白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

糸水銀の針の雨

2006-02-22 | 純粋創作

糸水銀の針の雨 降りしきる

糸水銀の針の雨 降りしきる





大宇宙の銅盤へ

糸水銀の針の雨 降りしきる





捲れあがる天蓋の傘へ

緋色の羅針が 剥がれ落ちる





糸水銀の針の雨 降りしきる

墜落するアンドロメダへ





碧玉の十字架上から

花火するペルセウスへ














あの忌まわしき 破裂した朝

結界の化粧を

破るように 落下する

大星雲の波濤 猛々しき

黄金の巌の褥に

焔立つ

アンドロメダ










薄墨の花の桜色を

薄く刷けて 真珠のように

細やかに湿る

皮膚へ









舞扇 絹のような殻を

柔らかく弾ませて

今に孵化するほど

膨らんだ卵のように

なだらかな稜線を描き

盛り上がる

乳房へ









墜落する火の球

銀河の貝殻から

螺鈿を絞るように

花火されて

瑠璃色の鍵を奏でるように

花火されて









蒸発する水晶の壁を

掠めるように

落下するアンドロメダの

その受難した黒髪は

粉硝子の雲の淵てに

燃え尽きてなお凛として

白濁した虹を吊った!
















空煉浄土涅槃成就

空煉浄土涅槃成就

断裂した睡蓮

倒れこむ螺旋の帆柱

全人類死滅の後

座礁した精液は

黒薔薇の海へと陥落して

黄金の久遠の底

空煉浄土涅槃成就

難破して

竜骨の影へ嫁ぐ








空煉浄土涅槃成就

神の化石が

人類の煮凝りをついばみ

死滅した夢を焚いて

次元の溶鉱炉から

沸騰して血みどろの月が昇る

水盤の 流れ淀む

波紋のなかの

薔薇と風車の

影絵として










糸水銀の針の雨 降りしきる

鏡のなかの

光の底の

人類として






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