やさしい芸術論

冬が来たなら、春はそう遠くない

映画「戦場のピアニスト」を見終わって…

2024年03月02日 | 映画

先日、改めて映画「戦場のピアニスト」を見ました。

舞台は第二次世界大戦のポーランド、

ナチスドイツ軍から迫害を受ける、ユダヤ人達の姿を描いています。

 

 

戦争映画の為ショッキングなシーンもありますが、

主人公のユダヤ人ピアニスト、シュピルマンは地獄のような状況をなんとか生き延びます。

シュピルマンの中には常にショパンの音楽があり、

音楽を支えとしながら辛い状況を過ごしていきます。

 

劇中に主人公が、レストランでピアノを弾くシーンがあるのですが、

そのピアノ曲は誰が作曲したのか、何という曲なのか不明ですが

とにかくショパンのような甘美なメロディーで美しい曲なのです。

 

その曲が気に入ったので、耳コピして弾いてみました。

 

クラシック・ア・ラ・モード

クラシック・ア・ラ・モード

人生はよろこばせごっこ♪ピアノの音色でこころが少しでも癒されますように😌すべては秋の蜃気楼……🍂束の間の、歓喜悦楽・芸術タイムを🎶🎵

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戦争という悲劇の中でも、

不思議とショパンの音楽は輝き続けます。

 

喜びも悲しみの両方を含んだメロディーだからでしょうか。

音楽の素晴らしさを改めて感じる事が出来ました。

 

 

 

 

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人生はたからもの

2021年01月16日 | 映画

イタリア人のロベルト・ベニーニ監督が脚本・主演されている

映画「ライフ・イズ・ビューティフル」は

第51回カンヌ国際映画祭で「審査員グランプリ」を受賞されました。

 

 

物語は第二次世界大戦中で、ユダヤ人迫害が描かれています。

ユダヤ人の主人公は、捕まり、強制収容所へ連行されます。

 

家族3人が戦争の悲劇による大混乱の中、

主人公は冗談を言い、明るく振舞って、

息子を悲しませないよう努めます

 

そんな時、強制収容所内で偶然、

オッフェンバックの「ホフマンの舟歌」のレコードを見つけ、

外に向けて、大音量で流します。

 

その曲は、戦争が起こる前の主人公と妻との思い出の曲で、

まだ戦争の悲劇の無い、美しい、恋の夜のあの日が、

曲とともに沁みついていて、

まるで昨日のように思い出されるのです。

 

戦争という悲しみと、美しい恋の喜びが、

見事なバランス、調和を保って、

二度と戻る事の出来ないあの日が

よりいっそう美化されて、人生の儚さを感じます。

 

「ホフマンの舟歌」

 

美しい夜 恋の夜

陶酔するぼくたちに笑いかけておくれ

 

昼よりも甘美な夜 美しい恋の夜

時は去り 二度と戻らない

 

ぼくたちの楽しかった会話を連れて

時はこの至福の場を去って

二度と戻ってこない

 

美しい恋の夜よ

陶酔するぼくたちに笑いかけておくれ

 

 

最後、主人公はドイツ兵に見つかり、銃を突き付けられ連行される所を、

偶然息子に見られてしまいます。

 

主人公は自分が殺される運命を悟りながら、

息子が悲しまないように、コメディのようなふざけた歩き方をして、

息子に「これは全て冗談なんだよ。夢なんだよ。」

と言わんばかりの笑顔を見せます。

その後、主人公は息子の見えないところで、銃で撃たれて死んでしまいました。

 

人生とは過ぎてしまえば、あっというものかも知れませんが、

何でもない一日一日が実はとても大切な

かけがえのない一日なのです。

 

 

この映画のパンフレットに、

この映画のキャッチコピーがこう書いてありました。

 

「人生は たからもの」

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頭の中にある理想の家族愛

2021年01月16日 | 映画

ぼくが好きな映画監督ガス・ヴァン・サントさんが監督・脚本された

映画「マイプライベートアイダホ」。

 

この映画に、リバー・フェニックスとキアヌ・リーヴスという

名俳優二人が出演しており、映画の内容が同性愛について触れていたりして、

そちらの部分に注目が集まり、なかなか正当な評価をされていない気がします。

 

物語は主人公のリバー・フェニックス演じるマイクが

ナルコレプシー(発作的睡眠障害)である事に触れる所から始まります。

 

 

この映画は3つのパートに分ける事が出来ます。

 

1、オープニング(約5分)

2、本編(約90分)

3、エンディング(約5分)

 

そして最も大事なのは、1、のオープニングです。

ぼくが観た全ての映画の中で、一番良かったオープニングです。

 

オープニングで、主人公マイクは果てしなく続く道の真ん中に一人で立っています。

そして、ナルコレプシーの症状によって、突然深い眠りにつきます。

 

そして、夢の世界に行き、母親のひざに頭を置いて寝ています。

母親は息子マイクにこう言葉をかけてあげます。

 

「大丈夫。

 何にも心配いらないわ。

 すべてうまくいくから。

 分かってるわ。もう大丈夫。

 すまないなんて思わなくていいのよ。

 分かってるわ。」

 

 

主人公のマイクは、ナルコレプシーであり、孤児であり、

買春によって生計をたて、ドラッグを吸って気持ちを落ち着けます。

実の兄と母親との子供が主人公自身であったのです。

そして、どこにもいない母親を世界中探してまわります。

 

現代社会の闇が生み落としたような、悲劇の青年マイク。

刹那的に一日を過ごし、鬱々としながらも、

こころの中にはいつも母親の存在がありました。

 

オープニングのシーンのように

頭の中の理想の母親は、マイクにやさしい言葉をかけてくれます。

マイクのこころの支えは、現実社会には存在していませんでしたので、

存在していない理想の母親をずっと求め続けます。

 

ジョン・レノンや、フレディ・マーキュリーなども同様に

こころの中で母親を求め、ジョンレノンは「マザー」という曲で、

フレディは「ボヘミアンラプソディー」で母親に対する思いを歌っています。

 

世知辛いこの世の中において、

悲しみや苦しみがあふれ、何が正しいのか分からない世界において、

本能的に、希望の光のような「家族愛」を求めるのです。

 

この映画では、主人公の可哀想なシーンがたくさん描かれていますが、

だからこそ、家族愛、母親の愛が相対的にとても大事なものに映ります。

 

映画の最後は、この言葉で締めくくられます。

 

「Have a nice day」

「良い一日を」

 

 

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