雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

高ISO感度による露光時間短縮の功罪

2015年02月15日 | 画像処理のはなし
資金を投入して純正のパーツで鏡筒周りを固めたのですが、これでガイド精度が向上したのか?
冬型の気圧配置でずっと星が見えないため検証ができません。
これは長焦点のVC200L反射鏡筒を活用するために避けて通れない問題だったのですが、
もう一つ、長焦点であるがゆえの問題があります。

VC200Lの焦点距離は1800mmで明るさはF9と暗い光学系になります。
以前から使っているR200SSは800mmF4ですので、その5倍も露光時間が必要になります。
そこで試したのがISO感度を1600から2500に上げて露光時間の短縮を。
結果は背景ノイズが増えて画像がザラついたようになったので、元のISO1600に戻しました。

実は露光時間の短縮は撮影効率というより、タワみによるガイド流れが
露光時間に比例して大きくなる事から、やらざるを得なかったものです。
もし今回のタワみ対策で大幅に流れが減少すれば、露光時間の延長が可能になります。
そこで今回はISO感度露光時間の関係について(天体情報)(ノイズ)比の観点から検証してみました。

使用したカメラは冷却デジカメのCooled60Dですが、今回は冷却オフで検証。付属の温度計で受光面の温度がわかります。

これまでにも
感度露光時間ノイズについて検証を行ってきましたが、
今回は感度を下げて露光時間を延ばした場合についても検証してみました。

以下は異なったISO感度で、撮影時に天体からの情報量(受光量)が同じになるよう
露光時間を変えて撮ったダークノイズです。 * ダークノイズ・・・光を受けなくても発生するノイズ

* 各表示画像はノイズが分かりやすいよう500%に拡大し、レベル表示巾を狭めています。
ISO 1600  露光時間 10分00秒
受光面の平均温度は 9.0 ℃  これまで R200SS F4での標準露光です。

ISO 2500  露光時間 6分24秒
受光面の平均温度は 8.4 ℃  露光時間は短くなっているのにノイズは明らかに増えています。
* 図のヒストグラムの裾野の巾が広いほど、背景ノイズのザラつきが目立つようになります。

ISO 800  露光時間 20分00秒
受光面の平均温度は 8.0 ℃  露光時間は ISO2500の3倍以上になっていますが、ノイズは大幅に減少しています。
実は低い感度ISO800での撮影はこれまでやった記憶がありません。
むろん、露光時間がその分長くなるのですが、もし大幅にノイズが減るとしたら・・
ランダムノイズを均一化するためのコンポジット(重ね合わせ)枚数を減らせるかも知れません。
実は今回の検証にあたっては、15秒の間隔をおいて4枚連続で撮影しています。
次の図はISO2500を4枚コンポジットした画像です。
ISO 2500  露光時間 6分24秒 × 4枚コンポジット
受光面の平均温度は 7.8 ℃
露光時間の合計がISO800の1枚画像より長くなりましたが、ノイズはISO800 1枚の方が少ない。
これは予想外の結果です。

ついでにISO1600についても比較してみました。
ISO 1600  露光時間 10分00秒 × 4枚コンポジット
受光面の平均温度は 10.6 ℃
露光時間の合計がISO800の2倍になりましたが、ノイズはこれでほぼ同程度。

一応 ISO800の4枚コンポジット画像も ⇒ 

これまで注目していなかったISO感度を下げる事による低ノイズの恩恵
実は天体写真ブログ仲間の ミッチーさん が、一貫してISO800で素晴らしい画像を見せておられます。
これまでは、画像処理技術の差や撮影場所のせいにしていたのですが、
もしかすると低感度設定の恩恵もあるかも知れません。

もし雪国にも星が見える夜が訪れたら、ガイド精度の検証と合わせて
ISO800による低感度での撮影についても検証してみたいと思います。

現在「ダークファイルライブラリー」にはISO1600と2500のみ
ただ、ISO800については「ダークファイル」「フラットファイル」とも皆無で、
”0”から構築しなければなりません。


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ダークファイルは星が見えなくても取得できますので、
今夜から早速ISO800のダークファイル作成を。
VC200L(f1800mm)では無理でもレデューサを付けて、
また短焦点のR200SSではすぐに効果が期待できそうです。


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分析途中で何ポチッてんねん!

2015年02月11日 | それでも星は流れる
前々回の 記事を
書いている最中に、たまたま、以前からガイド対策用機材として考えていたものの一つが
定価の半額程度(中古)で売りだされているのを見つけ、思わずポチッてしまいました。
問題はこのプレートより 組み合わせて使う鏡筒バンドの方が高いのですが、
そちらも中古でという、うまい話しはある訳が無く、勢いで新品を注文してしまいました。
軒先貸したら、母屋も貸しちゃった。』 といったところでしょうか。(おいおい!)

「早まったか!」 と後悔する間もなく、物が届きました。
左が中古で見つけた「Mプレート(中)」、右が新品の「鏡筒バンド(232WM)」。 いずれもタカハシ純正品です。

さっそくEM-200赤道儀に取り付けみました。
このあと搭載するガイド鏡筒もタカハシ製。撮影鏡筒以外は純正品になりました。
なんと、プレートとバンドだけで2.6㎏もあり、R200SS用バンドがきゃしゃに見えてきました。

VC200L鏡筒、D50mmガイド鏡筒を搭載してみました。
バランス合わせを完了した状態です。 ウェイトは総動員で13.5㎏と重量級になりました。
見かけは「ドンキホーテ」方式に似ているのですが、

メイン鏡筒 アリガタ2個で固定 [ ドンキホーテ ]  鏡筒バンド 2本のボルト締め
ガイド鏡筒 キャリーハンドルのカメラネジで固定 [ ドンキホーテ ] 
     鏡筒バンドを2本のボルト締め
更に頑丈なプレート・鏡筒バンドと、各段に強固な固定になっています。

頑丈になっただけでは無く、バランスも大幅に改善されました。
2本の指で鏡筒の向きを変えられ、クランプフリーでどこでも静止します。

ガイド鏡筒は30年以上前のものですが、光軸修正も可能な手抜きのないタカハシ純正品です。
フィルムの時代に手動ガイドするため、イメージシフト機能がついています。


期待を込めてもう一つのメイン鏡筒R200SSも搭載してみました。

VC200Lほど極端な鏡筒のアンバランスがないため、 ウェイトは10㎏と軽量にになっています。

ファインダー位置が斜め横で、アンバランスの要因になっていました。
ファインダー位置の違いからVC200Lとは、左右の位置を変えてバランスをとっています。
その結果、むしろVC200L以上に全体のバランスがとれているようです。

これまではアンバランスを避けるため、撮影時はファインダーを外していましたが、
今後はVC200Lを含め、ファインダーを外さなくても良くなりました。

今まで使っていたR200SSのバンドは捨てちゃうの?
今後はサンニッパ・ヨンニッパ専用で使っていく予定です。
O軸ガイドシステム 」と名付けています。
 

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夕方少し雲が切れたので、なんとかガイド結果の検証だけでも・・

設営はしたのですが、じきにみぞれでも落ちてきそうな空に。
あわてて撤収しました。
今月は満月の夜に星が見えただけです。

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VC200Lガイド検証(その2 ブレの犯人探し)

2015年02月09日 | それでも星は流れる
前回の記事 では
機材の”タワみ”による ゆるやかな流れについて検証を行いました。
思い起こせば30数年ぶりに天体写真を再開し、
ガイド撮影による長時間露光を行うようになってから、いつも付きまとっていた問題でした。
それが機材の搭載方法を試行錯誤する中で、長焦点(f=1800mm)の
VC200L反射鏡筒のガイドもあと一歩というところまできました。
これは現在の搭載方法で、タワみによる流れが少なかったガイド結果です
上図のガイド結果ではVC200L+60Dカメラの撮影では1時間で約10画素流れています。
これは15分露光なら1枚あたり2.5 画素というガイド精度になります。
実際の星像が 画素程度の事を考えると十分な精度です。

それなのに「中央部の星像」を見ると丸い円では無く、東西方向に流れたような細長い楕円になっています。

その原因は上図の右側にあるガイドソフトPHGガイデイング2のガイドグラフでわかります。
グラフを見ると基準になる位置(ガイド星の元の位置)を中心に短時間のブレが連続しています。
そのブレ巾は平均で赤経RA(東西方向)±4.6 画素、赤緯Dec(南北方向)±2.6 画素もあります。
両方向にブレている事を考慮するとにタワみによる流れの4倍ほどにもなり、
これでは星が楕円になるのも無理はありません。

そこで、今回は
Ⅱ.ブレによる短時間の流れ
について
これまでの検証データからその原因を探ってみます。

最初にまず前回の検証結果を元にタワみによる流れとの関係を調べてみました。
サンプル数が少ない上に、PHDガイディングの設定値も異なっていますが、
タワみブレは別物と考えた方が良さそうです。
(むしろタワみとは逆の相関関係があるようにも見えます。)

ほかにもブレ巾の平均(RMS)をみるといつも赤経RA(東西方向)の方が
赤緯Dec(南北方向)2倍から3倍と大きいのも気になります。

先入観なしにブレを起こしそうな容疑者を挙げてみました。
(A) 大気のゆらぎ(シンチレーション)
(B) ガイド信号による過剰な制御(ハンチング)
(C) 赤道儀のギヤ・潤滑油の劣化による回転ムラ
(D) PHDソフトの設定値が不適正 (B)にも関連
(E) 風による鏡筒のゆれ
(F) 姿勢変化の遅れ(タイムラグ)
(G) その他、未知の原因
はブレの原因になると思うのですが、撮影時に風のあった記憶が無かったので今回は除外しました。

これより、検証結果による状況証拠でどの容疑者が怪しいか調べてみます。
(状況証拠.1) ガイド制御の有無によるブレの変化
先日4日、満月の夜に50mmガイド鏡だけを搭載して検証。
( 軽量のためバランスウエイトが合わず省略しました。結果 ガイド鏡側が重くなっています。 )

PHDガイドスタート時のグラフです。(タテ軸スケール 4”
PHDガイド中に赤道儀に制御信号を送るコードを抜いてみました。(タテ軸スケール 
コードを抜いている間、RAの波にウォームギヤによるピリオディックモーション(周期8分の進み遅れ)のようなものが見れます。
再びコードを差して制御を再開しました。(タテ軸スケール 

わかったこと
制御信号がなくてもブレは発生している。
制御信号がない時もRAの方がDecの何倍もブレている。
つまり
ブレの原因は
(B)ガイド信号による過剰な制御(ハンチング) ではないようだ。

これは まずい!
ハンチングが原因ならPHDガイディングの設定値の適正化で改善の余地があったのに・・
* もともとハンチングが起きにくいよう、RA: Agr(どの程度忠実に制御するか)を50%程度と控えめにしています。


(状況証拠.2) 搭載荷重の違いによるブレの変化
( ウェイト10㎏でバランスがとれています。)
同じ夜にO軸ガイドシステムでサンニッパレンズを搭載したガイドグラフです。
PHDの制御間隔でもある露光時間はガイド鏡だけのときの半分の1secとなっています。
わかったこと
搭載荷重が大きくてもバランスがとれた方がブレは小さくなっている。
PHDの露光時間が短い方がブレが小さくなる?

バランスについては数値化しにくいので、2つめのPHDの露光時間とブレの関係を調べてみました。
このグラフからは
PHDの露光時間が短い方が、ブレが少ない傾向がある。
赤経RA(東西方向)のブレは、赤緯Dec(南北方向)のブレの2倍ほど大きい。

これは何を意味するのか推理してみました。
推理1 赤緯Decのブレはシンチレーションによるもの (注)
ふだんは静止している赤緯Decの変化はシンチレーション大気のゆらぎ)と、
その補正のための制御信号によるものしか考えられない。

(注) シンチレーションの継続時間は1/1000秒から約1秒と言われており、
グラフはPHD露光時間内(数秒)に何十回、何百回も変化するガイド星の平均位置を表している。

推理2 赤経RAのブレはシンチレーションと回転ムラが合成されたもの
赤経RAのシンチレーション(赤緯Decと同程度)(注) に、常に回転している
赤経モータの伝達ギヤの回転ムラ(わずかな進み遅れ)が加わる。

(注) シンチレーションは大気の密度のわずかな差で発生し、RA(東西方向)がDec(南北方向)より常に大きいとは考えにくい。

推理3 赤経モータの伝達ギヤの回転ムラは、
ピリオディックモーションほどではないが、比較的ゆるやかに変化する。 (注)
シンチレーションと違い、その変化が制御可能な継続時間であれば、
露光時間(=制御間隔)を短くすれば回転ムラによる進み遅れは補正が可能。

(注) 数個のギヤで回転を伝達する際に、その形状から必ずわずかな回転ムラが発生する。

もしこの推理が正しければ
特に星像へのダメージが大きい赤経RAのブレを起こしている犯人は
主 犯
(C) 赤道儀のギヤ・潤滑油の劣化による回転ムラ
(2015/06/05 追記 )タカハシのHPより第一世代のTemma赤道儀まではステッピングモータの回転ムラがあることが判明
 
共犯者
(A) 大気のゆらぎ(シンチレーション)

になります。
ただし、大気のゆらぎ(シンチレーション)の補正については
はじめからPHDガイディングでは補正対象外としています。

結局 状況証拠しかないので、推理というより推測で終わらざるを得ないのですが、
実際の運用にあたっては
1.できるだけ強固な固定方法を撮る事により、タワみによる流れを”0”に近づける。
2.PHD露光時間を短くしてギヤの回転ムラによるブレも抑制する。
大気のゆらぎ(シンチレーション)が大きい時はしかたないとあきらめる。
といったところでしょうか。

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連載までした記事なのに、尻切れトンボのような
終わり方ですみません。
タワみ対策で購入した中古のプレートは届いています。
結局追加注文してしまった片割れが届いたら
ブログにて報告させてもらいます。
雪はほとんど消えていたのですが、真冬に逆戻りしました。
また星空が遠くなりました。

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VC200Lガイド検証(その1 タワみによる流れ)

2015年02月07日 | それでも星は流れる
せっかく、短焦点反射鏡筒R200SS(口径20cm焦点距離800mm)
「親亀子亀方式」でガイドすることにより、星の流れを許容範囲に収める事ができたというのに・・。
昨年9月、口径は同じものの焦点距離が倍以上1800mm)VC200L(中古)を
ポチッてしまった事から、新たな苦労が始まりました。
奥にあるのがR200SS、手前が新しく購入したVC200L 。(鏡の口径は共に20cm)

その経過についてはブログの中で報告してきましたが、未だ満足できるガイド精度が得られていません。
ただ、その検証の過程で、星の流れは次の2つに分類できることがわかりました。

タイプⅠ.タワみによるゆるやかな流れ
原因は荷重の変化により、撮影鏡筒・ガイド鏡筒の向きがズレるためと思われる。
ズレは露光時間と共に増大する。

タイプⅡ.ブレによる短時間の流れ
はっきりした原因はわかりませんが、
大気のゆらぎやガイド信号による過剰制御、赤道儀のギヤ摩耗による回転ムラなど
特定できていませんが、いろいろ考えられます。
露光時間が増えてもブレの量はあまり変わらない。


今回は
Ⅰ.タワみによるゆるやかな流れ
について
これまでに得られたガイド結果の実績データを元に検証をおこないます。

タワみによる流れについては、R200SSの頃からの課題で、
主に撮影鏡筒とガイド鏡筒の搭載方法が問題となります。
VC200Lにおいても購入直後から試行錯誤の連続でした。

Step サイドスコープ 方式
VC200Lは鏡筒バンドではなく鏡筒本体のアリガタで固定する方式のため、
そのままでは「親亀子亀」方式が使えず、プレートにガイド鏡と並列に搭載しました。
関連記事はこちら

<ガイド実績データ>
2014/09/22 ⊿Ra=21.5 pixel/H ⊿Dec=2.5 pixel/H ⊿L=21.6 pixel/H

* 星像の位置データはステライメージ7の自動位置合わせのデータから取得しています。 右はPHDGuidingで表示されたグラフ。
2014/09/22 ⊿Ra=28.0 pixel/H ⊿Dec=4.6 pixel/H ⊿L=28.4 pixel/H

2014/09/23am ⊿Ra=35.6 pixel/H ⊿Dec=6.5 pixel/H ⊿L=36.2 pixel/H

それぞれ別個に鏡筒を固定しているため、R200SSの時と同様(それ以上?)
時間とともに赤経Ra(東西方向)が大きくズレて、星像が長く伸びています。
得られる星像の流れは赤経Raと赤緯Dec(南北方向)の流れが合成されたものになります。
上記3件の合成された流れの平均は
露光1時間当たり 28.7画素(VC200L+60D)になります。
流れの許容値ですが、実際の星像は最小で画素程度でしたので、その半分の画素以下を許容値とします。
つまり1枚15分露光ならば1時間で16画素までが許容範囲となるのですが、
この方式ではかなりオーバーしていることがわかります。
* 実際はこれに短時間のブレが加わるので、もっとシビアな許容値が必要。


Step 親子鷹 方式
VC200Lは筒底に荷重が集中し、R200SS以上にバランスがとりにくい鏡筒です。
そこでこんどはマルチプレートに2個のアリミゾで固定し、
ガイド鏡筒はキャリーハンドルについていたカメラネジを利用して取り付けました。
関連記事はこちら

<ガイド実績データ>
2014/09/28 ⊿Ra=42.7 pixel/H ⊿Dec=4.5 pixel/H ⊿L=43.0 pixel/H

結果は
露光1時間当たり 43画素(VC200L+60D)と大幅にオーバー。
これは予想していた結果で、VC200L鏡筒の固定は強固になったものの、
ガイド鏡とマウントをカメラネジ1個で支えるのは無理がありました。
 


Step ドンキホーテ 方式
カメラネジでガイド鏡を固定するのは無理があるとわかったのですが、
重心を下げてもっとシンプルな固定方法ではどうか試してみました。
より焦点距離の長いガイド鏡にしたのですが、イメージシフトにより鏡筒バンドで直に固定できます。
関連記事はこちら

<ガイド実績データ>
2014/10/01 ⊿Ra=35.4 pixel/H ⊿Dec=83.4 pixel/H ⊿L=90.6 pixel/H

きつく締めたのですが、カメラネジの回転方向にあたる赤緯(Dec)だけで
なんと露光1時間当たり 83画素。赤経(Ra)と合成するとなんと91画素にもなりました。
長い槍で風車に挑むドン・キホーテの様に無理があったようです。
 

Step ドンキホーテ(改) 方式
VC200L本体はアリミゾ2個所で固定されているので、
ガイド鏡も前後二か所で固定する方法を考えてみました。
鏡筒前部に巻きつけてあるのは、鏡筒回転用バンドのハンドルを外したもの。
関連記事はこちら

<ガイド実績データ>

2014/10/11 ⊿Ra=3.6 pixel/H ⊿Dec=2.8 pixel/H ⊿L=4.6 Pixel/H

2014/10/17 ⊿Ra=7.8 pixel/H ⊿Dec=19.4 pixel/H ⊿L=20.9 pixel/H

2014/10/17 ⊿Ra=37.5 pixel/H ⊿Dec=33.5 pixel/H ⊿L=50.3 pixel/H
この方式でもっとも流れが大きかったガイドデータ

2014/10/18 ⊿Ra=6.5 pixel/H ⊿Dec=6.2 pixel/H ⊿L=9.0 pixel/H

2014/10/19am ⊿Ra=2.5 pixel/H ⊿Dec=2.3 pixel/H ⊿L=3.4 pixel/H
もっとも流れが少なかったガイドデータ

これ以降のガイドソフトはPHDを使用しています。
2014/10/19 ⊿Ra=7.6 pixel/H ⊿Dec=2.7 pixel/H ⊿L=8.0 pixel/H

2014/10/19 ⊿Ra=2.5 pixel/H ⊿Dec=2.3 pixel/H ⊿L=3.4 pixel/H

2014/10/24 ⊿Ra=13.4 pixel/H ⊿Dec=10.0 pixel/H ⊿L=16.8 pixel/H

2014/10/24 ⊿Ra=35.1 pixel/H ⊿Dec=15.8 pixel/H ⊿L=38.5 pixel/H

VC200L鏡筒本体に加えてガイド鏡も2箇所で固定としたことから
飛躍的に流れが減少しました。
大流れしたことがあったため、平均では1時間当たり 17.2 画素(VC200L+60D)と、
許容値をわずか越えていますが、
ブレによる流れ」を考慮しなければ実用域に入っています。
ただこの方式の欠点として
● 搭載重量が過大で負担が大きい(人・赤道儀)(バランスウエイトだけで12.5㎏)
● R200SS鏡筒使用時に大幅な組み換えが必要



Step コンバーチブル 方式
VC200L鏡筒のアリガタの取り付けがわずか4本のネジだったため、
取り外してR200SSの鏡筒バンドを使用して「親亀子亀方式」にしてみました。
鏡筒の固定が1か所になるという問題はあるのですが、
これならR200SSと共用で使うことができます。
関連記事はこちら

<ガイド実績データ>

2014/11/20 ⊿Ra=32.1 pixel/H ⊿Dec=20.4 pixel/H ⊿L=38.0 pixel/H

2014/11/20 ⊿Ra=10.1 pixel/H ⊿Dec=2.7 pixel/H ⊿L=10.4 pixel/H

2014/11/21am ⊿Ra=7.6 pixel/H ⊿Dec=9.9 pixel/H ⊿L=12.4 pixel/H

2014/11/21am ⊿Ra=12.8 pixel/H ⊿Dec=8.0 pixel/H ⊿L=15.1 pixel/H

2014/11/22 ⊿Ra=11.5 pixel/H ⊿Dec=20.4 pixel/H ⊿L=23.5 pixel/H
この方式の平均に近いガイドデータです

2014/11/22 ⊿Ra=25.1 pixel/H ⊿Dec=20.3 pixel/H ⊿L=32.3 pixel/H

ドンキホーテ(改)に比べて、搭載重量は減ったのですが、
アリミゾ固定が1か所に減っています。
ガイド結果の平均は1時間当たり 22.1 画素(VC200L+60D)と、
少し流れが大きくなってしまいました。
この方式は今後も使用頻度が高いと思われるR200SSと共用できるというメリットもあり、
悩ましい結果となっています。

ガッチリ固定でR200SSでも使えるとなると・・
やはり あれを買うしかないか

今回、検証に使ったガイドデータをグラフにして比較してみました。 ( 画素数はVC200L f=1800mm相当に換算)
VC200L本体、ガイド鏡筒ともに2個所で固定した、ドンキホーテ(改)方式が有利なことがわかります。

次回はまだ原因の特定ができていない
タイプⅡ.ブレによる短時間の流れについて 分析を行う予定です。

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この記事を書きながら、あれについて検索していたところ、
たまたまその片割れが中古で定価の半分くらいで売り出されているのを見つけました。
気が付いたら注文していました。
どうすんだよ! まだ分析の途中だろ。
それにもう片方の方が高いのに。


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久々に 星見えた夜は 満月昇る (字余り)

2015年02月05日 | 天体写真(月・惑星・彗星)

前回は”怪人”としての登場でしたので、
今回は”俳人”として風流人 雲上( くもがみ )を装ってみました。

ほんとは2週間ぶりに星が見えたのに満月の夜だった。という、
雪国の冬を怨念を込めて詠んだ一句です。
えっ、「 季語はどれだ? 」 ですって?
えー ・ ・ っと あっ、これは川柳でした。

4日は午後から陽がさし、夕方には雲があったのですが星が見えそうな気配が。
ずっと撮ってないので月の太さにも無頓着になってたのですが、調べてみたらちょうど満月。(残念!)

いつもは30秒露光のおりおんショットですが、今回は空が明るくて15秒が限度。
こんな夜はいさぎよく撮るのをやめればいいのですが、
この季節、月に1,2回しか晴れないとなるとそうも言ってられません。
作品などははじめから無理なことは承知だったのですが、
オートガイドの検証データが欲しくて設営してみました。

とは言ってもせっかく設営したので、雲が切れるのを待って 少し忘れかけていたラヴジョイ彗星を。
右の明るい星(みたいなの?)は γAnd(アルマク)2等星です。
撮影DATA: 2015/ 2/ 4 19:53’~ canon NFD300mm F2.8(手製絞りF相当)
露出1分×15枚コンポジット  ISO 1600 Cooled 60D (気温0~-0.3℃ 冷却 オフ) LPS-P2FIL
EM-200USD赤道儀 ORION SSAG ガイドスコープGS-60S PHD2 Guiding ステライメージ7
普段なら5分以上の露光が可能なのですが、空が明るくて1分までしか。
ほんとは、アンドロメダ座のフェースオン銀河NGC891とのツーショットを狙ったのですが、
あまりに明るい空でやる気がなくなりました。(NGC891はもうわずか左にあるはずです。)

ものはついでに、まだ高い位置にあったスバルも撮影。
寂しいスバルですが、満月の空ではこれが限界です。(1分×8枚)

地面が凍り付いてきたので、本日の目的であったオートガイドの検証に切り替え。
ガイド鏡筒(D50mmf700mm)だけを載せて、オートガイドの検証を。
検証内容は
○ 搭載機材の荷重の違いによるガイドグラフの変化
○ 制御信号用コードを抜いた時のグラフの変化
などになります。
コードを抜いて制御信号が届かない時のPHD2のグラフ

現在、VC200Lによる来るべき春の銀河祭りに向けオートガイド検証結果の分析中です。
まとまった時点で2回に分けてブログ掲載予定です。

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昨夜は早々撤収したのですが、
一晩中晴れていたようで、朝は放射冷却でガリガリ。
今夜は晴れなくていいので、月が細い別の日にして欲しい。

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