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水仙のこぼれ話

         風に揺れる水仙の花から時折余談が零れ落ちてくる

「禅ー心をかたちにー」展

2016-10-22 | 展覧会


臨済宗の宗祖臨済禅師1150年、臨済宗中興の祖白隠禅師250年の遠諱記念として、禅宗の臨済宗、黄檗宗の15派の合同の記念事業としての展覧会。京都国立博物館に続いて東京国立博物館で開催されているので、行ってみた。
混雑してるかと思いきや行列もなく快適に見ることができた。
臨済宗の歴史や15派の各本山の設立の経緯、それにかかわる人々の紹介、肖像画や坐像など、臨済宗を支援した武将の肖像画、仏像・仏画、障壁画、茶道具、禅画など、国宝19件、重要文化財102件、など240点が展示されている。
臨済宗の本山には、建仁寺、相国寺、妙心寺、大徳寺、南禅寺、東福寺、天竜寺など、京都だけでもそうそうたる寺院があり、それらが所有する美術品はとんでもなくたくさんあると思うが、その一部が一堂に集められている。
禅画については、白隠筆は9点、仙厓筆は3点が展示されている。見るものが多くて2時間はかかった。良く知らないお坊さんの肖像画がたくさん展示されており、やや辟易ぎみになるが、これは禅宗では、師は一人前とみとめた弟子に悟りの証拠として自らの肖像画を与えるのが通例になっているようで、高僧の肖像画が多く描かれたからだろう。

大仙厓展

2016-10-19 | 展覧会


出光美術館で開かれている「大仙厓展」を見に行った。仙厓は、江戸中期に美濃の小作の子として生まれ、11歳で出家、32歳で諸国行脚の旅に出、40歳で博多の聖福寺の住持となり、62歳で隠居。87歳で住持に復帰し88歳で没した。
隠居中、得意の禅画を通して庶民に禅の教えをひろめた。仙厓のユーモラスで楽しい禅画は当時から人々の人気を博した。仙厓の人柄が滲み出ている禅画は心魅かれる。
脱藩後に諸国を行脚しながら自由奔放な画を描いた浦上玉堂とどこか通じるものを感じる。修行中の仙厓が玉堂の息子の春琴に会ったとの説もあるようだ。
隠居中の身としては、仙厓にも玉堂にも教えられることが多い。


「双鶴画賛」:「鶴は千年、亀は万年、我は天年」とあり、天の思し召しの年まで生きるとしている。


「狗子画賛」:繋がれた杭は抜けているのに犬は逃げ出さない、人も何かにとらわれて自由に動こうとはしない、という意味のようだ。


「円相図」:❍は仙厓にはどうも悟りをあらわすようで、自分の悟りは悟ったら次の悟りに向かって行くのでもう価値はない、せめて人の御茶菓子になれば有難いという意味のようだ。


❍△□:□は悟り以前、△は悟りに近い、❍は悟り、という説明文を読んだと思うが違っているかもしれない。


「堪忍」:気にそまない風が吹いてきても柳は我慢して風に吹かれているという意味のようだ。

鈴木其一展

2016-10-03 | 展覧会


昨日の「日曜美術館」を見て、「富士千鳥図屏風」が3日まで展示とのことだったので、今日慌てて東京ミッドタウンへ見に行った。TVで聞いたことを確認しながら見て歩いただけだが、鮮やかな色遣いと緻密な筆遣いに感心する。鳥や朝顔など同じものをたくさん描いているものは一つ一つ微妙に違って描いており、絵に奥行きを作っている。
                  

                   

志村ふくみ展

2016-10-03 | 展覧会


世田谷美術館へ「志村ふくみ」展を見に行った。
志村ふくみは、紬織の人間国宝で文化勲章受章者。草木からの自然染料で染められた糸によって織り上げられた作品は心に沁み込んでくるように感じる。私は琵琶湖湖畔に5年程勤務していて琵琶湖の景色はとても気に入っている。志村氏は近江八幡の出身の人で、琵琶湖で得られる光や景色を基にした作品には大いに共感してしまう。

「古代の人々は強い木霊の宿る草木を薬草として用い、その薬草で染めた衣服をまとって、悪霊から身を守った。まず火に誠を尽し、よい土、よい金気、素直な水をもって、命ある美しい色を染めた。すなわち、よい染色は、木、火、土、金、水の五行の内にあり、いずれも天地の根源より色の命をいただいたというわけである。」(志村ふくみ著「色を奏でる」ちくま文庫)