水仙のこぼれ話

         風に揺れる水仙の花から時折余談が零れ落ちてくる

神の旅

2014-11-04 | 季語の思い


     雲ひとつ呼びとめ韋駄天神の旅   田中水桜

俳人協会の俳句カレンダー11月の冒頭の句がこの句。
旧暦10月は全国の神様が出雲に集まる月。
神様たちは雲に乗って出雲へ行かれるのだろうか。

     峰の神旅立ちたまふ雲ならむ   水原秋櫻子

     神集ふ乗り捨てましと雲泊る   高田蝶衣

従って、出雲では乗り捨てられた雲が見受けられるのであろう。
出雲までの神の道中は順調なのだろうか。

     出雲路や荒ぶる神の草枕   松瀬青々

神々は出雲で「縁結び」についての会議を開くといわれているが、その状況や如何。

     神集ひ神は出雲の地酒召す   中原冴女

出雲以外の国では神の留守。神の留守の間は嫁取りや歌舞音曲は禁じられているそうだが、さてどうなっているのだろうか。

     なら山の神の御留守に鹿の恋   一茶

     旅立ちて神はおはさぬ神馬かな   富安風生

     神の留守縁談一つ握りをり   文挾夫佐恵


出雲の会議が終わると神々は各国へお帰りになり、各地ではご帰還の歓迎の儀が執り行われる。

     巫女の髪水引を懸け神迎   安西閑山寺

神の旅の句を作ろうとすれば、神様は人の目には見えないので、想像を逞しくして神の世界を垣間見なければならない。

     快晴といへど雲あり神送り   仙游
   


最新の画像もっと見る