京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

日本版・マザーテレサ

2024年05月05日 | 日々の暮らしの中で
昨日の大阪行きは案外な緊張をもたらしていたのだなあと、朝からの心身のけだるさに思わずにはいられなかった。
街の風景も人の流れも、京都が観光客であふれているとはいえどこか違う。娘に話すと「ほほー!」驚かれるやら感心されるやら。
若い頃は〈さびしくなったらたくさんの人にまぎれこむ〉ことで気を晴らしていたものだったのに、今や人混みは極力避けたい。

なんとなく過ごす中で、四天王寺の石鳥居を建立したという忍性ってどんな僧なのかが気になっていた。

 

鎌倉時代に、さびれていた奈良の西大寺の復興に取りかかった叡尊の弟子になる。
戒の思想が脱落した日本の仏教にあって、釈迦の定めた戒律を厳しく守る、戒こそ仏教の魂だと叫んで布教を志したようだ。

行基にその姿を見ることができるが、橋や港湾の整備、寺社の修造などをし、非人やハンセン病患者救済活動に努めたという。
忍性は叡尊よりもっと下層の民の生まれであることからすれば、貧窮、孤独、苦悩は我が事だったのだ。87歳という天寿を全うし、本拠とした鎌倉の極楽寺で人生を終えた。  
  (こんなに簡単にまとめていいものだろうか)

西山厚氏が『語りだす奈良』の中で「忍性菩薩」と題して書いておられた。
 ―文殊菩薩は知恵のほとけであるばかりではなく、貧窮・苦悩・孤独の衆生となって現れるという信仰があった。

太子信仰の寺に足を踏み入れて、忍性を知り、人のために働くことは決してたいそうなことではなく、身近に努められることがあるのを思う昼下がりだった。疲れたけれど行ってみてよかった、と思いたい。




 

今日は「子どもの日」
…趣旨は異なるけれど、子供(息子)から土産の品が送られてきた。無事に3週間、スイスでの仕事を終えて帰国した。気持ちのどこかで待っていた大好きなこのチョコレート。数粒、嬉しく収めた。
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