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ルール

2005年09月17日 13時09分14秒 | ブックレビュー
タイトル : ルール   著 : 古処 誠二

第二次世界大戦、終戦間近の日本軍、フィリピンのルソン島に出された
前線の兵士達の姿を描く。
その前の戦闘で部下の全てを失った鳴神中尉は、武器弾薬の輸送という
また新たな任務につく。
食料は少なく、隊員は老兵だったりまだ少年に近いような者だったり。
ゲリラの妨害はあり、途中の集落も荒れ果て人はいない。
そんな中、隊とはぐれてしまった鳴神らが辿り着く行き先は・・・

なんといいましょうか、戦争ものというのはどうしてもその凄惨さ、
酷さという描写を免れないものでしょう。それはこの作品も終わりで、
そこらに散見される日本兵達の亡骸、腐乱死体と蛆。
雑草、カタツムリ、カナブン、そして自分の血を吸った蛭。
そんなもので飢えを満たす。
だけれども、読んでいて気分が悪くなったり、吐き気をもよおしたり、
というのは無かった。その辺は、作者も考えて描写したのではないだろうか。

とにかく、最前線に放り込まれた末端の兵士達がいかな辛酸を
味わってきたか、戦争を知らない身でも分かる。
もちろん、その人たちの本当の辛さ、文字通りの地獄を見てきた気持ちなど
理解できるなどおこがましくてとてもではないが言えないけれど。

そんな状況に陥りつつも、尊厳を失わないよう、人としてあろうとする姿に
戦慄ともいえる感動を感じてしまう。
この人の作品、面白いですよ!

総評          : 8点
エンターテインメント : 8点

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