KYOKUKENZO'S WORKSHOP 2024

「道」は自ら切り開くもの。
他人の後追いは「道」にあらず。

私が今あること。

2018年04月09日 | 歳時記
昔のこと。

ひとつ思い出すとつられて
いろいろなことが思い出される。

いまから62年前。
昭和30年。私が生まれた年。

私の家は商売を始めたばかり。
二人の子供を抱えた生活は
貧しくはなかったけれど
それほど裕福ではなかった。

そのころ札幌にP飯店という
大きな中華料理店があり
とても羽振りが良かった。

そのオーナーと私の両親は
商売のこともあって
仲良くさせていただいていた。

そこの奥さまが
母の妊娠を知ると
我が家へやって来て

曲さんとこは男の子が二人。
今度生まれてくる子が
男の子だったらもういらないしょ。
私んとこにちょうだい。


という話をしたそうだ。
母も本気か冗談か「いいわよ」と
返事をしていたらしい。

あそこなら裕福だから
生まれてくる子も幸せになれる。
そう思ったのかもしれない。

さて。

母に陣痛が始まると
その奥さまはカゴを持って
私の家へ来てその時を待つ。

そして出産。

あ。チンチン!

さぁっ!と奥さまは喜んだ。

ところが母は
私の顔を見ると可愛くて

やっぱりあげません。
ゴメンナサイ。帰ってください。


と言ったそうだ。

「約束が違う。」

奥さまも一度は詰め寄ったが
それ以上は言えず
諦めて帰って行ったという。

あの時。

母の気が弱く
断りきれなかったとしたら
私はもらわれていったはず。

今とは全く別の人生を
送っていたことになっただろう。
妻や友だちとの出会いもない。

その後P飯店は衰退したと聞いた。
私はどうなってしまっただろう。

でも逆にその大きな苦労が私を
立派な人間にしたかもしれない。

きれいな奥さんをもらい
もっと多くの友だちに
恵まれたかもしれない。

今のように波乱含みでなく
穏やかな人生を
歩んできたかもしれない。

紙一重の運命。
人の一生。人生の機微。

そんなことを考えると
気の遠くなる思いだが

一刻一刻。
右か左か選択の先にある今。

今あるをベストとすることが
正しい答えなのだと私は思う。

友だちや友だちの友だち。
辿って行けば私はゼッタイ
世界中の人とつながっている。

そう信じている。

私が今あること。

両親や家族はじめ
世界中すべての人に感謝したい。kyokukenzo

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