水仙のこぼれ話

         風に揺れる水仙の花から時折余談が零れ落ちてくる

俳句界の高齢化

2017-05-08 | 頭の空回り


2017年版の「俳壇年鑑」の宮坂静生氏の巻頭言に、戦後70余年の俳句界を省み、昭和40年代までを「俳句の社会化」と概観したうえで、それ以降について次のように書かれている。
「昭和50年代以降の高齢化社会を迎え、俳句愛好者も高齢化するとともに、伝統も革新もなく、縛られない、ただ今を好きに楽しみたいという老いの意識が戦後という社会意識を希薄にする。(中略)俳句から規範意識が希薄になれば、同時に結社意識も師弟関係も薄れ、気が合う者同士のお楽しみ俳句が蔓延するのは必然である。俳句はいきおい自在さへの模索が始まる。」

また、同誌の「鼎談:俳壇展望」では、坂口昌弘氏が「各協会の60歳以下の会員は数パーセントです。」「会員の平均年齢が75,6歳でしょう。ということは、十年後は85,6歳になります。寿命を超えるということで統計的には半数になります。そして、二十年後に結社も協会員もほとんどなくなる。」

高齢化や人口減少傾向は俳句の世界にもくっきりと影響を与えているということでしょう。師弟関係にしっかり縛られる結社システム、結社システムに乗っかっている協会システムは今の時代に合わなくなってきているのでしょう。時代に合った新しいシステムに俳句界は脱皮していく必要があるのでしょうね。とは言いつつ私は旧来のシステムに浸かっています。




亡き人の名ばかり浮かぶ藤の花

突然家族を喪った場合

2017-02-03 | 頭の空回り
『突然、家族を喪った場合、まず人を襲うのは悲しみよりも怒りに似た感情になる。数多くの現場を見てきて、今の土門は、それは当たり前だと思っている。理不尽過ぎて、頭で処理できないのだ。「なぜだ」という思いばかりが駆けめぐる。そして、その思いは第三者に向けられる。自分一人では抱えきれないからだ。』(乃南アサ著『自白 刑事・土門功太朗』)
これは刑事事件の場合だけではないのかもしれない。

ずれ

2016-03-12 | 頭の空回り


「ずれ」はいろんなものを生み出すようだ。
最悪・最大なものは地震でしょう。海側プレートの潜り込みに引きずられた陸地側プレートのずれの蓄積が爆発してプレート型地震が発生するという。
それによってプレート内にできるずれによってプレート内地震も生じる。かつての地震によって生じた地層のずれである活断層に生じる地震もある。
話の筋のずれによって笑いが生じることもある。
転調、移調や不協和音などの音のずれによって音楽に深みを生み出すこともある。
俳句にずれをつくると詩が生まれることもあると聞く。
予定調和を崩すということか。


好きなもの目次あとがき鰯雲   ふけとしこ

月を包みし風呂敷に耳ふたつ   水内慶太

長き夜の一楽二萩和三盆     仙 游

扇子のけむり

2015-07-20 | 頭の空回り
(風景写真について)「作品はあくまでも作者からの発言です。
ただ色が美しい、構成が目に心地よい、というだけでは
物足りないと感じてもらいたいものです。ここが風景写真の難しい点です。
作者の肉声がなかなか聞こえてこない映像になりがちなのです。
声が聞こえたとしても、ほとんどの場合、嘆声です。
美しいなあ、というため息のような一言です。
もちろん美しいことはすばらしいことですが、
その美しさがかなり類型的である点も大きな問題です。
簡単にため息をついてもらっては、というすこし意地悪な思いが
こちらにはあったりします。(中略)
風景撮影の場合にも、シャッターチャンスという考えを
できるだけ取り入れるということです。子どもの写真とか、祭りの写真では、
どの瞬間を選択するか、当然のように作者は頭を捻り、行動していくのですが、
静かな風景を前にしても、この瞬間しかない、というタイミングを意識して
撮影していくのはどうだろうか(中略)。
風のそよぎ、霧の流れ、水の波紋、自然は移ろいを見せています。
そのようなことを頭の隅に入れて自然界にカメラを向けていくと、
類型的な映像から少しは脱却できるかもしれない(中略)。」
《秋山亮二著『扇子のケムリ』法曹会発行》より。

プロの写真家の文章ですが、写生俳句にも全く当てはまるような気がします。

一十百千

2015-02-18 | 頭の空回り



高齢男性の集りで「一十百千」という話が出た。
曰く、一日一回大声で笑う、一日十人と話す、一日百字書く、一日千字読む。

その座での皆さんの反応は、一回は笑うだろう、十人と話すのはなかなか難しい、
パソコンやメールなどを使うので字を書くことは殆どないだろう、
新聞を読めば千字はいくだろう、ということだった。
字を書くことにパソコンも含めるとこれもクリアするだろう。

問題は一日十人と話をするかということではないか。
これをクリアするには、毎日、グループやサークルの活動、デイサービスなどに参加することだろうか。

テレビと話しているという人を見かけたことがあったが、せめてルンバと話したらどうだろうか。


女子大へ早足続く春の雨