ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

136.バランス感覚

2020-08-05 12:08:46 | 時代 世の中 人生いろいろ
 「経済より命が大事」。先日、そんな“正論?”をまた耳にした。さすがに、メディアも経済が停滞すると自らの首を絞めることが分かってきたと思っていたのだが。TVワイドショーで、あるコメンテーターが、“そのこと”を「国民全体で考えなくてはいけない。」という趣旨の話しをしていた。それぞれの立場で責任を持って意見を言うことは自由だが、個人的にはその手のコメントには辟易しているので途中で見るのをやめたから、どのような話の展開になったかはわからない。

 多くの国民も、国の基本方針も、今は「経済も命も大事」なのだと思う。そのバランスに心を砕き力を入れている。そんな正論まがいのことを考える暇があったら、日々の暮らしを守り、紡ぎ、事業の継続に尽力したいと、懸命に、淡々と、当たり前に両方を守ろうとしている人が多数だろう。

 「経済困窮で落とす命」も「感染症で落とす命」も、命の重さは同じはず。行政を批判しても命は戻ってこない。この感染症は多くの場合、数週間で治癒すると言われているが、経済的ダメージは回復に数か月から数年かかる可能性が高い。「命があれば経済はいくらでも立て直せる」と言われても、既に立て直せなかった企業や事業者も出てきている。おそらく、経済的にも社会的にも堅固に守られ豊かと思っている一部の人々には、「経済的困窮」などイメージできないのだろう。無理もないことかもしれないが。

 たとえ、「経済困窮で命を落とす」という最悪の事態には至らなくとも、飲食業であれ観光産業であれどんな職業であれ、まじめに働き自分や家族の生活を守っている人々にとって、働くことは生きること。仕事が生きがいの人にとって、仕事ができない辛さは、もうこりごりだろう。その点、国や自治体が補償をすればよいと簡単に言う者もいるが、金の問題ではない。その金は税金であって湯水のごとく湧いてくるものでもない。必要な補償や補助はすべきだろうが、金が絡むと公平な線引きが難しい。仮に、一時的に経済を止めるとした場合、そんな状況の中で自分や家族の暮らしや健康を守ってくれる人々へのねぎらいの思いはあるのだろうか。メディア出演者等のポジショントークなのかもしれないが、経済困窮とは無縁でも感染症は自分もなる可能性があるから、自分だけは守られたいという心理が透けて見えることもある。

 メディアの多くは、相変わらず数字ばかりを報道している。意味不明のラインを超えたとか、何日連続とか・・・。数字には足し算もあれば引き算もあるだろうし、他の指標もあるのだから、それらを公平にバランスよく報道すべき、不安を煽り過ぎと、以前から指摘されているのに。自らに対して指摘された事には思考停止で、他人のあらを探しては指摘しているメディアが少なくないように思うのは私だけか・・・。

 世の中、白か黒か、是か非か、二者択一で解決できる問題など少ない。だから、できるかぎり知恵を絞り手を差し延べ合うことが大切になってくると思う。そのためには、バランス感覚が必要ではないかと思う。バランス感覚は、勿論個人差あるが、自分以外の他者の意見や状況に対する想像力と、それらを否定せずに受け入れる寛容さから生まれてくるのではないか。必ずしも「中立」ではなくても、自分の軸足の置き所を考えながら、自分の傾きや偏りを意識する。そんなことを考えながら自分の軸足を見直してみたら、揺れることはあってもブレてはいないと思えた。また、それは自分が日々の仕事を通じていろいろな人と関わり、支えられているからと感じた。

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