やさしい芸術論

冬が来たなら、春はそう遠くない

即興詩人のような生き方

2021年01月15日 | アンデルセン

デンマークの童話作家・詩人の

ハンス・クリスチャン・アンデルセンは良い作品をたくさん書きました。

 

アンデルセンは「みにくいアヒルの子」や「マッチ売りの少女」などの

有名な童話を書いた事で有名です。

 

アンデルセンの人生は、

アンデルセンが出した自伝の最初の二行に集約されています。

 

「私の生涯は波乱に富んだ幸福な一生であった。

 私の人生はまるで一編の美しいおとぎ話のようだった。」

 

アンデルセンは貧困な家庭に生まれ、

様々な困難や苦労を乗り越えて、

童話作家として成功を収めます。

 

その童話作家として認知される前の、

いわば出世作のような作品が長編小説の「即興詩人」です。

 

今年は、即興詩人のような生き方をしていきたいと思います。

 

 

 

 

「即興詩人」はアンデルセンの自伝的作品で、

貧困や困難を、自らの即興的な詩を作る才能により切り抜け、

その芸術によって人を豊かにし、旅をしながら色々な人と出会いながら、

次第に有名になっていきます。

 

「即興詩人」では主人公が詩人としての才能を発揮し、

その自作の詩を自ら歌って旅をしますが、

主人公は途中で”詩人”の意味が分かりました。

 

「私は詩人が何であるかを悟った。

 見たもの、感じたものを美しい歌にできる人の事である。

 本当に素晴らしいことに違いない。」

 

つまり、人生で色々な人に出会い、色々な場所に行き、

色々な出来事が起き、色々な感情に変化する事を、

詩に書いて、それを美しい歌にして歌える人です。

 

つまり、何でもない一日や、何気ない人との会話、

普通の生活でさえも、その美的感性により、

芸術に昇華させて、人のこころ豊かにします。

 

そして、即興詩人ということは、

即興的に、何でもない日常の場面を、

美しい詩にして、歌にして、

芸術にする事が出来るという事です。

 

ぼくはこの考え方、生き方がとても素敵だと思い、

即興的に詩は書けず、歌は歌えずとも、

日常の何でもない生活を

なるべく美的観点から見るようにして一日一日を過ごします。

 

例えば、家族の何でもない会話でも、

過ぎてしまえば貴重なものだと思い、

自然の風景を見れば、絵画的に美しいと感じるように、

何でもないと思えば、何でもない会話であり、風景も、

芸術的思考に転換する事が出来れば、

それは大切な、幸せな瞬間となると思います。

 

こういう生活が出来てこそ芸術の価値があるし、

本当の芸術家というものは、こういう利点があるのではないでしょうか。

 

少しずつですが、こころの豊かな人になれるよう

これからも芸術について考えていきます。

 

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「フランケンシュタイン」とアイデンティティ

2021年01月15日 | 文学

この世界にはあらゆる人種の人が住んでいて、

あらゆる考えを持ち、十人十色の個性を持ち、

それぞれ違った人生を歩んでいます。

 

性的マイノリティの人や、障害や、人と違う感性を持っている人、

宗教に入っている人など色々な人がいます。

 

それが人間の多様性です。

自然界でも、花や動物などが多種多様なのを見ても分かります。

 

しかし、人間は周りの人間を見て、

自分が周りと違う考えや容姿をしている事を気にします。

ひどい時は、いじめの対象になったり、差別をされたり、

社会から取り残されてしまうからでもあります。

 

アイデンティティとは、他と相対的に比べずに、

「自分は自分」という意識を持つ事です。

 

以前、美輪明宏さんは同性愛者である事を、

マスメディアでカミングアウトしました。

 

当時は同性愛は悪とされていて、

理解されていなかったので、周囲から猛反対にあうも、

美輪さんは毅然とこう語っています。

 

「わたしは人を殺したわけでもないし、

 ものを盗んだわけでもありません。

 人と人は変わっているのが自然なのだから隠す必要はない」

 

「フランケンシュタイン」は有名なSF小説ですが、

これを書いたのが、当時18歳の少女メアリー・シェリーでした。

 

 

フランケンシュタイン博士は、生命を生み出そうとして、

死体を集め、継ぎ合わせ、醜い怪物を生み出します。

しかし、その醜さに博士自身は恐怖を覚え、

怪物を捨ててどこかへ行ってしまいます。

 

この怪物は、2m以上の大型の男ですが、

頭が良く、言葉を覚えながら、人間と仲良くなりたいと思います。

やさしいこころを持っていたのです。

 

しかし、人に親切にしても、

そのあまりの醜さに、人間達は化け物扱いして、

逃げてしまいます。

 

自分の生みの親である、フランケンシュタイン博士さえ、

自分の事を捨てました。

人と仲良くなりたくても、親切にしても、

自分が世界でたった一人の醜い怪物である為、誰も友達になってくれません。

 

「フランケンシュタイン」に出てくる怪物は、

アイデンティティの中の最たるものの一つと言えるでしょう。

 

今の世の中でも、自分で産んだ子供を捨てたり、

虐待したり、可愛がらない親が何人もいます。

 

いくら優しいこころを持っていたとしても、

性的マイノリティや障がい者や、変わり者は見た目や偏見で軽蔑されたり、

顰蹙をかったりして、なかなか理解されません。

 

しかし、初めに書いた通り、命あるものは全て、

千差万別の個性を持っているものなのです。

 

なので、他者を理解してあげる。否定しない。

色々な考えの人と一緒に、共存していく事が、

平和で公平な社会を作る、とても重要な事だと思います。

 

誰にも理解されない、孤独な、こころやさしい怪物の事を、

やなせさんはずっと心に残っていたそうで、

アンパンマンは「フランケンシュタイン」の影響があるとおっしゃっていました。

 

やさしさは目には見えません。

人は見た目ではありません。そう信じています。

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美しい一瞬はいつまでも続く

2021年01月15日 | 邦楽

小沢健二さんはシンガーソングライターであり、

東大出身のインテリで、世界の小澤征爾を親戚に持ちます。

 

小沢健二さんが書いた名曲「さよならなんて云えないよ」の

歌詞に注目したいと思います。

 

「さよならなんて云えないよ」(歌詞抜粋)

 

青い空が輝く 太陽と海のあいだ

”オッケーよ”なんて強がりばかりの君をみているよ

サクソフォーンの響く教会通りの坂降りながら

 

美しさ Oh baby ポケットの中で魔法をかけて

心から Oh baby 優しさだけがあふれてくるね

くだらないことばっかみんな喋りあい

嫌になるほど続く教会通りの坂降りて行く

 

日なたで眠る猫が 背中丸めて並ぶよ

”オッケーよ”なんて強がりばかりをぼくも言いながら

本当は思ってる 心にいつか安らぐ時は来るか?と

 

左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる

僕は思う!この瞬間は続くと!いつまでも

 

 

この曲はマイケルジャクソンのようなイントロで始まりますが、

何といっても、人生を歌っているこの歌詞がいいです。

 

特にタモリさんもお気に入りな歌詞がこちら。

 

「左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる

 僕は思う!この瞬間は続くと!いつまでも」

 

この部分についてタモリさんは、次のような事を述べています。

 

「カーブを曲がって、光る海が見えてきて、

すごいきれいな風景だね、と普通の人は書くけれど

「この瞬間は永遠に続く」と書く事がすごい。」

 

 

ここからはぼくの解釈ですが、

例えば子供の頃の何でもない一日を

大人になっても覚えている事があります。

 

家の中で、家族と一緒に楽しく話した事とか、

旅行へ行って、楽しくて、その時の風景を覚えてる事があります。

もしくは、人生の大変な時に助けてもらった時や、

自分がいいなと感じた一瞬の場面などなど。

 

その時は一瞬で、過ぎてしまえば過去の思い出となります。

 

しかし、ふと、頭の中でその光景を思い返すと

頭の中でその時の感動が再現される訳です。

 

子供の頃の家族で楽しく食事した時などを思い返すと、

しみじみと、今でもその時に戻ったように、

その時の感動がよみがえってきます。

 

つまり、自分のこころに刻まれた美しい一瞬は、

記憶に刻まれている以上は、いつでも思い返す事が出来、

いつまでも続いている事になります。

 

ドイツの哲学者ショーペンハウアーは次の言葉を残しています。

 

「永遠は一瞬の中にある」

 

ショーペンハウアーも小沢健二さんのような考えを

持っていたのかも知れません。

 

「左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる

 僕は思う!この瞬間は続くと!いつまでも」

 

この歌詞を書いた小沢さんは、

光る海が見えた瞬間の、その美しい風景や、

風景を見れた喜びがこころに刻まれて

永遠に続いていくんだ!と思われたのかもしれません。

 

とてもロマン的で、子供のような純粋さが

とても人間らしいなと感じました。

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