天使の図書館ブログ

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Cool&Passion2-【4】-

2012-05-29 | 創作ノート
【布張り窓の聖母】ラファエロ・サンティ


 え~っと、ここから最終回までの2~3回はエロ☆がないです(そして最終回のみある^^;)

 まあ、今回のお話はカルってどーやったらそゆことに目覚めるかな……っていうことで、<夢>っていう手段を考えてみたっていうか

 流石に、毎日のようにそんな夢ばっかり見てたら、相手のことをおにゃのこ☆として意識するだろーなっていう(笑)

 前回のトップ絵はヴェロッキオの聖母子だったんですけど、聖母子の絵には洗礼者ヨハネが描きこまれてることが結構ありますよね。

 なんていうかわたし、カルのことを救えるのは、マリア様のような女性なんだろうな~っていうのが以前からずっとあったので……マリア様の描かれてる絵を見るたびに「カル~!!」みたいに思ってるところがあるよーな(ビョーキです☆)

 正確には洗礼者ヨハネ(来るべきエリヤ)のお母さんはエリサベツという女性なんですけど、まあそんなことはどうでもいい(?)として、今回もまた石井美樹子さんの「中世の食卓から」より、文章を抜粋させていただきたいと思いますm(_ _)m

 >>食卓にのぼる魚の王さまといえば、誰でもまず、キング・サーモンを思い浮かべる。キング・サーモンやスパイスのように、めったに手に入らず、高価でとびきりおいしいものこそ、王者の名にふさわしい。
 イギリスの民俗学者キャサリン・ブリッグズの「イギリスの妖精」によると、マスとサーモンは、ケルトの伝承ではもっとも神聖なる魚だった。ケルトの多くの井戸にはマスが棲んでおり、妖精を見ることのできる人だけが目にすることができたという。とくに、ハシバミが実を落とす淵にひそむサーモンは、魔法の力を持っていると信じられていた。そのようなサーモンを一口でも食べた人は、味覚が敏感になって繊細な味を味わうことができるようになった。アイルランドの伝説的な英雄フィオーンの歯が魔法の力を獲得したのは、ハシバミで育ったサーモンを食したためだといわれている。かくも貴重なサーモンだったから、むろん庶民の食卓にのることなどめったになかった。

(「中世の食卓から」石井美樹子さん著/ちくま文庫より)


 いえ、わたしこういうお話、大好きなんです

 まあ、わたしの脳内思考回路はケルトといえばドルイド、ドルイドといえばシェラみたいになってるので……あと、今読んでるケルト神話の本の中に、

 >>吟遊詩人は、なによりも文学に関係する階級であり、ケルト社会の英雄好みの性格からみれば、昔からの資料が主として彼らを称揚詩の歌い手として記述してきたことは、驚くに当たらない。
 古代の著述家たちにより確証されたこの文物機構は、内容的にアイルランドの伝説からも確認されている。またもわれわれは、ここでドルイド司祭(druidh)とフィーリ(filidh、語り部)と吟遊詩人(baird)を構成する、三重の階級を見出す。

(「ケルト神話」プロインシァス・マッカーナ著、松田幸雄さん訳/青土社より)


 という記述があって、こういうのにもぶつかると、「イヒヒ☆シェラ」(キモッ☆)みたいになって、幸せ気分満喫です(あんた、本当にどっかおかしいんじゃ……

 吟遊詩人のバードって、bairdっていう綴りなのね~とか、そんなほんのちょっとしたことを知るのが楽しいというか、なんていうか(^^;)

 なんにしても、ここらへんのことについてはまだまだ調べることがたくさんあって、その手の本を少しずつゆっくり読んでいこうかと思ってます~♪

 それではまた~!!



       Cool&Passion2-【4】-

(ば、バレている……!!)

 カルが背中を向けて部屋を出ていくなり、シェラはその場にぺたん、と座りこんだ。

 もちろんカル=スは、彼女が見た夢の中でのように、シェラの胸を揉みしだいたわけでも、その他女であるとわかる場所に、不躾にも手を差し入れてきたというわけでもない……それでもシェラには、はっきりとわかってしまった。主君には、自分が女であるということが、ほぼ100%に近い確率でバレてしまっているだろうことが。

(ど、どうする!?もし、あの方が服を脱げといったのは、最終的な確認をするためだったとしたら……)

 シェラはズボンのベルトを震える手で締め直し、上衣の留め金も留め直すと――深い溜息を着いた。

(ここのところ、あんな淫らな夢ばかり見ているから……それで、きっと罰が当たったのだ。誰にも言わなければわかるはずなどないと思っていたけれど、そういうことではなくて……そうしたことというのはなんとなく、空気の中に醸されてしまうものなのかもしれない。それで、カル様は違和感を覚え、お気づきになってしまったのでは……)

 それとも、他に考えられうる理由が何かあるだろうか?とシェラは考えながら、主君の私室の掃除と食事の後片付けなどをはじめた。

 最後に、全身の映る大きな姿見を柔らかい布で拭きながら――カル=スが最後、自分の首筋に唇を押しあてた瞬間のことを、シェラは反芻する。

 ほんの数秒のことだったというのに、ある意味では永遠にも感じられるほど、シェラにとってそれは長い時間だった。

(もう一度あの方が、同じことをしてくださったら……)

 甘い溜息を着いてそう考えてから、鏡の中でシェラは赤面した。

(い、いや、そうではない。わたしは一体何を考えているのだ?それよりも、また同じことが起きた時、なんとか誤魔化せるよう、先に手を打っておかないと……)

 そう思いながらもシェラは、自分が深く落胆していることに気づかないわけにはいかなかった。そしてその落胆がどこに端を発するものなのか――シェラにははっきりとわかってしまったのだ。これまではその考えをなんとか否定し、無意識の森ともいうべき場所へ、ずっと追いやるようにしてきたけれど……。

(おまえは男の中の男だ、シェラ・イー・リー)

 シェラは鏡の中の自分に向かって、自嘲の笑みを浮かべながらそう言った。

(幸い、上着のほうは脱がされなかった……厚い胴当てでも、腹に重ねて着れば、薄いシャツ一枚の格好でもなんとか、胸を目立たなくさせる工夫はできる。先手必勝で、次にあの方が似たことを言われたら、自分から堂々と服を脱ぐのだ。ただし、いくら主君といえども、裸を見せる義務まではないと言えば……カル様もおそらく、それ以上のことは何もおっしゃるまい)

 シェラがそう自分の心の中で結論をだし、汚れた衣類をワゴンの下へ、また食器類や交換した水差しなどはワゴンの上へ置いたりしていると――不意に、誰かが彼女の心へ直接、こう語りかけてきた。

(本当に、貴女はそれでいいの……?)と。

 シェラは思わずハッとして、自分が活けたばかりの薔薇の花のほうを振り返った。

 その声がしたのは、間違いなくその花のほうからだった。

 そしてシェラは、カル=スが口の中に含んだ自分の左手に目を落とし、(そういうことか……)と妙に納得する。

 何故なら、花の精の声を聴くことが出来るシェラは、これまで一度として花や草、あるいは樹の枝などによって怪我をしたことはないからだ。

 シェラはいつも、カル=スの寝所で朝かえた花を、自分の寝室へ持ち帰るということにしている。だからおそらくは、彼女たちにはわかってしまったのだろう……自分がいかに切ない想いを持って、自分の主君を仰ぎ見ているのか、ということが。

(こんなことはもう、やめてしまわなくては……)

 シェラはそう思い、その日主君の部屋でかえた芍薬の花を、自分の寝室へ持ち帰りはしなかった。かわりにそれを、城の目立たぬ廊下の一角へ飾り、自分の部屋へは――薔薇の花ではなく、紫陽花の蒼い花を飾るということにしたのである。



 >>続く……。





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