やさしい芸術論

冬が来たなら、春はそう遠くない

やなせたかしさん特集 その8

2022年01月30日 | やなせたかし

やなせさんの人生についての詩を2つご紹介致します。

 

 

人生は山あり谷あり、

いい事もあれば悪い時もある。

 

隣の芝生は青く見えて、

自分自身は相変わらず井の中の蛙で、

この先の見えないご時世を五里霧中に生きていく。

 

確かな事なんてない。

答えなんてない。

信じるものなんかない。

 

ただ、前を向いて、

自分が正しいと思う事をやっていくのさ。

やなせさんの言葉があなたに届くように。

 

まだほんのちいさな子どもだった頃
大きなガラス瓶いっぱいの
コンペイトウをもらった
毎日すこしずつ食べたけれど
瓶の中の
コンペイトウは
昨日も今日もおんなじように
ガラス瓶の中に
ぎっしりつまっていた
少しもへっていないようにみえた
でもそのうちに
はじめは無限におもえたコンペイトウは
ある日急にどんどんへりはじめて
残り少なくなってしまった
ぼくの人生は
あとどのくらい残っているのだろう
そう思う時がある
たっぷりあるような気もするし
ほんの少しのような気もする
ところで あなたは……。

 

今日いちにち生きた
よろこびながら生きた
かなしみながら生きた
くるしみながら生きた
三つのうちぼくはどれだったのだろう
それとも何もしなかった
何も感じなかったのだろうか
何もせずよろこびもせずかなしみもせずに
生きられるだろうか
それで生きているっていえるだろうか
明日も生きたい
明日も何かにめぐりあいたい
たとえ悲しみがやってきたとしても
決して眼をそらさない
きっちりとたしかめたい
ところで あなたは……。

 

↓今日の一曲↓

 

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やなせたかしさん特集 その7

2022年01月09日 | やなせたかし

今も昔も人の世は世知辛いものです。

 

夏目漱石は小説「草枕」の中で、

人の世は住みにくいと語っています。

 

やなせたかしさんも社会の理不尽な部分に疑問を呈しながらも、

それでも一歩前に進む事を伝えています。

 

 

やなせさんの詩を二つ紹介します。

 

【人生のレース】

小学一年生のとき
鉢巻きして
スタートラインに並んだ
ピストルの音で
夢中でかけた

人生のレースに参加してみると
みんな
ずるいことばかりしている
だれかピストルをうってください
並んでください
私はフェアにたたかいたい

 

【ところであなたは…より】

なぜ ほくはここにいて
なぜ ぼくは生きていて
なぜ ぼくはこんなことをしているのか
なぜ こんなにもひたむきに
仕事を続けているのだろう?
なぜだかぼくはわからない
しかし今の仕事をやめるとして
ぼくは何をすればいいのか
そいつもぼくにはわからない
本当に自分のしていることがよくわかり
目的と生き甲斐をちゃんともって
みんな生きているのだろうか
ぼくは時々不安になる
回転する地球のある地域では
火薬の焦げる匂いがする土に血が流れ
ある地域では子供が飢えて泣き叫んでいる
そしてそれを解説することを職業にして
家族をやしなっている人もいる
ところで あなたは……。

↓今日の一曲(自作曲)↓

 

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