万葉集ブログ・1 まんえふしふ 巻一~巻八

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0176 舎人

2006-06-25 | 巻二 挽歌
天地与 共将終登 念乍 奉仕之 情違奴

天地と ともに終へむと 思ひつつ 仕へまつりし 心違(たが)ひぬ


「(草壁皇子さまのために)天地の果てまで、ともにご一緒しようと思ってお仕えしてまいりました。だのに、(皇子さまのご逝去により、希望が果たせなくなり)、私の思いとは違う方向になってしまいました」

0175 舎人

2006-06-24 | 巻二 挽歌
夢尓谷 不見在之物乎 欝悒 宮出毛為鹿 佐日之隈廻乎

夢にだに 見ずありしものを おほほしく 宮出もするか さ桧(ひ)の隈廻(くまみ)を


(草壁皇子の逝去を)夢にさえ思わなかった。(私の)心は晴れずまま、宮殿に向かう。桧の隅(ひのくま=地名)の曲がり道を(通勤する)」

●宮出:宮中に出入り、出仕(役所などに勤務)をすること

0174 舎人

2006-06-23 | 巻二 挽歌
外尓見之 檀乃岡毛 君座者 常都御門跡 侍宿為鴨

外に見し 真弓の岡も 君座せば 常つ御門と 侍宿するかも


「かつては第三者的に見ていた、真弓の丘でした。今では草壁皇子さまが安置されています。私めは『永遠の御殿』として、(御殿に)宿直しています」

0173 舎人

2006-06-22 | 巻二 挽歌
高光 吾日皇子乃 伊座世者 嶋御門者 不荒有益乎

高照らす 我が日の御子の いましせば 島の御門は 荒れずあらましを


「“高照らす”我が草壁皇子が、ご存命であるならば、島の宮殿は、荒れずにすんだものを」

0172 舎人

2006-06-21 | 巻二 挽歌
嶋宮 上池有 放鳥 荒備勿行 君不座十方

嶋の宮 上の池なる 放ち鳥 荒びな行きそ 君座さずとも


「島の宮の、上の池にて、放たれし水鳥よ。荒んだままで飛んでいくな。草壁皇子尊が(この世に)おられなくとも」