やさしい芸術論

冬が来たなら、春はそう遠くない

芸術の基本理念

2021年01月08日 | 芸術について

芸術とは「美を表現すること」です。

 

芸術には、絵画、音楽、文学など色々な分野がありますが、

全ての芸術には共通の考え方、捉え方があります。

 

 

芸術には基本理念と、三大要素から成り立っています。

 

ここでは基本理念について書きます。

 

基本理念とは、

「芸術はこころで創造し、こころで表現し、こころで感じる。」事です。

 

音楽でいえば、こころで作曲し、こころで演奏し、聴衆はこころで音楽を聴きます。

 

ロシアの作曲家、ラフマニノフさんが同じ意味合いの言葉を残しています。

 

「音楽は心で生まれ、心に届かなければ意味がない。」

 

例えばある人が何かを表現したとします。

そうすると必ずその表現者の人柄、性格、つまり「こころ」が現れます。

 

例えば文字を書いた場合、その人のこころが文字として表される事になります。

とても疲れている時、嬉しい時など、

同じ人でも時と場合によって微妙に文字が変わったり、

練習を重ねたり、大人になるにつれて、自然に文字も変化していきます。

 

このように「文字を書く」という表現方法ひとつをとっても、

書いている人のこころが現れている事が分かります。

 

書道にしても、絵画にしても、詩にしても、音楽にしても、

全ての芸術は、この表現者の「こころ」が受け手の「こころ」に

触れることによって、感動したり、美しいと感じたりします。

 

つまり、目に見えない表現者の「こころ」を

芸術を通して味わっているともいえます。

 

そのため芸術は精神至上主義的な見方をしますが、

その精神的な(目に見えない部分)が備わっているものであれば、

目に見える外見、形、様相も比例して美しくなっていくのが本当です。

 

いかに立派な事を言っている人でも、文字を見た時に、

汚く、不快な文字だとしたらどこかに間違った点があるのかもしれません。

それは言葉遣い、姿勢、人に対する態度等も同様です。

 

人格者、こころがきれいな人、また、美を意識している人は

やはりどこの部分をみてもある程度は美的に表れています。

 

芸術はこころを重視するが故に、芸術にあまり親しんでいない人には

何が良いのか悪いのか分かりづらくもあります。

 

この世には十人十色の個性を持った人間が生きている以上、

千差万別の芸術、文化が存在し、解釈や受け取りかたも人それぞれです。

 

しかし、色々な芸術を見たり、聴いたり、感じたりしている内に

段々と良いものと悪いものが分かってきます。

 

何百年も残り続けている作品で一流と呼ばれている芸術は

色褪せず、見る人、聴く人のこころを豊かにしています。

 

音楽でいえば、ショパン、バッハ、モーツァルトなど…

日本画家でいえば、尾形光琳、円山応挙、伊藤若冲、酒井抱一など…

 

日本画家の横山大観さんは芸術について次のような言葉を残しました。

 

「良い絵とは、ああっと言うだけで、ものが言えなくなるような絵だ。

どうだこうだと言えるような絵、言いたくなるような絵は大した絵ではない。」

 

つまり、良い芸術作品は、見た瞬間、聴いた瞬間に良い!と反応するものです。

 

例えば富士山の絶景を見たら、一瞬で美しい、素晴らしい、きれい、と感じるでしょう。

富士山の絶景を見て、う~ん、ここはもう少し雲があって、もう少し色がこうで

光がこうで…という思考にはならないかと思います。(人によってはなるかもしれませんが。)

 

一瞬で感動しないということは、一流の芸術ではないか、

見た人が個性的(悪い意味ではないです。)な場合等ありますが、

基本は一瞬でわかります。

 

とにかく音楽でも最初の一音を聴いて、その瞬間に良いと分かったり、

料理でも口に入れた一瞬で美味しいと感じます。

美男美女を見た時もほとんど一瞬で分かるものではないでしょうか。

 

美しいということ、感動することは理屈ではない。「こころ」の作用である

ことがこの事で分かります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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