天使の図書館ブログ

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Ray of light-4-

2014-01-04 | 創作ノート
【夏秋草図屏風】酒井抱一


 特に何も書くことないので、ゴシップガールのことでも、と思いました(^^;)

 いえ、実際はわたしもそんなに詳しくないんですけど(汗)、確か結構メトロポリタン美術館が出てきてたような記憶があって。

 とりあえずわたし、1stは全然見てなくて、原作本の最初のほうを少し読んでたんですよね。んで、たまたまドラマで初めて見たのが2nd(たぶん)のブレアとセリーナが取っ掴みあいの喧嘩をするシーンで(笑)

「あ、一番見たかったとこ、見れた」と思って、そこから3~4、もしかしたら5くらいまで飛ばしながらも見たのかな(ちなみに見たのはTVで夜中にやってた時のです・笑)

 最初見て一番びっくりしたのが、ブレアが原作でイメージしてたとおりの女の子だったっていうことかも♪(^^)日本語吹替だと、声優の弓場沙織さんがこれまたぴったりのいい仕事をされていて

 セリーナはわたし個人のイメージだと、容姿的にもう少しビッチっぽい感じだったんですけど(ビッチとか言うな)、ブレイク・ライブリーがもうめっちゃめちゃ可愛いですよね

 なんかこう、容姿が可愛くて美人なだけじゃなく、性格の良さが滲みでてるところがもう……男だったらメロメロのイチコロみたいな(笑)

 あ、ちなみに↑のビッチイメージっていうのは、原作読んでてそう思ったというか。本当は心が純粋で綺麗な子なのに、容姿がモデル並でそれだから周囲に誤解されやすい的な。まあ、原作のほうも最初の2~3冊読んだ程度なので、その後どうなったのかわからないんですけど

 ただ、それだけでも原作とドラマでかなり異なってる部分があるので、原作は原作、ドラマはドラマとして楽しめる作りになってるのかな~と思ったり。

 あと、ドラマ見ててチャックが途中からすごく好きになりました

 特にチャックとブレアの関係性が……ただ、わたしの見たところまでだと、ふたりの関係がまたかなり危うくなってましたっけ。なので、最後にどうなるのか、そのうちDVD借りてきて見ようと思ってるんですけど、そう思いながら全然見れてません(^^;)

 わたしにとっての海ドラの一番のツボ☆は、なんといってもSATC、デスパ、GGとかこのあたりなんですけど、やっぱり一番の魅力は色々な意味でオシャレ(オサレじゃなく・笑)で洗練されてるっていうことでしょうか。

 日本のドラマだとわりとこう……え?そのシーンいる?とか、会話が無駄に長かったりしますけど、向こうの面白いのはとにかく会話やシーンに無駄のない凝縮性が見事だなっていつも思います。もちろん、ハリウッド映画だってつまんないのは、日本と同じくそういうのが多くて、邦画も面白いのは会話やシーンに無駄がなく、一瞬たりとも見逃せないっていうものになるとは思うんですけどね(^^;)

 それと、SATCの最初の元となった本『セックスとニューヨーク』を書かれたキャンディス・ブシュネルさんの本は、大体読んだかなって思います。『リップスティック・ジャングル』とか『トレーディング・アップ』とか……あと『彼女たちが欲しいもの』(ブロンドinラブ)も物凄く好きな小説です

 もちろん訳されたものを読んでるんですけど、文章がまたすごく洗練されてて素敵なんですよねえ♪(^^)

 今密林さんをチェックしたら、『キャリーの日記』なる本を見つけたので、機会があったらブシュネルさんの本はまた読んでみたいと思っています

 それではまた~!!


“You know you love me,XOXO Gossip Girl”



       Ray of light-4-

 玲子が時司要という男と出会ってから、約三年ほどの歳月が流れた。彼と出会った頃、玲子は国際線のCAとしてはまだ駆け出しで、仕事が終わったあとの反省会で絞られるということもあったのだが――要とつきあう過程で人間としても女性としても成長し、彼が絵画に描いた『豊穣の女神デメテル』にも等しい存在感を醸すような、今ではそんな女性になっていたといえる。

 玲子は要に、フランス料理やイタリア料理の一流店によく連れていってもらったが、その時に彼女が心の目で見ていたのは、一流のサービスマンやギャルソンたちの、お客に対していかにさり気なく気配りするかというその行為だったかもしれない。

 玲子はそこで受けたサービスを真似、自己流にアレンジして乗客へのサービスに務めたし、また少しばかり仕事上の困難なこと、あるいは慣れによる倦怠感があっても、また来週、あるいは来月、要にまた会えると思えば容易に耐えることが出来た。

 実際のところ、今では互いに忙しく、月に一度、あるいは二、三か月に一度会えるかどうかという関係になってしまったが、それでも要との関係は玲子にとって絶対になくてはならないものだった。

 もちろん、客観的に見た場合、玲子の存在というのはもしかしたら、いわゆる<都合のいい女>なのかもしれない。玲子にしても、狂おしいくらい要とずっと一緒にいたいと感じることもあったし、会いたいと思う衝動を抑え切れず、彼に電話でそう伝えたということも何度となくあった。

 そして玲子の側にそういう気配がある時、要は必ず「じゃあ、今度リヴィエラにある別荘へ行こうか」とか、「アスペンにスキーをしに行くのはどう?」と、誘ってくれたものだった。玲子はそのたびに結局は身も心もほだされてしまい、単に最初の振りだしに戻っただけであっても、十分満足することが出来たのである。

 それはもしかしたら簡単に言えば「自分はもう愛されていないのではないか」、「彼は自分よりもっと深く他の女性を愛しているのではないか」……そうした玲子の心の奥に巣食う不安や疑心暗鬼を払拭するための旅行でもあったかもしれない。

 そして玲子はそのたびに「要さんは要さんなりにわたしを大切に思ってくれている」と確信し、また次のフライトへと旅立つのだった。

(そうだわ。決して多く求めさえしなければ、要さんはこれからもわたしと一緒にいてくれるもの)

 仕事のほうも概ね順調であり、チーフパーサーは自分がいなくても鹿沼がいれば大丈夫と言ってくれるほどになったし、後輩たちも慕ってくれれば、先輩にもどちらかといえば目をかけられている……これ以上のことを望むなど、きっと罰当たりなことなのだ。玲子は何度もそう自分に言い聞かせた。

 けれど、玲子にとって呪わしく忌まわしいあの事件――『偽装イスラムテロ事件』が起きてのち、玲子は自分がすっかりすべてを失った気がした。

 そう、その事件が起きた日、玲子はいつも通りの朝を迎えていた。朝起きると、ペールグリーンのカーテンを開けて朝日を導き入れ、まだ半分眠り眼のまま、コーヒーメーカーのスイッチを入れた。それからコーヒーがわく間にフレンチトーストをこしらえ、冷蔵庫の中からサラダとフルーツ、それにチーズを取りだした。

 ぼんやりテレビを見ながら食事をしたのち、歯磨きと顔を洗うのを済ませ、朝のメイクを約十五分で終えた時のことだった。彼女がバスローブを脱いで下着姿になった時、ガチャリとドアの開く音がしたのである。

(まさかね)と玲子は思いながらも、一応再びバスローブを着、玄関のほうへ向かおうとした。当然チェーンロックもかけてあるし、仮に鍵が開けられたところでどうということもない――彼女はそう思っていた。

 ところが……。

「きゃあああああっ!!」

 そこには、玲子が想像してもみない気味の悪い人物が立っていた。顔にガスマスクをつけ、手に鉈を持った男とも女ともわからぬ者がそこに立っていたのである。

 玲子は取り乱し、心臓はバクバク脈打つし、足はガクガク震えた。おそらく彼とも彼女ともわからぬ存在が「わたしはガスマスク星人だ」と合成ボイスで名乗ったとしても、玲子は少しも笑わなかったに違いない。

「た、助けてっ!!だ、誰か……要さんっ!!」

 ガスマスクをつけた人間は何故か、要、というこの言葉に強く反応したようだった。鉈を大きく掲げると、それを空中で二度三度と振り回し、玲子のことを背後から追いかけてくる。

「何が要さんだァッ!!」

 そのくぐもった声を聞いて、玲子はガスマスクをつけた人物が女であることを知った。少なくとも男ではないということにほっとする反面、それでもやはり恐ろしいことに変わりはない。

 玲子は寝室のベッドまでじりじりと追い詰められ、最後にダブルベッドのへりに足をつっかけると、そこに横転した。

 ガスマスク女がそんな玲子の背中に手を伸ばし、バスローブを剥ぐ。そこから現れた肌の白さにまるで興奮したように、彼女は今度は玲子のブラジャーと下着を剥ぎとりにかかった。白のブラジャーと揃いのレースのパンティを。

「い、いやあっ!!やめてえぇっ!!」

 丸見えになった臀部に鉈の刃を立てられ、そのひんやりとした感触に玲子は心底ぞっとした。

「さあ、言えっ!!おまえは時司要と何回愛しあったんだ、ええっ!?」

「えっ、か、要さんと……!?」

 玲子は涙ぐみながら、心の中で(数えきれないくらい)と思った。と同時に、この女性はおそらく――と、そこまで考えたところで、玲子の思考は途切れた。

 というのも、顔のすぐ真横にグサリと鉈が突き刺さったからである。

「さあ、早く答えろっ!!」

「ひゃっ、百回くらいですっ!!」

 思わず玲子が概数でそう答えると、「このアマァ、いい根性してるなァッ!!」と、ガスマスク女は鉈を引き抜き、今度はそれを玲子の背中にピタリを押し当てた。

「や、やめてっ!!お、お願いだから……っ!!」

 玲子は羽枕に顔を押しつけて、無防備な裸のまますすり泣いた。ガスマスク女にもまだ人間の情のようなものが残っていたのであろうか、彼女は「チッ」と舌打ちすると、枕を玲子の頭の下から引き抜き、それをズタズタにすることで憂さを晴らしたようだった。天使のような羽毛が空中にふわふわと舞い落ちる。

「さあ、グズグズ言わずにわたしの言うとおりにしろっ!!」

「は、はいっ!!」

 玲子は腰の抜けた状態でビクビクしながらも、ガスマスク女の言ったとおり、クローゼットの中の衣服を全部ベッドへ放りだし、それから彼女の言うとおり、裸のままそこで体育座りの姿勢をとった。

「よし、あとは外から助けが来るまでひたすらじっとしてるんだな。じゃあ、あばよっ!!」

 クローゼットのドアが閉まるのと同時、そこにチェーンが幾重にも巻かれる音が続いた。これは絶対にこの部屋を一度は下見に来ている――玲子はそう確信した。ガスマスク女が部屋の中を何やら色々と物色する気配が続いたのち、外から鍵をかける玄関の音がする。

 そのあと玲子は、部屋の隣人が異変に気づけばいいと思い、何度もクローゼットをどんどん叩いたり、「助けてっ!!」と喉が裂けるほど繰り返し叫んだ。だが、結局のところ玲子が自宅マンションのクローゼットから解放されたのは、パリでテロ事件が発覚してのちのことであった――そして彼女は空気が薄くなった狭いクローゼットから失神した状態で発見され、すぐさま救急車で病院へと搬送されたのである。


 * * * * * * * * * * * * * * *

 病院で目が覚める前、玲子はある夢を見ていた。

 それは自分がハァハァと息遣いも荒く、要が以前アトリエとしていたあの旧邸宅――そこの離れにある、イスラム風タイルの地下道を走っていくという夢だった。

 玲子はそんな自分の姿を空気に溶けた別の意識として眺めながら、(何故こんなにもわたしは急いでいるのかしら)と不思議に感じる。

 夢の中の玲子は急いで土間で靴を脱ぎ捨てると、ドタドタと階段をのぼっていった。その瞬間に(おかしいわ)と、別の意識の思念体である玲子は怪訝に思った。玲子は両親のしつけが厳しかったせいもあり、靴を揃えずにどこかへ上がるということを、一度もしたことがない。

(ねえ、どうしてそんなに慌てているの!?)

 そう思ってみても当然ながらどこからも返事などなく、夢の中のもうひとりの玲子は、相変わらず急ぎ足だった。そして色褪せた畳の上を走っていき、次から次へとスパン、スパーンという音をさせながら、襖を勢いよくあけ――そして最後、あの風神と雷神、また鬼と罪人の描かれた欄間に到達すると、ようやく自分の望んでいたものを見つけたとばかり、床の間から般若の面を取ろうとしたのである。

(だ、駄目よ、絶対にそんなこと……っ!!)

 玲子がそう必死に訴えかけるのも構わず、夢の中のもうひとりの玲子はそれを顔につけようとしていた。そしてその寸前に玲子は目を覚ましたのである。

「なんて嫌な夢……」

 ドキドキという動悸を感じながら玲子は目が覚め、なんだか胸騒ぎがした。そして自分が何故病院にいるのかということを思いだし、すぐに要の身の上のことを案じた。

 そして医師と看護師が少しの間玲子のことを診察し、特にどこにも異常はないという結論がくだされると、次に四十代半ばと思われる女性刑事がひとり、病室に入ってきた。

 玲子はその美武という名の刑事から事情を聞かれ、あったことをそのまま話すと、彼女は次に玲子が搭乗する予定であったパリ行きSU507便で何があったのかを、順を追って説明してくれたのである。

「それで、要さんは無事なんですか!?」

「ええ。肩に銃弾を受けてはいるそうですが、まあ命に別状はないと考えていいでしょうね」

(要さんが以前つきあっていた女性が、まさかそんなことをするなんて……)

 しかもその女性が、自分と瓜二つに整形していたという話を聞き、玲子はぞっとした。しかもその女が要にありえない、理解できない暴力行為まで働いていたと聞かされ――さらにゾッと身の毛がよだつ。

(要さんがもし、その女の人のことをわたしだと信じていたとしたら……そのことのゆえに騙され、ひどい目に遭わされたんだとしたら……わたし、一体どうしたらいいの!?)

 玲子の顔が青ざめ、指先が震えだしているのを見て、美武は心底彼女のことが気の毒になった。調べてみたところ、いいところのお嬢さんであり、仕事のほうも順調にキャリアを重ね、周りの人間にもよく好かれていたようである。だが、そうしたいわゆる<善良な人々>が奇怪な事件に巻き込まれ、精神の病いを患ったり、事件の二次被害・三次被害を受けたり、また他人の心が信じられなくなるといったケースを、美武はこれまで刑事として何度も目撃していたからである。

(けれど、彼女の場合、画家の時司要という恋人がこれから心を慰め、色々なことを良いようにしてくれるかもしれない)……美武は珍しく、そうした少し楽観的な見通しをこの時持ったのであったが、悲しいことに要は帰国すると真っ先に玲子の元まで駆けつけはしたものの、彼の心はすでに彼女の元に留まってはいなかったのである。



 >>続く。





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