら
高すぎるのかもしれなかった
だがその後
彼女はとても贅沢な宮殿に暮らし
彼女のことを買いとった男に仕えて暮らしている
そうなってみて彼女は思った
最初の値段のことなどは
彼にはあまり意味のないことだったのだと
仮に三億円で買いとられようと
あるいはそれが三十億だろうと
神の愛の値積もりには
値段など到底つけられない
それは無比の恩寵によって与えられる
この世の富とは比較できない
唯一無二の財産なのだから――
さて、再びへヴォ詩☆をいくつか発見したので、今回はその整理です(笑)
いえ、こういうチラシの余白とかに書いてある紙切れって、放っておくとそのうちどっかいってなくなる可能性高いので……まあ、思いだした時とか見つけた時にブログへ写しておこうかな~と(^^;)
それでは以下、へヴォ詩☆15篇です(笑)
<1>
彼の手は
あまりに普通すぎて
つまらない
わたしが欲しいのは
詩神の白くて細長い
美しい指だ
<2>
心の綺麗な人には
天使のような羽が生えている
でもそんなものが自分に生えていると
人に知られるのはとても恥かしいこと
だから 天使のような人は
いつも 羽を隠して歩いています
そして時々 誰もいない時に
毛づくろいをするのです
この世の汚れに触れて
灰色になった羽を抜き
新しい純白のそれが生えてくるのを
待つために――
<3>
苦しみには二種類ある
「何故あんなことが許されたのか未だにわからぬ」
という苦しみと――
あとになって振り返ってみると
その時にはどんなに苦しくても
「あれは私に必要だった」と思える苦しみだ
そして悲しみにも二種類ある
ひとつ目は
どうにかそれをギリギリのところで
受け止められる悲しみと
ふたつ目は
大きな堤を壊したような
修復が到底見込めぬ悲しみだ
<4>
心には無限の扉がある
そのひとつかふたつ、
あるいは三つか四つを試して
そこにずっと住みつく人もいる
でもわたしは欲張りだった――
わたしは「すべての可能性」
<無限の扉>の向こうにある
世界の姿を全部見てみたいと望んだのだ――
それはとても清らかなる狂気
神と同じ眼で
同じものの見方をしてみたいという
人間すべての欲望を代表するもの――
事実、有限なる存在であるわたしは
扉を順に開ける途中
とても気に入った部屋を見つけて以来
ずっとそこに住んでいる
そしてそれこそは人が「幸福」と呼ぶ
ただひとつのものにして
たったひとつの世界だった
<5>
わたしたちにとっては
邪魔のように思われる
<意識のハエ>のような存在が
必要不可欠だ
そう
すべてが何もかも手に入って
寛いでいる時に
ハエや蚊のような取るに足りない存在が
あなたの心を悩ませる
そして
「今いいところなのに」と言って
ハエ叩きを取りだすといったような
人間の行動――
こうしたことを含めて
わたしたちはそれを「幸福」と呼ぶ
何故なら
ハエや蚊のまったくいない世界などには
不安に慣れたわたしたちの心は
到底馴染めないだろうからだ
そこで取るに足らない
小さな存在に道化を演じさせ――
そうすることで
自分の心に安全を与える
時には
「神さまは何故こんな無用の存在を創られたのかしら」
と考えることさえして――
<6>
わたしはあまり意味のないものについて
考えてみた
たとえば
丘の上で手を振る蜘蛛とか
ネズミの母親が
可愛い我が子を寄宿学校へ送りだし――
心配のあまり気を揉む様子なんかを
そしてこうした自分の馬鹿げた考えを
一体どうしたことだろうと
いつも不思議に感じる
「我思う、ゆえに我あり」と言ったデカルトは
悪魔の存在を仮定して
例の崇高な考えに到達したのだとか――
とすれば
こうしたわたしの他愛のない思考にも
自然悪魔が住み着いているということなのか
ああ、でももしそうだとしたら
なんて可愛い悪魔だろう!
猫の公爵夫人が
泉に帽子を落としたのを
孤独な犬の紳士が拾い上げるだなんて――
そしてふたりは恋に落ちるだなんて――
まあ、あなた!
人からもし想像力を奪ったら
蚊やハエや蜘蛛の足跡ほどにも
何も残ったりはしませんよ!
<7>
わたしには天国がわかっている
まるで真夜中に啓示を受けて
眩い閃光に包まれた人であるかのように
わたしには天国がわかっている
そこでは共産主義者が目指した
理想の分配が正しく行われ
公平で間違いのない裁判が行われているのだろう
けれどそのかわり
地上にいる間の我々の身分は
牢獄の囚人に等しく惨めなものだ!
<8>
わたしはあなたのことが
本当はずっと好きでした――
今からでもあなたとの関係を修復するのに
決して遅くはないでしょうね?
神さまが
「いつでも人間から詫びを入れられるのは
気持ちのいいものだ」
とお考えになって――
わたしの罪の告白を受け容れてくださると
いいのだけれど――
<9>
真実というものは
実に思わせぶりな存在
それでいて一度知ってしまうと
存外あっけなく
真実というものは
向こうが思わせぶりな態度を取っている時にこそ
もっとも<真実>らしい容姿をしている
<10>
人生というものは
言い換えるならば
一種の始末の悪いホラー映画のようなものである
<11>
悪魔は魂の空家に好んで住んでいる
あるいは人の心の空室に
知らない間に上がりこんで
時には宴会を催している
そして悪魔が去っていき
饗宴が終わった時
残された家の主はこう思うだろう
「あんな奴に金輪際部屋など貸すものか」
と、苦い後悔の思いとともに――
だが悪魔といったものは
いつでも忘れた頃にやってくる
時には正しい良心を持つ住人を
追い出すことさえして
そこへ強引に住みつくのだ
<12>
いまやあらゆる世界で
人間のDNAの万能が叫ばれている
たとえば
人間とチンパンジーの遺伝子の違いなど
ほんのぽっちりしかないのだとか――※
でも人はたぶん
蜘蛛やハエに向かって
「我がDNAの遠い親戚、我が兄弟よ!」
と握手を求めたりなどしないし――
ミミズに向かって
「我が偉大なるDNAの優れた姉妹よ!」
と言ったりすることもない――
むしろ彼らのことを
単に邪魔な醜い存在と決めつけて
平気で押し潰したりする――
そこで蜘蛛やハエ、ミミズといった
小さなDNAを持つ者の祈りが
天上の神さまの元にまで届いて――
他でもない神ご自身が
人間のDNAにトドメを刺すのだ
※最近の研究では、人間とチンパンジーのDNAは7割方違うことがわかり、人はサルから進化したという進化論に疑問が投げかけられているようです。
<13>
わたしはきのう
天使のように美しい人に会いました
その方は雪のように白い肌をしていて
やがて本当に雪片のように
消えてしまわれました
でも心の扉を開けて
彼のことを魂の中へ迎え入れて以来――
わたしの家は
本当の光と暖かさとで満ち溢れています
ああ 主よ
これこそが魂の聖化と呼ばれるものなのでしょうか
<14>
もし仮に
<存在のベンチ>のようなものがあったとして――
そこに天使のように
清らかな人が座っていたとしたら
わたしは彼のそばを離れたいとは思わないでしょう
もし仮に
外が嵐でも雷でも吹雪でも
あるいは
「あの人はいつもひとりぼっちで何をしてるのかしら?」
と人から怪しまれたとしても
わたしは天使のそばから離れない
何故って
「お腹がすいたから」とか
「寒いから」とか
「人に笑われたくないから」
といった俗っぽい理由によって
彼のそばを離れたら
もし仮にそれが
ほんの五秒の間のことにしても
彼からちょっと目を離したりしたら――
次の瞬間に彼はそこから
消えてなくなってるかもしれないのです
そんな本当の孤独のことを思ったら
いつでも彼のそばにいて
魂の白い食物だけを食べ
暖かい光の外套を一緒に着ていたほうがずっとまし――
でもおそらく他の多くの人々は
そんな人のことを
気違いと呼ぶのでしょう
何故って人は
自分の目に見えるものしか信じないという
悲しい習性を備えた虚しい存在なのですから――
<15>
「あなたの魂の値段はおいくらですか?」
と聞かれて
彼女は謙遜して冗談まじりにこう答えた――
「さあ、三百円くらいかしら?」
すると彼は言った
「よろしい。その一万倍の三百万円であなたのことを
買いとりましょう」と――
果たしてそれが妥当な値段なのかどうか
彼女にはよくわからなかった
魂の値積もりとしては
安すぎるような気もしたし
あるいはもしかしたら
高すぎるのかもしれなかった
だがその後
彼女はとても贅沢な宮殿に暮らし
彼女のことを買いとった男に仕えて暮らしている
そうなってみて彼女は思った
最初の値段のことなどは
彼にはあまり意味のないことだったのだと
仮に三億円で買いとられようと
あるいはそれが三十億だろうと
神の愛の値積もりには
値段など到底つけられない
それは無比の恩寵によって与えられる
この世の富とは比較できない
唯一無二の財産なのだから――
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