天使の図書館ブログ

 オリジナル小説サイト「天使の図書館」の付属ブログです。

ゲド戦記。

2012-01-18 | 
 ※「ゲド戦記」Ⅰ~Ⅲについてネタバレ☆がありますので、閲覧の際はご注意くださいm(_ _)m


   ことばは沈黙に
   光は闇に
   生は死の中にこそあるものなれ
   飛翔せるタカの
   虚空にこそ輝ける如くに

     ――エアの創造――


 久しぶりに「ゲド戦記」のⅠ~Ⅲを再読しました♪(^^)

 いえ、もう一体何年ぶりになるのか……と思うんですけど、やはりゲドは何度読んでも最強的に死ぬほど面白かったです

 初めて読んだ時は、自分的にⅡの「こわれた指輪」が一番面白かったんですけど、今回は意外なことに、Ⅰの「影との戦い」がすごく面白かったという(^^;)

 たぶん、わたしの年がもう少しいくか、あるいは病気で入院するとかしたら、Ⅲの「さいはての島へ」が一番面白く感じられるかもしれないな~という気もしたり。。。

 ちなみに、「ゲド戦記」をジ○゛リアニメで初めて知った……という方も多いと思うんですけど、アニメと原作はまったく別物と思って、原作のほうが数百倍(個人的には数百万倍・笑)面白いと考えたほうがいいんじゃないかなっていう気がします

 まあ、ファンタジーの最高峰といわれる作品だけあって、ご存知の方にとっては「今さら作品解説とかいらね☆」っていう小説だとは思うんですけど、そんなことも少し交えつつのへヴォ☆感想文でも書こうかな~と思ったというか(※注:原作があまりに素晴らしすぎるゆえ、ショボい感想しか書けなさそう……という意味です^^;)

 さて、「ゲド戦記」をⅢ巻くらいまで読んでくると、ゲドが最初はダニーという名前だったということをすっかり忘れてしまいますが、ゲドというのは、彼のお師匠さんがつけてくれた<真の名>なんですよね(そして普段彼が名乗っているハイタカというのは通称)。

 ダニーという名をくれたゲドのお母さんというのは、彼が一歳にもならないうちに死んでしまいます。それで、この亡くなったお母さんのお姉さんというのが、まじないの心得を持っていて、ゲドに魔法の才能があることを見抜くのでした。

 ゲドの生まれ故郷であるゴント島がカルガド帝国の戦士に襲われた時、ゲドは敵を霧によって撹乱させることにより、村の人々に勝利を得させます。この時わずかにまだ十二歳。そして<沈黙のオジオン>と呼ばれる魔法使いが、彼が十三歳になった時に<真の名>を与えてくれ、ゲドの魔法のお師匠さんになるのでした。

 ところが、オジオン師匠の魔法修行はなかなか進まず……ある時、オジオンはゲドに「ローク魔法学院」へ行くことを薦めます。ゲドはこの頃にはすっかりオジオンのことが魔法使いの師匠としてだけでなく、人間として好きになっていたので迷いますが、最終的にはローク魔法学院へ行くことを決意するのでした。

 さて、ローク魔法学院へ到着すると、ヒスイという名のちょっと気どった(?)感じの男がゲドに学院内を案内してくれます。まあ、このどこかいけ好かない感じの男とゲドはライバル関係になるわけですが、ある時、死霊を呼びだせるかどうかということで、互いに力を競いあうことに。

 結局ゲドは、最終的に<呼びだしてはならぬもの>を呼びだしてしまい、瀕死の重傷を負います。そして、この<影>をゲドから引き離すために――ローク魔法学院で学院長をしていた大賢人ネマールは、魔法の力と命を使い果たしてしまうのでした。

 己の愚かさを悔いるゲドでしたが、彼が呼びだしてしまった<影>はまだ存在しており、ゲドのことを喰らい尽くしてなりかわろうと、彼のことをずっと狙っています。

 ゲドは最後に、ローク魔法学院で親友になったカラスノエンドウ(エスタリオル)とともに、自分の影と対峙するために海の果てへ向かっていくことを決意するのですが……その前に影と二度対峙して破れているだけに、今度もまた駄目だったらという思いがゲドを悩ませました。そしてそんな時、彼はかつての師匠であるオジオンのところへ行き、適切な助言をもらうことに。
  
 姿変えの術により、ハヤブサになって遠く逃げてきたゲドのことを、オジオンはあたたかく迎え入れてくれます。


「しかし、その前に立つと、わたしはまったく無力なのです。どこか……」

 ゲドは言いかけて、口をつぐんだ。

「いや、安全な場所などというものはどこにもない」

 オジオンは静かに言った。

「ゲド、よいか、そなた、もう二度と姿を変えてはならんぞ。影は本来のそなたを破壊しようとかかっておるのじゃ。危ないところだった。そなたをハヤブサにとしむけたのは影だったんじゃ。そなたがこれからどこへ行くべきか、わしにはわからん。ただ、どうしたらいいかについては、わしにも考えはある。言うのはつらいがの」

 ゲドはかたずをのんで、オジオンの口もとに見入った。ついに、その口が開いた。

「向きなおるのじゃ」

「向きなおる?」

「そうじゃ。もしも、このまま、先へ先へと逃げて行けば、どこへいっても危険と災いがそなたを待ち受けておるじゃろう。そなたを駆り立てているのはむこうじゃからの。今までは、むこうがそなたの行く道を決めてきた。だが、これからはそなたが決めなくてはならぬ。そなたを追ってきたものを、今度はそなたが追うのじゃ。そなたを追ってきた狩人はそなたが狩らねばならん」 
 
 
 ――この時にオジオン師匠の言う、「いとしいハヤブサめ。うまく飛んでいんくだぞ」というつぶやきは、なんとも心に残るものがあります

 まあ、最終的にゲドは自分が呼びだしてしまった<影>と対峙し、融合するわけですけど……ここは最初に読んだ時には本当にドキドキしました。

 どうやっても勝てない相手に、ゲドは一体どうやって勝利するつもりなのか――そして、最後は本当に意外な結末でした。

 これでゲドがもし、己の<影>を僅差の魔力によって打ち倒したとかいうラストだったら、「まあ、なんにしても勝ったからいいや☆」くらいの納得感だったかもしれません。でもそうではなく、彼が己の<影>とひとつになることをこそ選んだから……ゲド戦記は読者に忘れられない読後感を与えてやまないのだと思います。

 では、次は第Ⅱ部の「こわれた腕輪」なんですけど、この本はちょっと好きすぎて感想書くのが難しいんですよね

 でも、前にも別の記事で書いたとおり――わたしはゲドとテルーの恋愛的要素(?)がそんなに濃くなくっても、今回もまた全然納得して大満足で読み終えました(^^)

 というか、エレス・アクベの腕輪がひとつになった瞬間、ふたりの魂はひとつになったというふうに読めると思うので……そのように<ひとつのもの>になったにも関わらず、ゲドが自分は魔法使いだから、またどこかへ行くだろう――みたいに言うことに対して、テナーが自分を支配した古い力のことを懐かしむ気持ちとか、ゲドのことを短剣で刺し殺そうと思う瞬間のこととか、今風でいうラブえっち(笑)な関係とかいうのより、よほどリアルに感じたほどでした。

 そして第Ⅲ巻、「さいはての島へ」では、ゲドはローク魔法学院の学院長になってるんですよね。今度は自分が弟子をとるような立場で、彼はアレンという青年と旅へ出ることになるわけですが……物語の最後で、かつて大賢人ネマールが魔法の力を使い果たしたように、ゲドもまた生死両界の扉を閉ざすために、魔法の力のすべてを使い果たしてしまいます。

 作中に、大賢人ネマールに対する言及はありませんけれども、ゲドの心にはこの時、間違いなく彼のことがあったのではないでしょうか。

 かつて、自分のために命を投げだしてくれた人がいた……しかもその人は、親や兄弟でもなければ遠い親戚ですらないにも関わらず、また学院長という責任ある立場だからというより、「ゲド本人のため」にそうしたという気持ちが強かったと思うんですよね。

 ここで自分が破れればアレンも死ぬ……そうすることが世界のためというよりは、身近にいるアレンのためという気持ちこそがゲドを踏ん張らせたというか、これでアレンがいなくて「単に世界のため」とかだったら、ゲドは案外すぐ負けていたかもしれないのです。

 そうしたことを含め、ゲドは大賢人ネマールの気持ちがこの時、痛いほどわかっていたのではないでしょうか。

 全然関係ないことなのですが、黄泉の国にあるという「苦しみの山」をつい先日、夢の中で見てしまいました(^^;)

 たぶんゲド戦記の影響とは思うんですけど、目が覚めた時にわたしが思ったのは、まわり中真っ暗闇であるにも関わらず、「苦しみの山」の輪郭がうすらぼんやり見えたということは、そこに「光がないわけではない」ということでした。

 まあ、わたしはクリスチャンなので、「この暗闇の苦しみの山ですらも、神は見ておられる」という感じなのですが、「その苦しみを見ていながら放っておく神とはなんなのだ」ということを含め、「聖竜の姫巫女」という小説の中で書いていきたいな~と思っていたり(^^;)

 ミュシアという少女とわたしには、重なるところはほとんどないんですけど、そういう神学論的な部分については、わたし個人が考えたことを彼女に語ってもらってるという部分があるとは思います。。。

 なんにしても、拙い感想で申し訳ないのですが(汗)、そろそろ本の返却期限が迫っているもので、急いで書いたような次第ですww

 それではまた~!!


 P.S.↑の感想の中には書けなかったんですけど、ル=グウィン女史の描く竜の描写は本当にリアルで格好いいと思います


 ↓ル=グウィン女史が「ハヤオしかいない」って言ったんだから、ラピュタかハウルくらいのクォリティで、出来れば宮崎駿監督にゲドはアニメにして欲しかったですだって、わたしが「ゲド戦記」を読むことになったきっかけって、宮崎駿監督が「ゲド戦記をいつかアニメにしたい」って言ってたのを何かで読んだからなのでww(^^;)






最新の画像もっと見る

コメントを投稿